研究課題/領域番号 |
22H00128
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分15:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 (2023-2024) 東京大学 (2022) |
研究代表者 |
小高 裕和 大阪大学, 大学院理学研究科, 准教授 (50610820)
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研究分担者 |
玉川 徹 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (20333312)
川島 朋尚 東京大学, 宇宙線研究所, 特任研究員 (90750464)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
40,820千円 (直接経費: 31,400千円、間接経費: 9,420千円)
2024年度: 13,390千円 (直接経費: 10,300千円、間接経費: 3,090千円)
2023年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
2022年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
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キーワード | 中性子星 / 磁場 / 降着流 / X線偏光 / 強磁場 / 符号化イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
中性子星の表面付近は、1兆ガウスを超える磁場が巨視的なスケールで存在するという宇宙でも圧倒的に特異な環境である。本研究は、中性子星の種族の中では天体環境の不定性が比較的小さい「降着型パルサー」に着目し、超強磁場の下で物質と放射が如何に振る舞うか、その物理過程の精密な理解を目指す。そのために実験・理論の両面で新技術を導入し、(1) シリコン半導体ピクセル検出器を利用した新しい硬X線偏光計の実用化、(2) 輻射流体シミュレーションとモンテカルロ輻射輸送計算の連携による降着流プラズマの3次元X線放射モデルの構築、(3) 広帯域X線スペクトル・ X線偏光解析によるモデルの検証とフィードバックを行う。
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研究実績の概要 |
中性子星の表面付近は、1兆ガウスを超える磁場が巨視的なスケールで存在するという宇宙でも圧倒的に特異な環境である。本研究は、中性子星の種族の中では天体物理的な環境が比較的よくわかっている「降着型パルサー」に着目し、超強磁場の下で物質と放射が如何に振る舞うか、その物理過程の精密な理解を目指す。そのために実験・理論の両面で新技術を導入し、(1) シリコン半導体ピクセル検出器を利用した新しい硬X線偏光計の実用化、(2) 輻射流体シミュレーションとモンテカルロ輻射輸送計算の連携による降着流プラズマの3次元X線放射モデルの構築、(3) 広帯域X線スペクトル・ X線偏光解析によるモデルの検証とフィードバックを行うことを目的とする。 計画初年度である2022年度はこれまで継続してきた「微小ピクセルCMOSイメージセンサ偏光計」の開発と性能評価をさらに進めた。これまで原理実証段階であったCMOSイメージセンサの偏光測定能力が確立したことで、さらに実用化を目指して、検出効率や有効イベントの割合といったより詳細な検出器応答の評価を行なった。そのために、シンクロトロン放射光施設SPring-8の直線偏光硬X線ビームを用いて、偏光感度のエネルギー依存性を測定した。 天体物理の研究としては、まず明るい中性子星連星に着目し、系統的なデータ解析方法の開発を行なっている。第1段階として中性子星「Cen X-3」の「NuSTAR」衛星 のアーカイブデータを用いて、スペクトルの時間変動解析手法を構築した。この広帯域X線スペクトルの時間変動の解析結果は論文として出版済みである。さらに、この天体について連星公転軌道2周にもわたる長期の硬X線データを取得した。このデータ解析とモンテカルロシミュレーションによるモデル化を現在進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
半導体イメージセンサを用いたX線偏光計は、これまで原理実証・技術実証の域を出ていなかったが、本研究でセンサの詳細な性能評価や解析手法の整理を行なったことで、実用化に向けた方向性を見出すことができた。またさらなる偏光感度の向上を目指し、ピクセルサイズの小さなセンサの開発も進めており、開発の経過は順調である。 天体物理の研究についても、X線スペクトルの時間変動という多次元データの解析手法を確立し、降着型パルサーのの時間変動について、これまでにない精度で天体物理の議論ができるようになった。その結果を論文として出版したうえ、次の長時間観測データの取得へ繋げることができており、研究は順調に進展している。天体モデル構築のためのシミュレーションもさまざまなセットアップを試すことができる段階に来ており、今後の分析により具体的なモデルの構築を進められると考えられ、計画初年度としては順調だと言える。
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今後の研究の推進方策 |
計画2年目も初年度の研究課題を継続する。偏光計の開発としては、これまでよりもさらにピクセルの小さなセンサの開発と性能評価を行い、偏光感度の向上を目指す。また、これと並行して、本研究テーマの最終的な課題でもある究極の強磁場を持つ「マグネター」を見据え、より高エネルギー域の大有効面積偏光計の開発を進めるために、コンプトン散乱型の偏光計や集光望遠鏡の検討も進める。 天体物理の研究は、引き続き、いろいろなシミュレーションモデルの検討や結果の吟味を行い、具体的なモデルの構築へと繋げたい。データとシミュレーション結果を精密に比較するフレームワークも開発も行う。
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