研究課題/領域番号 |
22H00027
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分3:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
|
研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
藤田 祐樹 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, 研究主幹 (50804126)
|
研究分担者 |
久保 麦野 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (10582760)
海部 陽介 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (20280521)
澤浦 亮平 東北大学, 歯学研究科, 非常勤講師 (20816201)
水野 文月 東邦大学, 医学部, 講師 (50735496)
石原 与四郎 福岡大学, 理学部, 助教 (80368985)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
42,120千円 (直接経費: 32,400千円、間接経費: 9,720千円)
2024年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2023年度: 10,530千円 (直接経費: 8,100千円、間接経費: 2,430千円)
2022年度: 14,170千円 (直接経費: 10,900千円、間接経費: 3,270千円)
|
キーワード | 後期旧石器時代 / ホモ・サピエンス / 沖縄諸島 / 島嶼適応 / サキタリ洞遺跡 / 沖縄島 / サキタリ洞 / 旧石器時代 / 炉跡 / 久米島 / シカ化石 / 文化 |
研究開始時の研究の概要 |
琉球列島は、旧石器時代人骨の発見例が多い一方で石器などの文化遺物の発見例に乏しく、日本列島の旧石器時代人類史の空白地域となっていた。しかし、近年の発掘調査で多様な貝器文化や淡水動物の利用といったこの地域特有の文化が明らかになった。本研究は、特に近年の調査が充実している沖縄諸島において、人骨、文化遺物の両面から後期旧石器時代ホモ・サピエンスのこの地域への進出と適応の実態を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
久米島の下地原洞穴において発掘調査を継続し、昨年度発見していた保存状態の良好な絶滅シカ化石をの産状を記録して取り上げ、基礎整理を進めた。また、堆積層の調査とサンプリングを行い、洞窟内堆積物の形成プロセスの分析を進めた。琉球列島において絶滅シカ化石の出土地は200か所以上あるとされるが、化石の産状や堆積要因、化石集積メカニズム、ヒトの関与の有無が検討された例は過去にない。今のところヒトの関与は確認されていないものの、こうした視点で現代的分析を行ったことは注目すべき成果であり、成果の一部を国内外の学会にて発表した。また、新たな拡張区画を設定して調査を進めたが、現状では完新世と思われる炉跡やトラバーチンを検出した段階である。今後、年代測定を検討しつつトラバーチン下位の堆積層を調査するほか、その状況に応じて洞内に別区画を設定して調査することも検討していく。サキタリ洞調査は、調査員のスケジューリングに難航し実施できなかったが、メンバー各自が担当する出土遺物の基礎整理を進めた。その結果の一部としてサキタリ洞を含む沖縄先史人の資源利用について協力者が学会発表を行ったほか、シカ絶滅時期の絶滅要因の推定に関する国際学会発表を行った。また、沖縄諸島の先史文化の国際的位置づけを検討するため、東南アジアの先史時代遺跡調査にメンバーの一部が参加し、比較資料の検討を開始した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サキタリ洞調査を実施できなかったこと、下地原洞穴で更新世人為痕跡を発見できていないこと、機器導入の遅れを理由とした計画変更はあるものの、いずれも想定の範囲内と捉えている。サキタリ洞については現地調査のかわりに既存資料の分析をメンバーそれぞれに進めており、下地原洞穴ではシカ化石包含層の形成メカニズムについて成果を積み上げている。それぞれの研究成果の一部を国内外で学会発表を行っている。また、論文発表数も今年度は少ないが、受理された論文も複数あるため、計画全体としてはおおむね順調に進み、成果も出している。以上の理由により、計画全体としてはおおむね順調に進展しているという認識である。
|
今後の研究の推進方策 |
サキタリ洞の発掘調査を実施し、更新世の炉跡の調査や調査区IVの礫層調査を進め、更新世の人為活動や堆積層形成メカニズム等に関する知見を得る計画である。下地原洞穴については課題となっている年代測定について複数の材料、手法で試みると同時に、TP1拡張区の継続発掘、そして状況に応じて洞内に新たな区画を設定して調査を実施することを検討している。また、沖縄県内の市町村が主導している調査においても、先史時代の断片的な人骨、獣骨が出土しているため、こうした人骨、獣骨の分析協力を通じて新たな遺跡発見に向けて努力を続ける。
|