研究課題/領域番号 |
22H00063
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
木村 福成 慶應義塾大学, 大学共通, 教授 (90265918)
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研究分担者 |
清田 耕造 慶應義塾大学, 産業研究所(三田), 教授 (10306863)
松浦 寿幸 慶應義塾大学, 産業研究所(三田), 教授 (20456304)
齋藤 久光 北海道大学, 経済学研究院, 教授 (30540984)
田中 清泰 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 開発研究センター 経済統合研究グループ, 研究員 (30581368)
笹原 彰 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 准教授 (30895751)
早川 和伸 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, その他部局等, 海外研究員 (40458948)
伊藤 匡 学習院大学, 国際社会科学部, 教授 (40550413)
大久保 敏弘 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (80510255)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,990千円 (直接経費: 32,300千円、間接経費: 9,690千円)
2024年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
2023年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
2022年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
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キーワード | 国際的生産ネットワーク / 東アジア / コロナウイルス感染症拡大 / 国際分業 |
研究開始時の研究の概要 |
1990年代以降、日本と東アジアは国際的生産ネットワーク(IPNs)と呼ばれる精緻な国際分業を積極的に展開し、Factory Asiaとして世界をリードしてきた。このIPNsの将来について悲観論が台頭してきている。本研究は「東アジアのIPNsは変貌する世界の中で国際競争力を保持していけるのか、それとも大きな技術変革の波に飲み込まれてしまうのか」という問いを中心に据え、IPNsの将来についての悲観論の是非を詳細に検討する。その上で、ポストコロナに日本・東アジアが直面する国際分業の政策的課題とその処方箋を提示し、ポストコロナの日本・東アジアのIPNsの将来を考察する。
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研究実績の概要 |
本研究課題では東アジアの国際生産的ネットワーク(International Production Networks; IPNs)の実態・再編・構造変化について3つの側面から研究を行っている。3つの側面とは、(1)コロナ・パンデミックのIPNsへの影響、(2)米中デカップリングによるIPNsの再編、(3)デジタル技術の進展と採用によるIPNsの構造変化である。2年目にあたる2023年度の主な研究実績は以下のように要約できる。
Ando, Hayakawa, and Kimura (2023)では、東アジアにおける機械のIPNsに焦点を当て、米国の輸出規制によって特定の品目の貿易が強く影響を受け、特に日本から中国への輸出が減少したことがわかった。Hayakawa, Pyun, Yamashita, and Yang (2024)では、IPNsの川上産業に対する需要ショックの波及効果を実証的に検証した。具体的には、2018年から2019年にかけてのトランプ関税による中国の対米輸出の減少が波及して、中国の台湾からの中間財の輸入が減少したことがわかった。Tanaka (2023)は、2019年にEUがカンボジアとミャンマーに発動したセーフガード関税のEU経済への影響を検証した。その結果、セーフガード関税によって実際に米の輸入額(金額ベース)と輸入量(重量ベース)が減少し、輸入価格が上昇したことが示された。セーフガード関税は第三国への貿易転換をもたらしていることも明らかになった。Baldwin and Okubo (2024)では、人工知能(AI)とリモートインテリジェンス(RI)がサービス分野において補完的か代替的であるかを実証的に検証した。そして、企業-労働者レベルでAI 促進投資と RI 促進投資の間に正の相関があることなどから、AI と RI が代替的ではなく補完的であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度初めて公刊された査読付き雑誌掲載論文が11本、ワーキングペーパーが3本あり、多くの研究成果を世に発信できた。これらの論文のうち8本が国際共著論文であり、国外の研究者・研究機関とも連携して質の高い研究成果を出すことができた。論文が掲載された学術誌は、The World Economy、Asian Economic Papers、Journal of Asian Economicsなど、いずれも国際的な評価が高く国内外の研究者の注目度が高い雑誌である。研究報告も14件行い、書籍も3冊出版された。国際学会であるAsian Economic Panel (AEP)も開催することができた。近年の東アジアの国際生産的ネットワーク(International Production Networks; IPNs)の実態・再編・構造変化について前述の3つの側面から分析を進めることができており、これまで明らかにされていなかった新しい知見を発見できている。
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今後の研究の推進方策 |
プロジェクト3年目となる2024年度は、これまで以上に積極的に慶應義塾大学国際経済学ワークショップ、Asian Economic Panel (AEP) などの定例研究会を開催して論文を報告し、メンバー間で協力し合い、刺激し合いながら研究を進めていく。進行中の論文は、研究報告会で報告してフィードバックを受けて論文を改訂してさらに質の高いものに高めていくと同時に、学術誌への投稿も進める。データの整理や予備的分析段階のプロジェクトも今年度さらに進めていき、論文としてまとめる。近年の東アジアの国際生産的ネットワーク(International Production Networks; IPNs)の実態・再編・構造変化について、さらに新しい知見を明らかにしていく。
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