研究課題/領域番号 |
22H00119
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分14:プラズマ学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
坂和 洋一 大阪大学, レーザー科学研究所, 准教授 (70242881)
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研究分担者 |
松清 修一 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (00380709)
福田 祐仁 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光量子科学研究所 光量子ビーム科学研究部, 上席研究員 (30311327)
森田 太智 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (30726401)
山崎 了 青山学院大学, 理工学部, 教授 (40420509)
富田 健太郎 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (70452729)
Morace Alessio 大阪大学, レーザー科学研究所, 助教 (70724326)
竹崎 太智 富山大学, 学術研究部工学系, 助教 (90824326)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,250千円 (直接経費: 32,500千円、間接経費: 9,750千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 14,690千円 (直接経費: 11,300千円、間接経費: 3,390千円)
2022年度: 20,020千円 (直接経費: 15,400千円、間接経費: 4,620千円)
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キーワード | 無衝突衝撃波 / レーザー宇宙物理学 / パワーレーザー / 粒子加速 / 乱流磁場 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、近年 国内外で開発が進んできたパワーレーザーを用いて我が国オリジナルのレーザーを用いた実験室宇宙物理学「レーザー宇宙物理学」により、宇宙・天体プラズマ物理の長年の未解決問題である「無衝突衝撃波による宇宙線加速」の要素物理を明らかにすることである。 宇宙から飛来する高エネルギー荷電粒子「宇宙線」の加速機構 として、「無衝突衝撃波」による加速が最有力であるが、衝撃波の生成機構や加速機構は未解決である。本研究では、「無衝突衝撃波による宇宙線加速機構」の解明に重要な「無衝突衝撃波生成」「粒子加速」「乱流磁場生成・増幅」の素過程を、パワーレーザーを用いて地上実験で明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、宇宙・天体プラズマと実験室プラズマの専門家の連携により、学際的学術分野であるパワーレーザーを用いた実験室宇宙物理学「レーザー宇宙物理学」 の手法によって、「いかにして無衝突衝撃波が生成され、それによってどのように粒子が加速されているか」という問いを解明するために必要な要素物理を明らかにすることである。 この重要な「問い」がこれまで解明されなかった原因の1 つは、天体のリモート観測では分解能が不足しており、衝撃波や乱流磁場の物理量および加速粒子の時間・空間発展を詳細に計測することが困難だからである。 本研究では、新規実験手法・計測器・計測手法と、ここ数年間に国内外で新たに開発され共用実験に提供された新しいパワーレーザー群を用いて、「無衝突衝撃波による宇宙線加速機構解明」に重要な役割を果たす「無衝突衝撃波生成」「乱流磁場生成・増幅」「粒子加速」の3つの素過程を明らかにする。 そのため、[1] 無衝突磁化衝撃波: 宇宙に普遍的に存在する外部磁場中の磁化衝撃波、[2] 無衝突電磁(ワイベル)衝撃 波: γ線バーストなどの高エネルギー天体に存在すると考えられているワイベル不安定性によって生成された自己生成乱流磁場中の電磁衝撃波、 [3] 無衝突静電衝撃波: 磁場を伴わない静電的な衝撃波、の3つの小課題に細分化して実験を行った。[1]では、 磁化衝撃波の長時間計測において、衝撃波面の不安定化が観測された。[2]では、 焦点距離の短いプラズマ集光ミラーシステムを設計・作成し、レーザー実験に導入した。[3] では、 a_0 ~ 2程度のpsレーザー LFEXを用いて行った無衝突静電衝撃波生成実験のデータ解析を行い、臨界密度程度のプラズマ中ではプロトンのみが無衝突静電衝撃波によって加速されていることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
無衝突衝撃波生成」「乱流磁場生成・増幅」「粒子加速」の3つの素過程を明らかにするために、以下に示す3つの小課題細に分化して研究を行った。 [1] 無衝突磁化衝撃波: 窒素の雰囲気ガスプラズマ中でアルフベンマッハ数 M_A ~ 4の磁化衝撃波を生成し、この衝撃波の時間発展を計測し、衝撃波面の不安定が観測された。シミュレーションでこの不安定性の物理機構の考察を行なっている。 [2] 無衝突電磁(ワイベル)衝撃波:成長時間の長いワイベル不安定性による電磁(ワイベル)衝撃波の生成には、高強度のpsパルスレーザーが必要となる。大阪大学レーザー科学研究所保有のpsレーザー LFEXの集光径の減少による集光強度の増大を目的として、プラズマミラーを用いた焦点距離の短いプラズマ集光ミラーシステムを設計・作成し、レーザー実験に導入した。 [3] 無衝突静電衝撃波: 粒子シミュレーションの結果、プロトンとカーボンイオンを含む複数イオン種プラズマ中で、規格化されたレーザー強度 a_0 < 5の比較的低レーザー強度では無衝突静電衝撃波にプロトンのみが加速され、a_0 > 5の高レーザー強度ではプロトンとカーボンイオンが加速されることが示された。a_0 ~ 2程度のpsレーザー LFEXを用いて行った無衝突静電衝撃波生成実験のデータ解析を行った。X線分光器で得られたデータから、臨界密度程度のプラズマ中では無衝突静電衝撃波が生成され、プロトンのみが加速されていることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
[1] 無衝突磁化衝撃波: アルフベンマッハ数 M_A > 4の無衝突磁化衝撃波を生成し、t > 10/w_ci (w_ci はイオンサイクロトロン周波数)の長時間計測を行う。そのために、水素やヘリウムなどの軽ガスイオンを用いて実験を行う。各種固体ターゲットにGXIIレーザーを照射し、ターゲットプラズマからの輻射によって真空容器を満たした軽ガスを電離する。実験ではまず最適なターゲット,ガス種・圧力を明らかにする。協同トムソン散乱計測によって衝撃波散逸過程に重要な磁場に垂直と平行方向のイオン温度非等方性を計測する。また、パルス幅を長くして衝撃波の長時間発展を計測し、不安定性の成長や、反射粒子に起因する衝撃波面の周期的な形成・崩壊現象の観測を試みる。 [2] 無衝突電磁(ワイベル)衝撃波: psレーザー LFEX(レーザー科学研究所)のビーム集光径縮小によるレーザー 強度増大を目指した、短焦点距離のプラズマミラーを用いた集光システムの設計・作成・基礎データ取得を継続して行う。 [3] 無衝突静電衝撃波: プロトンとカーボンイオンを含む複数イオン種プラズマ中に a_0 ~ 30の高強度のfsレーザー J-KAREN-P (関西光量子科学研究所) を照射することによって、プロトンとガーボンイオンの加速が観測された。X線分光データからプラズマ温度と密度を求める。また予備的な粒子シミュレーションの結果、レーザー生成磁場の磁気圧によって駆動された無衝突静電衝撃波によるイオン加速が示唆されている。さらに粒子シミュレーションを行い、この新しいイオン加速の物理的機構を明らかにする。
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