研究課題/領域番号 |
22H00019
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分3:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
小林 謙一 中央大学, 文学部, 教授 (80303296)
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研究分担者 |
及川 穣 中央大学, 人文科学研究所, 客員研究員 (10409435)
下岡 順直 立正大学, 地球環境科学部, 准教授 (10418783)
米田 穣 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30280712)
工藤 雄一郎 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 准教授 (30456636)
箱崎 真隆 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (30634414)
坂本 稔 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (60270401)
木村 勝彦 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (70292448)
鳥越 俊行 独立行政法人国立文化財機構奈良国立博物館, その他部局等, 室長 (80416560)
宮田 将寛 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 専門職 (90737503)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
39,520千円 (直接経費: 30,400千円、間接経費: 9,120千円)
2024年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2023年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2022年度: 11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
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キーワード | 縄紋文化 / 東アジア先史文化 / 炭素14年代測定 / 安定同位体比 / 蛍光X線分析 / 炭素14年代 / 高精度年代体系構築 / 先史考古学 / 年代測定 / 縄文時代 / 考古学 / 先史時代 / 産地推定 / 土器製作技術 / 縄文文化 |
研究開始時の研究の概要 |
縄紋文化、それに並行する東アジア新石器文化の年代的整理を行い、どの文化とどの文化が同時期なのか、互いの系統的相互関係を時間軸に沿って検討する基準を構築する。単に年代で並べるだけではなく、蛍光X線解析やCTスキャンなどのデータ解析を進め、黒曜石を含む資源の交換、土器製作技術や使用法による地域文化の枠組みを再検討し、土器文化の出現から植物栽培化、初期農耕社会の成立と展開への文化史的再構成を新たな世界史像として示したい。その研究を通して、新たな歴史復元の方法を探るとともに、測定方法の検証や新たな分析法の開発にもフィードバックすることが可能と期待できる。
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研究実績の概要 |
北海道、青森県、宮城県、東京都、山梨県、静岡県、岡山県の各遺跡での調査を進め、炭素14年代測定、年輪年代・酸素同位体比、ルミネッセンス法の測定サンプルを収集・測定を進めた。特に、東京都滝坂遺跡、山梨県諏訪原遺跡、静岡県大鹿窪遺跡、岡山県城山東遺跡・小林河原遺跡などにおいて複数の年代測定法や、測定対象試料の性格を探る目的にかなう同位体比、地磁気測定、脂質分析などを重ねている。そのことにより、土器付着物の由来や土器の使用法、出土遺構の形成過程についての考察をおこなうデータを得ることができ、縄文文化の地域間比較や時間的変化についての検討を進めることができた。炭素14年代測定については、坂本稔、米田穣、工藤雄一郎らと共同で年代測定試料の調製からAMS測定をおこない、微量分析など測定方法の進展につなげることができた。酸素同位体比については箱崎真隆、木村勝彦、ルミネッセンス法については下岡順直らと共同研究を進め、複数の年代測定法による比較検討のためのデータを得た。特に炭素14年代については、宮城県北小松遺跡で縄紋晩期の土器付着物多数、北海道函館市や青森県内で縄紋早期の土器付着物、東京都下宅部遺跡や下布田遺跡で縄紋後晩期の土器付着物多数を収集・測定した。 縄紋文化の地域間交流を探る目的でおこなう土器胎土分析・黒曜石の産地推定のための携帯用蛍光X線分析装置を導入し、その予備実験を進めた。まずは、既存の調査土器試料の蛍光X線スペトル分光データの調整をおこなった。今度、本格的に測定を始動していく基礎データとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本国内の年代測定については、概ね予定通り炭素14年代測定、年輪年代・酸素同位体比、ルミネッセンス方のための測定試料を収集し、国立歴史民俗博物館年代測定実験室・東京大学年代測定室などと共同研究として測定を進めた。資料自体を遺跡で計画的に採取することも、東京都滝坂遺跡、山梨県諏訪原遺跡、静岡県大鹿窪遺跡、岡山県小林河原遺跡の発掘・整理調査などにおいて複数の年代測定法のための多数のデータを得た。 一方、比較対象となる東アジアでの先史文化に伴う年代測定については、韓国・中国の試料についてはコロナ禍の影響により海外渡航が簡単にできないために、今年度はおこなうことができなかった。今年度は、その分の測定を国内の試料測定に回すことで、計画としては進めた。 産地推定のための携帯型蛍光X線装置を導入し、年代測定用に集めている土器片資料の測定により予備的実験を重ねて稼働を目指した。 なお、研究分担者とは4月にオンラインで分担者全体会議をおこなったほか、9月に成果報告会をオンラインでおこなった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度には国外渡航の条件も緩和される見込みであり、韓国・中国の資料収集を進める。同時に国内において進めている東日本各地での年代測定資料の収集に加え、比較的手薄となっている西日本の資料について、鹿児島県さらには西南諸島における年代測定用資料の収集を進める。また、測定方法自体の進展を図るため、土器包埋炭化物の採取、微量分析や、異なる測定方法の併用を進める。 併せて、縄文文化の地域間交流を探る目的で、土器および黒曜石の蛍光X線分析の基礎データを収集していく。あわせて測定対処とした遺跡の土器付着物の同位体比や脂質分析、土器に見られる圧痕レプリカ調査を併用して、総合的な調査をおこなう。 また、諏訪原遺跡や小林河原遺跡などの発掘計画において、調査計画時にリサーチデザインとして年代測定用の資料収集を検討し、竪穴住居構築・廃絶・埋没のライフサイクルの時間経過や、貝層などの遺物包含層の形成過程復元のための体系的な年代測定資料収集を検討する。 なお、秋に研究チームの全体打ち合わせとして、分担者との成果報告および研究打ち合わせをおこないたい。
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