研究課題/領域番号 |
22H00123
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分15:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菊永 英寿 東北大学, 先端量子ビーム科学研究センター, 准教授 (00435645)
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研究分担者 |
後藤 真一 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (70334646)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
43,420千円 (直接経費: 33,400千円、間接経費: 10,020千円)
2024年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2022年度: 24,960千円 (直接経費: 19,200千円、間接経費: 5,760千円)
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キーワード | 光核反応 / 核反応 / 速中性子 / RI製造 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,核医学利用など放射性同位元素(RI)は活躍の場を広げており,その製造法にも注目が集まっている。同じRIを製造するにも様々な核反応系が提案されているが,大規模な核医学RI製造システムを構築する際は製造効率が重要である。本研究の目的は,作りたい有用RIごとに最も効率が良い核反応系を決めることである。このとき正確な励起関数が必要となるが,光核反応および速中性子核反応の励起関数は実測が困難であり,文献値毎のばらつきも大きい。そこで新たに提案する高精度検証法によって,文献値やモデル計算値から正しいデータを選び出す。これを基として有用RIごとに最も効率が良い製造方法を模索する。
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研究実績の概要 |
前年度に引き続き,光核反応励起関数の検証実験を行った。東北大学電子光理学研究センターの大強度電子線形加速器で15-50MeVに加速された電子をエネルギー分散部に設置しているスリットでエネルギー選別し,光核反応収率測定を行った。今年度は制動放射線照射のみでなく電子照射も行い,仮想光子の影響も検討した。現在,これらのデータの解析を進めている。 速中性子反応についても,前年度同様に検証実験を行った。東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンターにて,前年度までのNi, Cu, Zn, Mo, Auに加え,Ti, Zr, In, Wに対して,25, 30 MeVの重陽子で生成した速中性子を照射し,積分断面積を取得した。文献値を再現するようパラメータ調整した理論計算TENDLとの比較だけでなく,理論計算の精度向上のため,純粋な理論計算TALYSとの比較も行った。 また,単体をターゲットとすることが難しい元素および濃縮同位体を対象とした実験に向け,大面積化合物ターゲット調製法を確立するために,天然同位体組成のカルシウムを用いて分子電着法の開発を引き続き行った。硝酸カルシウムを2-プロパノールに溶解し,モレキュラーシーブスで十分脱水したのち,300 V,30分間電着することで,95%以上の効率で厚さ280 μg/cm2程度の直径25 mmのターゲットが得られた。この電着条件で2度電着を繰り返すことで,剥がれなどなく厚さを500 μg/cm2程度にすることができた。 さらに,極微量しか取り扱えないラジウム等の励起関数検証法も検討した。Ra-226(γ,n)反応は核医学で注目されているAc-225を製造する方法の一つであり,実際に30-50 MeVにおける反応収率のデータも取得することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は光核反応についてはデータを順調に取得することができた。解析を進めていると,光子だけでなく残留電子による核反応についても検討する必要が出てきたため,電子照射実験を中心に行い,その影響についても調べている。 速中性子反応については使用予定のAVFサイクロトロンの重故障により半年間実験ができなかったため,データ取得に遅れは出ている。しかし,前年度の取得データが予定よりも多かったこともあり,当初の想定の範囲内で研究は推進できている。 濃縮同位体ターゲット調製法の開発については,電着法と沈殿法の2通りでターゲット開発を進めている。電着法については大面積ターゲットを作る目処を付けることができた。しかしながら,昨年に引き続き濃縮同位体の価格が上昇しており,濃縮同位体ターゲットの作製には進めていない。 その対案として,少量のターゲットでも実施できる新たな励起関数検証法について検討した。約150 kBqのRa-226を入手して,ターゲットを作製し,最大エネルギー30-50 MeVの制動放射線を照射することでRa-226(γ,n)反応収率の測定を行った。検討している手法は精度は落ちるが励起関数の検証は可能であると考えられ,現在,その手法の解析を進めているところである。 以上より,研究計画は大きな問題は無く,概ね順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
光核反応については昨年度に引き続き,光核反応励起関数の検証実験を行う。前年度,前々年度で実験条件は定まっており,対象となるターゲット核種を増やしていくことを目指す。また,電子による仮想光子反応の影響については,もう少し詳細な解析が必要であり,本年度中に対応する予定である。 速中性子反応についても同様に対象となるターゲット核種を増やしていく。また,解析を進めて必要があれば,更に低エネルギーでの実験も行う予定である。AVFサイクロトロンの重故障により2023年度の中程より実験ができていない。しかし,2024年度中には復帰することが見込まれており,年度の後半から実験を行う。 これまで,光核反応,速中性子反応ともに金属ターゲット中心に実験を行っていたが,今年度は化合物ターゲットを用いることにより,対象となるターゲット核種を増やしていく。そのための化合物ターゲットの調製法についても検討を行う。 少量しか入手できない濃縮同位体については大面積濃縮同位体ターゲットの他に,標準物質を同時に封入した少量濃縮同位体ターゲットの可能性も視野に入れ開発を行う。実用的な精度が得られるならば,濃縮同位体の中でも特に高価なものおよび,Ra-226等の放射性のターゲットや核燃料ターゲットへの適用を検討する予定である。
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