研究課題/領域番号 |
22H00003
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分1:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 愛知県立芸術大学 |
研究代表者 |
柴崎 幸次 愛知県立芸術大学, 美術学部, 教授 (10315872)
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研究分担者 |
神谷 直希 愛知県立大学, 情報科学部, 准教授 (00580945)
阪野 智啓 愛知県立芸術大学, 美術学部, 准教授 (00713679)
本田 光子 愛知県立芸術大学, 美術学部, 准教授 (80631126)
周 業欣 聖霊女子短期大学, 生活文化科, 講師 (81002251)
岩田 明子 愛知県立芸術大学, 美術学部, 非常勤講師 (50830741)
健山 智子 藤田医科大学, 医療科学部, 准教授 (90550153)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,990千円 (直接経費: 32,300千円、間接経費: 9,690千円)
2024年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
2023年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2022年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
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キーワード | 紙の伝播 / データサイエンス / 芸術表現 / ディープラーニング / 和紙 / 手漉き紙 / 製紙材料 |
研究開始時の研究の概要 |
世界には様々な紙文化があるが、古くから紙は重要なメディアであり、人類の根源的な文化形成において発展と多様化を繰り返してきた。本研究は、製紙技術が画一化される18世紀以前の“紙の道”に焦点をあて、製法や文化の接続性が不明な部分も多い世界の紙の伝播の解明と、様々な地域の紙文化の復元の道を開くための研究である。 大学、博物館、図書館等と、データサイエンス分野との共同により、現代の携帯顕微鏡と人工知能によるディープラーニング(量的調査)、さらに多面的な画像解析システムの構築により、繊維と微量成分を特定し(質的調査)、芸術や文化史の観点から新たな歴史的事実を解明するための取り組みとして実施する。
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研究実績の概要 |
本研究は、現在も不明な点が多い“紙の道”(紙の伝播)の解明に焦点をあて、歴史の時系列の中でどのような紙の文化であったかを、データサイエンス領域と共同し、紙の文化に潜んだ真実を明らかにし、その多様性を解明することが目的である。携帯顕微鏡カメラによる多くのサンプル撮影とディープラーニングによる画像解析を活用し、さらに様々な観察や計測、画像シミュレーションを用いた多面的な解析結果を融合させ、非破壊で簡易に撮影できる画像を用いた紙質分析の飛躍的な向上を目指す。 これまで取り組んできた簡易マクロ撮影画像による量的調査と紙の組成解明にAIを用いる方法から、顕微鏡観察が可能な紙に対してハイパースペクトルカメラ搭載の顕微鏡や、白色コンフォーカル顕微鏡により構築した多面的解析システムの結果を紐付けし、紙の伝播の実体を解明する。 紙の考古学と途絶えた紙の再生など実践的研究の立ち位置から、ユーラシア大陸全体を研究範囲とし、世界中で不明な点が多い紙の組成や伝播の謎を、時代を越えて残る紙の資産を活用し解明する。 R5年度は、多面的解析システムとして、白色コンフォーカル顕微鏡とハイパースペクトルカメラ搭載の顕微鏡システムを整備した。それぞれの顕微鏡の特性を生かした観察方法と画像解析の方法論を、データサイエンスの担当部門と研究と協議を重ね、方法論の確立を目指している。R6年度は、協力関係にある様々な博物館や大学などと、具体的な実証実験の準備と実施を開始する予定である。また、この方法論への理解を深めるため、国内外でセミナーや研究展示を開催し、多くの人々に理解と周知を促す活動も積極的に推進する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
R5年に整備した多面的解析システムの、白色コンフォーカル顕微鏡の観察は、和紙を中心に、綿、麻、サマルカンド紙など、300点のサンプル撮影を行った。また、ハイパースペクトルカメラ搭載の顕微鏡システムは、同様に200点のサンプル撮影を行った。ハイパースペクトルカメラは、現状では借用品であるが、自由に観察できる環境を整備した。これらの観察画像を用いた画像シミュレーションについて、データサイエンス領域と協議し、有効な方法論を開発中である。 また、本研究は古い紙の判別など、一般の人々の関心も高いことから、研究周知を促す活動も積極的に推進した。この方法論への理解を深めるための国際展示として、ドイツ、パッサウオーバーハウス博物館での6ヶ月間のパネル展示を実施した。国内では、関連する紙の大規模な展覧会の図録への寄稿や、新聞全国紙での3面にわたる記事の掲載などに協力した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的である、“紙の道”(紙の伝播)の解明については、世界の紙サンプルを観察可能な状況を確保することが重要である。各国の博物館等において、古い紙の資料は貴重な文化財がほとんどであるが、まずは協力関係にあるドイツ、ウズベキスタン、中国、トルコなどの博物館に研究ビジョンの共有と、具体的な紙資料の観察などの契約や協定などの締結が重要になる。まずは観察可能な紙のサンプルから調査を行いたい。 また、データサイエンスを活用した白色コンフォーカル顕微鏡などでの観察画像を用いた画像シミュレーションについては、有効な方法論を開発中である。
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