研究課題/領域番号 |
22H00078
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
稲垣 成哲 立教大学, 文学部, 特任教授 (70176387)
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研究分担者 |
山本 健太 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 助教 (00895542)
増本 康平 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (20402985)
楠 房子 多摩美術大学, 美術学部, 教授 (40192025)
小川 義和 立正大学, 地球環境科学部, 教授 (60233433)
寺田 努 神戸大学, 工学研究科, 教授 (70324861)
江草 遼平 千葉商科大学, 基盤教育機構, 助教 (70826239)
石田 弘明 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 教授 (80311489)
岩崎 誠司 独立行政法人国立科学博物館, 科学系博物館イノベーションセンター, 専門員 (90259995)
鳥居 深雪 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 名誉教授 (90449976)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,250千円 (直接経費: 32,500千円、間接経費: 9,750千円)
2024年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
2023年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2022年度: 16,120千円 (直接経費: 12,400千円、間接経費: 3,720千円)
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キーワード | 科学系博物館 / 科学教育 / Neurodiversity / ニューロダイバーシティ / 発達多様性 / ASD |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,ニューロダイバーシティ(ND)の立場から科学系博物館における発達障害(ASD,LD,ADHD等)のある来館者向けの展示学習保障ガイドラインの体系化とその展示手法の開発,さらには具体例としての実践モデルを提案することである。周知のように,H28年より「障害差別解消法」が施行され,R3年より合理的配慮の義務化が徹底された。しかしながら,科学系博物館等における発達障害関連の障壁の除去・軽減は僅かな事例を除いて,ほとんど手つかずの状況であり,その課題を克服のための研究知見についても蓄積が乏しい。そこで本研究では,学際的な観点から,展示手法の開発および実践モデルの提案を目指すものである。
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研究実績の概要 |
R5年度の研究概要は、以下の通りである。 ①文献による理論的研究の遂行:初年度に引き続き、文献よる理論的研究を行うとともに、最新の研究動向を調査した。②R4年度の予備的調査の分析と実践モデルの仮説的提案:R4年度に実施した予備的研究(ASD者および健常者を対象)について、その結果を分析し、展示ガイドラインを仮説的に策定するとともに、実践モデルの試案を作成した。③兵庫県立人と自然の博物館等でのASD者などの参加による本格的な実態調査:兵庫県立人と自然の博物館において、主として高校生のASD者と健常者による調査を実施した。本調査は、博物館展示を対象にした面接調査であり、ASD者にとって展示において問題となる側面を多角的に明らかした。ASD者および健常者は、それぞれ10名程度を対象に実施した。この調査では人を対象とするので、研究倫理についても担当の所属機関の承諾を得た上で実施した。④ASD者に関する実験室的研究:主としてASD者について、展示パネルにおけるフォントの可読性、記憶等の問題に着目し、面接法・質問紙法、アイトラッキングなどを指標にした実験を大学及び高校で行うとともに、研究方法自体の再検討もしながら、その特性の一端を解明した。なお、上記と同様に、研究倫理についても担当の所属機関の承諾を得た上で実施した。⑤博物館展示支援モデルの開発:③④の結果を受けて、実際の博物館においてASD者に最適な展示モデルを開発した。⑥研究成果の発表:前年度までの結果について、日本科学教育学会第47回年会(愛媛大学)において、シンポジウム形式の企画発表を組織し5件の発表を行なった。さらに、研究成果の一部は、CSEDU2023、ICEC2023等の国際会議で発表するとともに、日本理科教育学会第73回全国大会や計測自動制御学会第34回社会システム部会研究会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本科研研究の立ち上げ部分で、コロナの影響などがあったが、各方面の研究倫理申請も無事受理され、具体的な研究実施のフェーズに進むことができた。科研メンバーによる複数の研究がR5年度に着手され、現在も進行中である。そうした中で、研究成果の一部は、研究実績の概要にも示したように、日本科学教育学会第47回年会(愛媛大学)において、シンポジウム形式の「科学系博物館におけるNeurodiversityの実現に向けて」を組織し、5件の発表をすることができた。また、国際的にもCSEDU2023、ICEC2023等の会議に採択され、それらは代表的なデータベースであるDBLPに掲載されている。個々の研究の進度はそれぞれであるが、全体としての本科研の進捗状況は概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は、現在進行中の研究をさらに推進することである。特にASD者を対象にした基礎研究からの認知記憶特性の成果をまとめ、博物館展示支援デザインに反映するとともに、最終年度となるR6年度に向けて、その展示デザインを活用した実践モデルの策定に取り組んでいくことが考えられる。
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