研究課題/領域番号 |
22H00117
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分14:プラズマ学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長崎 百伸 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (20237506)
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研究分担者 |
永岡 賢一 核融合科学研究所, 研究部, 教授 (20353443)
桑原 大介 中部大学, 理工学部, 准教授 (60645688)
小林 進二 京都大学, エネルギー理工学研究所, 准教授 (70346055)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
36,270千円 (直接経費: 27,900千円、間接経費: 8,370千円)
2024年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2022年度: 16,510千円 (直接経費: 12,700千円、間接経費: 3,810千円)
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キーワード | 高エネルギー粒子 / MHD不安定性 / ECH/ECCD / 閉じ込め磁場配位 |
研究開始時の研究の概要 |
磁場閉じ込め核融合プラズマにおいて、アルファ粒子や中性粒子ビームといった高エネルギー粒子(energetic particle, EP)を良好に閉じ込めることは、加熱効率を向上させ、高性能炉心プラズマの生成・維持するために重要な課題である。本研究では、電子サイクロトロン共鳴加熱・電流駆動(ECH/ECCD)や回転変換などの磁場配位パラメタといった外部制御が可能なアクチュエータを組み合わせることでEP励起MHD不安定性の制御手法を開発する。複数のアクチュエータによって励起・減衰の物理機構を明らかにするとともに、EPが駆動する測地線音波モード(EGAM)によるバルクイオンの直接加熱を試みる。
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研究実績の概要 |
磁場閉じ込め核融合プラズマにおいて、核融合反応によって生成されるアルファ粒子や加熱用中性粒子ビームといった高エネルギー粒子(energetic particle, EP)を良好に閉じ込めることは、加熱効率を向上させ、高性能炉心プラズマの生成・維持するために重要な課題である。本研究では、炉心プラズマ閉じ込めの劣化やプラズマ対向壁の損傷を引き起こすEP励起MHD不安定性を克服するため、電子サイクロトロン共鳴加熱・電流駆動(ECH/ECCD)や回転変換などの磁場配位パラメタといった外部制御が可能なアクチュエータを組み合わせることで大型実験装置や原型炉に外挿可能なEP励起MHD不安定性の制御手法を開発する。また、複数のアクチュエータによってEP励起MHD不安定性の励起・減衰の物理機構を明らかにする。 EP励起MHD不安定性の励起・減衰の物理過程を理解するためには、AEの空間構造を実験的に求めることが重要となる。今年度は、AEの空間構造の特性に合わせた局所揺動計測システムをHeliotron Jプラズマ実験装置に適用し、EP励起MHD不安定性を観測した。開発したラジオメータによる電子温度分布計測、マイクロ波反射計による電子密度揺動計測を可能とした。中性粒子ビーム加熱によって励起された巨視的アルフベン固有モード(GAE)及び高エネルギー粒子モード(EPM)が100kHz近傍の周波数で励起されることを観測するとともに、電子サイクロトロン共鳴加熱(ECH)の重畳によるモードの励起・減衰について調べた。ECH変調では、モードの励起・抑制にエネルギー閉じ込め時間の時間スケールで遅れの応答性が見られており、モードのダイナミクスから電子圧力の変化のみでモードの挙動が決定されていないことを示唆する結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
EP励起MHD不安定性の励起・減衰の物理過程を理解するためには、AEの空間構造を実験的に求めることが重要となる。巨視的アルヴェン固有モード(GAE)、高エネルギー粒子モード(EPM)といったモード計測のためには、局所的なMHD揺動計測が可能なECEラジオメータ(電子温度揺動計測)、及び、マイクロ波反射計システム(密度揺動計測)を開発する必要がある。昨年度に開発したこれらの計測システムをHeliotron J装置に適用し、Heliotron Jプラズマ実験において電子温度、及び、電子密度揺動の計測が行えることを確認した。 ECEシステムは16chのシステムを異なるトロイダル角2点の位置で計測することに成功しており、今後の詳細な計測に向けての準備が進んだ。マイクロ波反射計についても、同じポロイダル断面上で3点の計測が行えるシステムを構築し、周波数スキャン等の初期データを得ることができている。プラズマ実験では、NBIによって80 kHz, 100 kHz近傍にGAE, EPMを励起し、ECHを定常または変調入射した。モード強度が電子密度、ECHパワー、NBIパワーに依存すること、ECH変調に対してモード応答に遅れが観測されている。ECHパワーが高い200kW入射の場合は電子密度上昇ととともにモードが抑制されているのに対し、ECHパワーが低い100kW入射の場合は電子密度上昇とともにモードが励起されており、NBIによる高エネルギー粒子圧力とECHによるバルク電子圧力、連続減衰のバランスでモードの励起・減衰が決まっていることを示唆する結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
Heliotron J装置のシアーアルヴェンスペクトルは径方向に平坦であるため、コア領域で励起されるAEはGAEが主たるモードであり、周辺領域ではEPMであるが、磁気シア制御によりトカマクで主要なモードである。Heliotron J装置での磁場配位制御の柔軟性を活かし、プラズマ中心での磁場強度、プラズマ体積、磁気井戸を一定に保ちながら、回転変換と0.4から0.6まで変化させる等、シアーアルヴェンスペクトルを変化させ、励起されるEP励起モードの制御を行う。開発したECEラジオメータ、マイクロ波反射計システム、また、ビーム放射分光システム等を用いて、EP励起モードの径方向構造を計測するとともに、磁気プローブアレイを用いてトロイダルモード数、ポロイダルモード数を求める。第2高調波70GHz ECH/ECCD(400kW)と外部コイルによる磁場配位を組み合わせることによって、EP圧力分布、連続減衰、磁気シア、ランダウ減衰の各項の効果を切り分けることを試みる。Heliotron Jと磁場配位が異なるLHD装置、TJ-II装置、等で取得されたデータベースと比較し、連続減衰、磁気シア、ランダウ減衰の効果を明確化する。 EP励起MHD不安定性の制御実験によって得られたモード周波数・モード数及び径方向分布のデータをFAR3dコード、STELLGAPコードを用いた理論解析結果と比較し、EP圧力、バルク圧力、連続減衰の物理機構について探索する。これらの結果を用いて大型装置や原型炉で予想されるプラズマパラメタにおいて、本研究で開発した磁場配位、ECH/ECCDを用いた制御手法の外挿性を探る。 自己燃焼維持のためにはイオンが加熱される必要があるため、その手法としてEP励起不安定性のひとつであるEGAMを用いて直接イオン加熱することを試みる。
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