研究課題/領域番号 |
22H00025
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分3:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
村木 二郎 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (50321542)
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研究分担者 |
鈴木 康之 県立広島大学, 地域創生学部, 教授 (10733272)
関 周一 神戸女子大学, 文学部, 教授 (30725940)
池田 栄史 國學院大學, 研究開発推進機構, 教授 (40150627)
松田 睦彦 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (40554415)
齋藤 努 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (50205663)
中島 圭一 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (50251476)
荒木 和憲 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (50516276)
渡辺 美季 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (60548642)
主税 英徳 琉球大学, 国際地域創造学部, 講師 (60910510)
田中 大喜 日本大学, 文理学部, 教授 (70740637)
黒嶋 敏 東京大学, 史料編纂所, 教授 (90323659)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,730千円 (直接経費: 32,100千円、間接経費: 9,630千円)
2024年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2023年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2022年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
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キーワード | 琉球 / 八重山 / 宮古 / 奄美 / 集落遺跡 / 集落 / 陶磁器 / 細胞状集落 |
研究開始時の研究の概要 |
中世の琉球は対外貿易によって栄えた華やかな一面が強調されてきた。しかしその一方で、北の奄美や南の宮古・八重山に侵攻して併呑した歴史はほとんど顧みられることがなかった。そうした周辺の島々には琉球侵攻以前には独自の文化をもった前史があり、それは遺跡や遺物を分析することで解明することが可能である。そこで、奄美・宮古・八重山の集落遺跡とその出土遺物を中心に分析を進め、征服された側からみた中世琉球史を描く。
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研究実績の概要 |
本研究では、琉球の周辺地域から古琉球史を見つめ直すことを目的としている。そのため、周辺地域の資料を渉猟・蓄積し、研究メンバー間で情報を共有する。研究メンバーは考古学と文献史学の専門家が中心である。当該研究分野を牽引してきたのは文献史学であるが、新出資料は考古学の方が圧倒的に多いため、考古班の現地調査情報を文献史班に提供し、これまでの研究と照応させて解釈を重ねていくことになる。 第2年度である2023年度は、新型コロナ禍がほぼ収束したため沖縄での調査を再開した。コロナ禍のために中断していた、沖縄島・うるま市勝連城跡出土資料、那覇市ヒヤジョー毛遺跡出土資料の貿易陶磁悉皆調査を完了した。さらに、宮古島・与那覇遺跡出土資料の調査も終えることができた。これにより、八重山・宮古・沖縄島の各地域で1万点以上の貿易陶磁出土遺跡のデータを収集することができた。次に、奄美地域の資料を増やすため、手久津久遺跡群川寺遺跡出土陶磁器調査に着手した。本遺跡からは1万5千点程度の貿易陶磁が出土していると予想されるため、調査はこれから2年程度を要すると考えられる。これを完了すれば非常に良好なデータを作成することができ、琉球圏一帯で定量分析に基づいた議論が可能となる。 7月には中世学研究会との共催でシンポジウム「船の中世」を開催し、池田榮史「沈没船の諸問題」、松田睦彦「民俗学から見た船・人・信仰」などの報告があった。また荒木和憲・村木二郎の司会で討論をおこなった。11月には沖縄県立博物館・美術館でシンポジウム「琉球の海 倭寇の海」を開催し、荒木和憲「日朝海域の倭寇-初期倭寇から前期倭寇へ-」、黒嶋敏「琉球の海の港と航路」、池谷初恵「境界の海-考古学成果から見た奄美・喜界」、村木二郎「八重山、宮古、琉球の海と倭寇」の報告と、それを踏まえた討論をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第2年度である2023年度は、考古班の陶磁器調査としては沖縄島・うるま市勝連城跡出土資料、那覇市ヒヤジョー毛遺跡出土資料、宮古島・与那覇遺跡出土資料の悉皆調査を実施した。とくに勝連城跡出土資料は3万点を超えるもので、これから集計していくこのデータは今後当該研究では欠くことのできない基礎資料となるに違いない。これによって八重山・宮古・沖縄島の各地域で1万点を超える貿易陶磁出土遺跡のデータが収集できたので、琉球圏で残すところは奄美地域となる。喜界島の手久津久遺跡群川寺遺跡がこのクラスの出土量を誇るため、今年度より調査に着手し始めた。予想を超える分量であと2年は調査に時間を要すると思われるが、これを完了すれば琉球圏での貿易陶磁に関して同一レベルでの議論が可能となる。 文献史班の成果はシンポジウム「琉球の海 倭寇の海」で公開され、考古班と資料を突き合わせた活発な議論をおこなった。従来の文献史料一辺倒の議論ではできなかった新たな理解が深まりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では琉球を周辺の島々から見直すが、文献史料が希薄な地域であることから、それを補うために考古資料を蓄積することに研究展開がかかっている。これまで、八重山・宮古に残る細胞状集落遺跡や石囲集落遺跡を踏査し、一部図化してきたが、これらの資料から当該地域の特徴が浮かび上がった。またその集落の消長を探るためには出土陶磁器の全点分類・カウント調査が有効であることもわかった。この方針を継続して資料蓄積をはかるため、喜界町手久津久遺跡群川寺遺跡出土の陶磁器調査を始めた。予想以上の物量であることがわかり、あと2年はかかると目算している。しかしこれが完了すれば琉球圏一帯での定量分析が可能となるため、その意義は深い。今後。手久津久遺跡群川寺遺跡のデータが整ったところで、喜界島でのシンポジウム開催を検討する。 日本列島内でも比較対象資料を蓄積する必要がある。幸い、岡山県鹿田遺跡出土資料が分量的にも時代的にも要件を満たしており、所蔵機関との連携も図れたので、次年度から調査を開始することとする。
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