研究課題/領域番号 |
22H00172
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
日比谷 紀之 東京海洋大学, その他部局等, 博士研究員 (80192714)
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研究分担者 |
北出 裕二郎 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (50281001)
升本 順夫 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (60222436)
田中 祐希 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 准教授 (80632380)
伊地知 敬 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (30906128)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
43,030千円 (直接経費: 33,100千円、間接経費: 9,930千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 12,870千円 (直接経費: 9,900千円、間接経費: 2,970千円)
2022年度: 20,670千円 (直接経費: 15,900千円、間接経費: 4,770千円)
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キーワード | 海底凹凸地形 / 潮汐流 / 内部風下波 / 乱流混合 / 深層海洋大循環 / 投下式乱流計 / 乱流パラメタリゼーション / 深層海洋循環 |
研究開始時の研究の概要 |
深海乱流は表層からの熱を下層に伝えて深層水に浮力を与え、表層に持ち上げることで、深層海洋大循環の形成と強くリンクしているが、毎秒約2千万トンといわれる深層海洋大循環の流量を定常的に維持するだけの深海乱流強度は未だ見出されていない (Missing Mixing)。 本研究では、潮汐流の振幅が大きくなってくると高波数の海底凹凸地形上では内部風下波が励起されるようになり、従来考えられてきた内部潮汐波と比べ、はるかに多くの潮汐エネルギーをより鉛直上方の乱流混合過程に供給することができるという、従来全く見逃されてきた事実に注目し、Missing Mixing 問題の解決を目指す。
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研究実績の概要 |
乱流混合は、長期気候変動をコントロールしている深層海洋循環を制御する重要な物理現象である。そのため、高精度な気候変動予測や海洋物質循環の再現には、全球的な乱流混合強度の正確な見積もりが必要不可欠である。しかしながら、これまで明らかにされた乱流混合強度をすべて足し合わせても、毎秒2000万トンの流量を持つと推定される深層海洋循環を再現することは不可能である (missing mixing問題)。 この問題を解決できる可能性として、観測の困難さから未解明のまま残されている「海底凹凸地形上における高波数の内部風下波の砕波による乱流混合」に着目する。 今年度は、従来十分に考察されてこなかった有限振幅の海底凹凸地形上で、内部風下波とその背景に存在するGarrett-Munk内部波場との非線形相互作用によって形成される乱流混合ホットスポットの鉛直構造のパラメータ依存性を明らかにするため数値実験を行った。その結果、海底凹凸地形の振幅が小さい場合 (Steepness parameter<0.3) には、先行研究で示唆されていた通り、「背の高い乱流混合ホットスポット」が形成される一方で、海底凹凸地形の振幅が大きくなってくると(Steepness parameter>0.3) 海底近傍に慣性流が発生し、内部風下波の砕波が促進されるため、次第に「背の低い乱流混合ホットスポット」が形成されるようになることが確認された。 この他、JAMSTECの学術研究船「新青丸」の共同利用航海にも参加し、伊豆-小笠原海嶺上での投下式乱流計VMP-Xを用いた乱流観測を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初はハワイ海嶺上での乱流観測を予定していたが、現地協力機関の都合により実施困難となってしまったため、JAMSTECの学術研究船「新青丸」の共同利用航海に参加し、伊豆ー小笠原海嶺上で乱流観測を実施することができた。しかしながら観測スケジュールの都合上、取得できた乱流データ数が少なかったため、研究代表者の理論的予測の検証をさらに進めるためには、再度、次年度に同海域における乱流観測を実施する必要が生じている。
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今後の研究の推進方策 |
海底凹凸地形の近傍に形成される乱流混合ホットスポット、いわゆるNear-fieldの乱流混合ホットスポットの解明に向けて、これまでに実施してきた数値実験の結果を取りまとめて論文化を目指す。さらに、顕著な内部波の励起源であり、かつ、高解像度の海底凹凸地形データが存在する伊豆-小笠原海嶺上での投下式乱流計VMP-Xを用いた乱流観測も続行し、乱流混合過程の背後にある物理機構に基づいた内部風下波起源の乱流パラメタリゼーションの式の定式化を目指す。
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