研究課題/領域番号 |
22H00133
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分15:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
寄田 浩平 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (60530590)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,380千円 (直接経費: 32,600千円、間接経費: 9,780千円)
2024年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
2023年度: 11,830千円 (直接経費: 9,100千円、間接経費: 2,730千円)
2022年度: 13,520千円 (直接経費: 10,400千円、間接経費: 3,120千円)
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キーワード | 暗黒物質 / 液体アルゴンTPC / 宇宙反粒子 / 反粒子識別 / MeVガンマ線 / 反粒子 |
研究開始時の研究の概要 |
高感度の液体アルゴンTPC検出器を気球に搭載し、宇宙線中の反粒子(特に反重陽子)観測による宇宙暗黒物質探索を行うと同時に、MeVガンマ線天文学を開拓する。本研究は、素粒子の知見や実験技術を駆使し、宇宙・天文学的なアプローチで、これらの2つの学術的大問を同時に解決できる可能性の高いLArTPC検出器を開発構築し、段階的に評価観測を遂行し、さらに将来の気球・衛星実験へと展開する。
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研究実績の概要 |
本年度は、30㎝立法のプロトタイプ液体ArTPCを制作し、地上実験室での宇宙線の飛跡再構成を立証し、粒子識別能力の原理検証に成功した。アノード面は1㎝ピッチの30ch+30chの2Dストリップで、60chの読み出しにはS/Nのよい64ch-LTARS2014を搭載したアナログ基板にデジタル基板を連結させて行った。2022年10月には高純度・高電圧印可可能なLArTPCを運用し、宇宙線中のμ-とμ+の識別を行った。電荷識別と反粒子識別は本質的に同義なことを利用し、μが停止したあとに崩壊して出てくるミッシェル電子の有無で崩壊と捕獲事象を精査した。その結果、崩壊と捕獲事象の比は停止点の振る舞いから定量的に説明できることがわかった。この成果を受け、実験の鍵を握る反粒子と液体Arの捕獲反応の検証をするべく、東海J-PARCでの加速器ビーム試験の提案書を2022年12月に提出し、専門家の審査会(2023年1月)にて正式に承認された。まずはK1.8BRラインでの反重陽子生成のためのフェーズ1実験を2023年6月に予定している。また、2022年11月には気球工学試験(@北海道大樹町)のための提案書をJAXAに提出し、2023年度フライトとして採択された。これに加えて、南極での長期間気球フライトの実現のため、米国のコラボレータとともにNASAに実験提案書を提出した(2022年12月)。世界初の実験を完遂するため、素粒子の技術と宇宙観測の手法を融合させ、非常に独自性の高い提案を加速器と気球観測の双方にすることで世界に類のない展開を図っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していた30㎝立法のTPC制作と宇宙線実験に加えて、初年度に気球実験と加速器実験の2つの重要な提案が同時に承認されたことは大きな進展である。実験室での順調な開発進捗と当初の計画以上の進展により、今後の飛躍的な展開の基盤を作ることができたといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、J-PARCハドロンホールにおける反重陽子の生成率の検証(T98-PhaseI)とJAXA TARFにおける気球工学試験(B23-06)を同時に完遂する計画である。実施時期が重なる可能性があるため、安全も重視しながら準備を万全に行い、予算や人員についても、効率的な利用・配置を最適化して進める。
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