研究課題/領域番号 |
22H00189
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分18:材料力学、生産工学、設計工学およびその関連分野
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
荒尾 与史彦 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (40449335)
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研究分担者 |
川田 宏之 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20177702)
タンクス ジョナサンデビッド 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究センター, 主任研究員 (50850947)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,900千円 (直接経費: 33,000千円、間接経費: 9,900千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
2022年度: 29,120千円 (直接経費: 22,400千円、間接経費: 6,720千円)
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キーワード | グラフェン / ナノファイバー / ハイブリッド材料 / 高強度 / フィルム / セルロースナノファイバー / ナノシート |
研究開始時の研究の概要 |
持続生産可能で環境に優しいナノ素材「植物ナノセルロース」と「グラフェン」を原料に して、軽量かつ高強度のシート材料を創り出し、プレス成形、射出成形の量産化成形プロセ スを可能とすることで、全て天然由来の循環型機械材料の実現を目指す。グラフェンとセル ロースナノファイバーが織りなすナノ構造を自在に制御することで、強度1000MPa、弾性率 100GPaを有する強くてしなやかな機械材料を創り出す。
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研究実績の概要 |
低エネルギーで循環する機械材料を創出することを目的に、ナノ素材であるグラフェンとポリマーを組み合わせてハイブリッド化させることで、高強度なフィルムを生み出すことに挑戦した。具体的には、グラファイトとセルロースナノファイバー分散液を混ぜ合わせ、3本ロールミルによる純せん断を付与することで、大面積でかつ薄層化したグラフェンの表面に、セルロースナノファイバーが吸着したハイブリッドシートを作り出し、高配向させてフィルム化させることで、ナノハイブリッドフィルムを作製した。 まず市販のセルロールナノファイバーとグラファイトの分散液をロールミルしてフィルム化したが、引張強度は100MPa未満であり、目標値を大幅に下回る値が得られた。フィルムの断面観察をしたところ、セルロースナノファイバーのダマ(凝集体)があり、またグラファイトの剥離度も低いことが確認された。そこで、セルロースナノファイバーをpH10程度のアルカリ水で希釈し、高せん断を付与して分散させることで、ダマのない高分散のセルロースナノファイバーの分散液が得られた。この高分散分散液を用いてロールミル処理を行ったところ、ロールミルの処理回数を10回、20回、30回と増やすごとに強度が増加することが確認され、最大で250MPaのフィルムが得られた。剥離グラフェンの形態観察を行ったところ、大きさは約5μm、厚みは10nm程度であった。厚みが10nmであることはグラフェンシートの層数が30層程度あることを意味しており、この状態では層間でのすべりが発生しやすく、内部まで応力が伝わりにくい状態である。よって、目標とする強度まで高強度化されていないものと推察された。目標とするフィルムの強度(1000MPa)を達成するために、グラファイトの更なる薄層化を進め、グラファイトに強く吸着するバインダーを選定するなどの工夫を検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
量産化されたセルロースナノファイバーについて理想的な分散状態を想定していたが、実際には分散液内にダマが存在し、それによってグラファイト表面に吸着しづらく、ロールミル処理によって高強度化につながらないことが確認された。まずセルロースナノファイバーを理想的に分散させるところで時間を要した。 グラファイトの剥離に用いる3本ロールミルについては、半導体不足の影響で納入までに半年ほどの時間を要した。また、使用中に故障中が度々生じ、特にロール表面が削れる事象が発生し、ロール表面の研磨で3ヶ月ほど研究がストップしている状態である。 以上の状況により、研究が遅延し、当初の予定よりやや遅れた状況となっている。
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今後の研究の推進方策 |
グラフェンとポリマーからなるナノ素材のフィルムの強度について、初期値の100MPaから、分散処理とロールミル処理を施すことで、2.5倍の250MPaまで向上させることができた。しかしながら、目標とする1000MPaまで達しておらず、機械材料して用いるのであれば少なくとも500MPa以上は達成させたい。昨年度の研究により、大幅な強度上昇が得られていない理由として、グラファイトの薄層化が不十分であることと、セルロースナノファイバーとグラフェンの吸着力が弱いことが原因として挙げられた。そこで本年度はその2つの原因を克服することを目指す。具体的には、グラファイトに前処理を施すことで、より剥離分散しやすくなる構造とし、これまで10nm以上であった厚みを5nm以下まで低減することに取り組む。さらに、グラフェンのバインダーとしてセルロースナノファイバーに限定せず、それ以外のポリマーについても模索する。具体的にはポリイミドなどグラファイト表面とπ-π相互作用のあるポリマーを選定し、ロールミル処理による薄層化、フィルム化を経て、500MPaを超える高強度フィルムを作り出す。
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