研究課題/領域番号 |
22H00046
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分6:政治学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
竹中 佳彦 筑波大学, 人文社会系, 教授 (80236489)
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研究分担者 |
山本 英弘 筑波大学, 人文社会系, 教授 (20431661)
遠藤 晶久 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (80597815)
濱本 真輔 大阪大学, 大学院法学研究科, 准教授 (20625850)
久保 慶明 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (00619687)
柳 至 立命館大学, 法学部, 准教授 (20647341)
Jou Willy 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (20617055)
大倉 沙江 筑波大学, 人文社会系, 助教 (40779534)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,600千円 (直接経費: 32,000千円、間接経費: 9,600千円)
2024年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2023年度: 16,770千円 (直接経費: 12,900千円、間接経費: 3,870千円)
2022年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
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キーワード | 平等 / 政策 / ネットワーク / 価値 / イデオロギー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、①市民とエリートの平等価値はどのように形成されるのか、②平等観は政策形成にどのような影響を及ぼしているのかを明らかにすることを目的とする。そのために、再分配、労働、地域振興、ジェンダーといった平等に関わる政策を念頭に、(1)市民の平等観調査、(2)エリート(国会議員・地方議員)の平等観調査、(3)平等に関わる政策ネットワーク調査を実施してその結果を分析するとともに、(4)首相の演説や会議録、新聞記事などの平等言説をテキスト分析し、以上を総合して、現代日本の政策形成における「平等」という価値の位置づけを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では2023年度以降に、①一般市民を対象としたサーベイ調査、および②議員に対するサーベイ調査を実施する予定だが、本年度はそのための準備を行った。 ①一般市民を対象としたサーベイ調査は、政治意識や政策選好をたずねる意識調査だけでなく、実験形式の質問を用いて条件設定を工夫し、平等観を多角的に捉えられるようにする。本年度は、その予備調査を兼ねて、ウェブを用いて、「平等観と政治意識に関する有権者調査」(調査票A:47問,1,500サンプル、調査票B:53問,2,000サンプル)を実施した。調査票の中では、平等の背景にある衡平、平等、必要といった公正規範についての質問と、実際の政策についての平等評価についての質問などを含め、人々の価値規範と政策選好との関連付けを解明できるように配慮した。また、サーベイ実験形式により、分配的公正、手続き的公正のそれぞれについて人々の政策選好を精緻に捉えることも試みた。 この他、9月11日に行われた沖縄県知事選挙の前後に、知事選の投票行動と経済格差、地域間格差、基地問題などについての沖縄県民の認識を捉えるパネル形式の有権者ウェブ調査(事前2,000サンプルのパネル)を実施した。これにより、地方における社会格差の認識がどのように投票行動につながっていくのかを明らかにすることができる。 これらの調査結果を踏まえ、質問項目を精選し、次年度には有権者を対象とした郵送法によるサーベイ調査を実施する予定である。さらに、有権者調査と比較可能な質問を組み込みながら、地方議員や地方経済団体リーダーに対する調査を行う予定である。 一方で、政策形成プロセスにおける平等観の作用については、分析対象とする政策を決定するための情報収集を行った。平等観による対立を鮮明に捉えるために、分配と負担との関係が争点となっている政策を取り上げたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度に質問紙による有権者調査を実施する予定だが、2022年度に、ウェブを用いて、「平等観と政治意識に関する有権者調査」、沖縄県知事選挙前後の有権者ウェブ調査を実施し、予備的な調査を行うことができたから。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、有権者とエリート双方の平等観を把握するための質問紙調査を実施する。有権者については、全国を対象とした層化多段抽出3,000サンプル程度の調査を実施し、人々がいだく平等の価値基準と実際の政策評価などを明らかにする。エリートについては、有権者の代表である全国の地方議員と地方の有力な政治アクターである経済団体のリーダー各1,000サンプル程度に対して、有権者と同様の項目で平等観を尋ねる質問紙調査を行う。これらを通して、有権者の意向がエリートを通してどのように政策形成へと結びつくのかを明らかにすることを目指す。以上の調査の準備として、2022年度は有権者に対するパイロット調査を行い、多様な観点および質問形式で平等や公正についての考え方を問うた。この調査結果をもとに、本年度の調査の質問文を入念に検討する。 パイロット調査ではそればかりでなく、個別の研究テーマとなりうる質問項目も含まれている。2023年度はこれらの分析を進め、研究成果に結実させる。第1に、沖縄県民を対象とした調査により、地域格差や基地問題をめぐる不平等と政治の問題、および知事選挙における行動について尋ねた。これをもとに沖縄をめぐる地域不平等と政策についての分析を進めていく。第2に、消費税増税や地域振興策についての有権者の平等観と政策選好についてもサーベイ実験形式で質問した。これをもとに有権者の政策選好の背景にある平等観を探究する。第3に、議員の性別による政治代表性についてサーベイ実験形式で質問した。これをもとにジェンダーによる政治代表と平等観について探究する。 この他、政策過程における平等価値の作用を探るべく、具体的な政策分析に着手する。例えば、分配と負担の平等性や公正性が問われるイッシューを取り上げ、その政策過程における争点構造を分析する。2023年度は、情報収集を行い、分析の準備を進めていく。
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