研究課題/領域番号 |
22H00116
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分14:プラズマ学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
渡邉 智彦 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (30260053)
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研究分担者 |
前山 伸也 核融合科学研究所, 研究部, 准教授 (70634252)
能勢 正仁 名古屋市立大学, データサイエンス学部, 教授 (90333559)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
40,950千円 (直接経費: 31,500千円、間接経費: 9,450千円)
2024年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
2023年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
2022年度: 10,920千円 (直接経費: 8,400千円、間接経費: 2,520千円)
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キーワード | オーロラ / プラズマ / ジャイロ運動論 / 高性能計算 / シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、オーロラの構造形成とダイナミクスに関する物理機構、ならびに、オーロラ電子加速機構について、プラズマ物理学の第一原理にもとづいた理論・数値シミュレーションによる解明を目指す。スーパーコンピュータを用いた磁気圏-電離圏結合系のシミュレーションを行い、オーロラの大域的な成長と微細渦構造の形成・動的発展、さらに、オーロラ構造の非線形発達とオーロラ電子加速を同時に再現する世界初の成果を目指す。加えて、衛星および地上観測との比較により、理論の検証を行う。これらを通じ、オーロラ現象をプラズマ物理学の問題として位置付け、オーロラの構造形成と動態の謎、オーロラ粒子加速の謎に挑む。
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研究実績の概要 |
磁気圏-電離圏結合の局所磁気流体モデルを用いた高解像度シミュレーションにより、オーロラ発達の非線形乱流状態におけるエネルギースペクトルが垂直方向波数の-5/3乗に比例することを同定した。これはFAST衛星の観測とよく一致する。さらに、磁場平行方向波数が垂直方向波数の3/2乗に比例することを同定し、磁気流体乱流理論による予測と対応する結果を見出した。 磁場強度依存性を取り入れた粘性係数モデルを導出し、双極子磁場配位を用いた磁気圏-電離圏結合の非局所シミュレーションによりオーロラ発達の非線形発展と乱流遷移過程の再現に成功した。フィードバック不安定性の非線形飽和時に現れるケルビン・ヘルムホルツ(K-H)不安定性により渦構造が形成され、後に乱流状態へ遷移すること、また、十分に発達した乱流状態では、オーロラにともなう乱流揺動が緯度方向へと広がる現象を新たに見出した。 ジャイロ運動論を用いたオーロラ発達の非線形シミュレーションに初めて成功し、磁気流体モデルを用いた場合と同様に、2次的なK-H不安定性が発生し、乱流遷移が生じることを示した。これと同時に、分散性アルヴェン波にともなう磁場平行方向の電場により、電子加速が生じることを明らかにした。 2022年3月5日にアラスカ・ポーカーフラットから打ち上げられた科学観測ロケットに磁気インピーダンスセンサーを用いた磁力計を搭載し、脈動オーロラに伴う磁場変動観測を行った。この観測と薄層近似した電離圏への電子降下によるオーロラパッチモデルの計算結果を比較した結果、脈動オーロラパッチは、極側に下向きで赤道側に上向きの1対の沿磁力線電流を伴い、この電流により磁場変動が生じていると結論付けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
局所磁気流体モデルを用いた磁気圏-電離圏結合のシミュレーションにおいて、不安定性によって自発的に駆動される乱流が、理論や観測結果と非常に良い一致を示すなど、期待していた以上の成果が得られている。非局所モデルを用いた非線形解析においても、乱流揺動の広がりなどの新たな現象が見出された。ジャイロ運動論を用いた非線形シミュレーションにも成功し、課題は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り、非線形磁気流体モデルを用いた非局所シミュレーションを経度方向により大規模なスケールへと拡張し、対流電場分布による効果を調べる。また、ジャイロ運動論的シミュレーションの空間解像度をより向上させるとともに、非線形加速項や双極子磁場形状の導入を進める。
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