| 研究課題/領域番号 |
22H00122
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| 研究種目 |
基盤研究(A)
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| 配分区分 | 補助金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
中区分15:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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| 研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大西 宏明 東北大学, 先端量子ビーム科学研究センター, 教授 (60360517)
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| 研究分担者 |
GUBLER PHILIPP 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究職 (00632390)
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| 研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2025年度)
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| 配分額 *注記 |
43,030千円 (直接経費: 33,100千円、間接経費: 9,930千円)
2025年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2024年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
2022年度: 22,490千円 (直接経費: 17,300千円、間接経費: 5,190千円)
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| キーワード | ベクトル中間子 / カイラル対称性の自発的破れ / 高密度核物質 / ω中間子 / 高密度QCD / 形状因子 / カイラル対称性の自発的な敗れ / omega 中間子 / 遷移形状因子 / カイラル対称性の自発的敗れ |
| 研究開始時の研究の概要 |
ハドロン質量の98%は量子色力学(QCD)で記述される真空が持つ「カイラル対称性の自発的破れχSB」により動的に獲得される。その有力な検証方法が「χSB が部分的に回復している原子核中でのハドロン質量減少の観測」である。 本研究では、原子核中でのω→π0e+e- 崩壊モードからのω中間子形状因子導出に注目する。理論的にこの形状因子は、核媒質でχSBの減少に敏感なρ中間子を中間状態として持つとされる。即ち、原子核中ω中間子形状因子は、中間状態であるρ中間子の質量変化を起因として真空中状態の形状因子から大きく変化する可能性がある。この変化の有無を確定することによる、ハドロン起源の同定を目指す。
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| 研究実績の概要 |
ハドロンの質量の約98%は、量子色力学(QCD)の真空構造に由来する「カイラル対称性の自発的破れ(χSB)」によって動的に生成されることが理論的に示されている。この現象を実験的に検証するためには、「原子核中においてハドロン質量が減少するか否か」を直接観測することが有力なアプローチの一つとされてきた。しかしながら、これまで行われてきた多くの実験では、明確な証拠を得るには至っていない。 本研究では、QCD真空の性質に敏感なベクトル中間子であるω中間子に着目し、その質量と荷電半径の間に存在するとされる反比例関係を利用し、真空中および原子核中における中間子荷電半径の変化の精密測定からハドロン質量の起源がχSBによるものであるかどうかを、従来とは異なる角度から検証することを目的としている。 当該年度は、SPring-8のLEPS2ビームラインにおいて、銅標的を用いた第一期のデータ取得を実施した。実験は計画通りに進行し、測定系の安定動作のもとで、約50億事象という大規模なデータを取得することに成功した。現在は、得られたデータを基に、検出器の応答特性や較正パラメータの精密化作業を進めており、今後の詳細解析に向けた準備を整えている。 また、研究成果の一部は韓国物理学会における日韓合同セッションにて発表され、現地研究者との間で本研究の科学的意義や将来的な展望について活発な議論を行った。国際的な連携を通じて、本研究の波及効果を高めるとともに、今後の展開に向けた貴重な意見交換の場となった。 さらに、研究分担者によって核媒質中におけるベクトル中間子の特性変化に関する理論的研究も継続的に推進されており、とくにω中間子と密接に関連するφ中間子の性質変化に関する解析が進展している。これらの理論的成果は、実験結果と照らし合わせることで、χSBの実在性に迫る新たな知見をもたらすと期待される。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度および2024年度には、検出器およびデータ収集系の性能向上を目的として、システム全体の調整・改良を段階的に実施してきた。これに加え、ビームの強度向上や照射条件の最適化などの取り組みも並行して行い、実験環境の整備を進めてきた。その結果、当該年度にはようやく銅標的を用いた本格的なデータ収集に成功し、物理解析に十分な統計量を確保するに至った。現在は、取得済みのデータを用いた詳細な解析作業を進行中であり、今後の本格的な物理結果の導出に向けて準備が整いつつある。
一方で、実験装置自体は建設からすでに10年以上が経過しており、各構成要素の経年劣化が徐々に顕在化してきている。特に、消耗品である光電子増倍管の感度低下や、長年更新が行われていない読み出し回路の信号処理能力の限界が課題として浮上している。これらの劣化部品は、装置全体の性能維持に直結する重要な要素であり、今後の安定的なデータ取得のためには早急な保守・交換作業が不可欠である。現在、これらの修繕計画を進めており、最終年度中に予定されている本研究に必要な全データの取得を無事完了できる見込みである。
また、昨年度に引き続き、ベクトル中間子が原子核内部で示す特性変化に関する理論的研究も着実に進展している。特に、本研究で主要な対象とするオメガ中間子に関しては、その核媒質中におけるふるまいをより深く理解するために、理論・実験の両面からのアプローチが求められる状況にある。今後は研究分担者との間での理論的議論をさらに深め、解釈の整合性を高めるとともに、解析結果との接続を強化していく必要がある。より強固な連携体制を構築することが、次年度に向けた最重要課題の一つであると認識している。
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| 今後の研究の推進方策 |
2024年度に収集したデータの解析作業を継続的に進めるとともに、2025年度においても引き続きデータ収集を行う予定である。2024年度と同様に銅標的を用いた測定を継続する一方で、より重い原子核を標的とする新たな試みとして、ニオブ(Nb)、スズ(Sn)、タングステン(W)などを用いた実験の可能性を検討している。これらの重核標的に対しては、事前に実験的なバックグラウンドが実験技術的に受け入れ可能かどうかの検証試験を実施し、測定条件や得られるイベント率などを評価する。その結果に基づき、必要に応じて本格的なデータ収集へと展開する予定である。 さらに、データ解析の効率化および精度向上を図るため、計算機環境の整備にも取り組んでいる。解析作業に必要なソフトウェア群、特にモンテカルロシミュレーションコードの準備・最適化を進め、解析体制の基盤を強化する。これにより、実験データとの比較解析を通じて、より信頼性の高い物理的結論を導き出すことを目指している。 理論研究の側面では、研究分担者が中心となり、ベクトル中間子が核媒質中で示す質量変化に関する解析を引き続き推進している。これまでの知見を踏まえつつ、質量シフトの発現メカニズムや核密度依存性などの詳細について理論的理解を深めることが重要な課題である。 また、研究分担者や協力研究者、さらに当該分野に精通する専門家を招いたセミナーの開催を通じて、対象とするオメガ中間子の特有の現象についての多角的な議論を行う予定である。加えて、本研究の中心的テーマである「ハドロン質量の起源」に関する理解を深めるべく、国内外の研究会や国際会議などにおいて積極的な発表・情報共有を行い、今後の研究方針の明確化と国際的な学術連携の強化に努める。
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