研究課題/領域番号 |
22H00149
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分16:天文学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大向 一行 東北大学, 理学研究科, 教授 (70390622)
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研究分担者 |
矢島 秀伸 筑波大学, 計算科学研究センター, 准教授 (10756357)
細川 隆史 京都大学, 理学研究科, 准教授 (30413967)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
37,700千円 (直接経費: 29,000千円、間接経費: 8,700千円)
2024年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2023年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2022年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
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キーワード | 星形成 / 銀河形成 / 巨大ブラックホール / 宇宙初期天体 / 磁気流体力学 / 輻射流体力学 / 巨大ブラックホール形成 |
研究開始時の研究の概要 |
数値シミュレーションにより、(1)星形成雲の物理状態と誕生する星団の関係、(2)初代銀河内の星団形成過程、(3)強い紫外線輻射場における超大質量星を含んだ星団の形成とそれを種とする巨大ブラックホールの形成について明らかにする。星形成雲の物理的状態ついて網羅的に調べる事で、宇宙大規模構造におけるさまざまな環境について星団形成を統一的に理解する。そして、その結果を初代銀河形成シミュレーションに組み込む事で、将来観測と直接比較可能な初代銀河の性質を予言する。加えて、初代銀河形成に伴う超大質量星形成、その重力崩壊によるブラックホール形成と巨大ブラックホールへの成長過程までの一貫した進化を解明する。
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研究実績の概要 |
本年度は、以下のような研究を行った: 1)初代星形成における非理想磁気流体力学効果:始原ガス中で支配的な非理想効果である両極性拡散を考慮して、ガス雲コアの重力崩壊から原始星形成までを非理想磁気流体力学数値計算により解析した。両極性拡散は、ダイナモによる磁場成長を若干抑制するものの、温度進化には顕著な影響を与えないことを解明した。 2)広い金属量範囲での原始星円盤の分裂過程:星周円盤の分裂過程に対する金属量の変化の影響を調べるため、2D輻射流体力学シミュレーションを実施した。全金属量で円盤分裂が生じることが判明した。特に中間的な金属量で分裂が起こりやすく、これはこの金属量で連星頻度が高くなっている観測事実を説明する。 3)低金属量星の初期質量関数に対する宇宙背景放射の影響:3D流体力学数値計算を用いて、低金属量での星団形成を解析した。特に、宇宙マイクロ波背景放射が星の質量分布に与える影響に焦点を当てた。金属量が比較的豊富な環境では、背景放射による加熱が星形成雲の分裂を抑制し、質量関数をより大質量に偏ったものにすることを明らかにした。この結果は、初期宇宙で形成される星の典型的な質量に大きな影響を及ぼし、超新星爆発の発生率に影響を与えることを示唆する。 4)ホストハロー内部放射によって誘発される直接崩壊ブラックホール形成:宇宙論的N体数値計算と半解析的銀河進化モデルを組み合わせて、内部放射が直接崩壊シナリオによる超大質量ブラックホールの形成にどのように影響するかを評価した。ブラックホール形成条件として、低金属量と強い紫外線放射が必要であるが、以前の我々のグループの研究により示唆された閾値を用いると、ブラックホールの個数密度がこれまで考えられていたより増加し、現在、宇宙に存在する巨大ブラックホールの個数密度を説明できる可能性があることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画で立案されていた各段階をおおむね期限内に無事完了することができ、特に大きな遅延が発生していない。この順調な進行は、予め設定した明確な目標と実行可能なタイムラインのみならず、分担者間の効率的なコミュニケーションと協力に支えられている。これらの要因が相まって、研究は全体として大きな支障なく進展しており、次の研究段階に移行する準備が整っているといえるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究は、計画されたスケジュールに沿っておおむね進行している。この成功の背景には、チーム全体の協力と効果的なコミュニケーションがあると考える。今後の研究では、これまでの成果を基にさらに進展を図るために、以下の三点に重点を置く計画である。第一に、研究チーム内での定期的な会合を引き続き実施し、進行状況の共有と問題点の早期発見・解決を図る。第二に、研究の質を高め、さらなる革新的発見を目指して、最新の技術と方法論を積極的に取り入れる。第三に、研究分担者間の連携を更に強化し、各分野の専門知識を生かした協働を促進する。これらの推進方策を通じて、計画通り、またはそれ以上の成果を達成し、研究の質と量を最大化することを目指す。
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