研究課題/領域番号 |
22H00194
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分19:流体工学、熱工学およびその関連分野
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
嘉副 裕 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (20600919)
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研究分担者 |
花崎 逸雄 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10446734)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,120千円 (直接経費: 32,400千円、間接経費: 9,720千円)
2024年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
2023年度: 11,570千円 (直接経費: 8,900千円、間接経費: 2,670千円)
2022年度: 15,860千円 (直接経費: 12,200千円、間接経費: 3,660千円)
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キーワード | ナノ流体工学 / 超解像度計測 / ナノ流路 / 粒子追跡法 / 光散乱 |
研究開始時の研究の概要 |
10-100 nmのナノ空間の流体科学・工学の進展に伴い、表面支配の極小空間における溶質分子輸送現象の解明が重要となっている。本研究では、独自の技術と方法論に基づき光散乱を用いたナノ空間非蛍光ナノ粒子の超解像度追跡法を創成することを目的とする。サイズと表面粗さを1 nm以下の精度で制御したガラス製ナノ流路を作製して、バックグラウンド光を極限まで低減して光学的に整えた条件下で、ナノ粒子の散乱光と流路壁面からの反射光との干渉により形成される粒子像を高速・高感度に検出し、位相差に伴う粒子像変化からナノ空間を流れる非蛍光ナノ粒子の位置をx, y, zの3方向で10 nm分解能で測定する。
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研究実績の概要 |
100 nm空間の流体科学・工学の進展に伴い、表面支配の極小空間における溶質分子輸送現象を解明する超解像度計測法が重要となっている。しかし、従来の超解像度計測法の大多数は蛍光を用いるため、溶質分子に相当する数nmサイズの粒子には適用できない。本研究では、独自の技術と方法論に基づき光散乱を用いた新たな超解像度非蛍光1粒子追跡法の開発を目的とする。具体的には、研究項目A:計測システムの構築とナノ粒子像の検出、研究項目B:ナノ粒子像解析法の構築と超解像度分解能の検証、研究項目C:ナノ流路における非蛍光1粒子追跡の検証、研究項目D:ナノ流路における非蛍光1分子追跡への応用に取り組む。 2022年度は、研究項目Aに取り組んだ。ナノ流路を流れるナノ粒子からの散乱光を周囲の反射光との干渉を利用して検出するために、連続光レーザと高速度カメラを用いた計測システムを構築した。周囲の反射光はバックグラウンドとして計測におけるS/B比の低下も招くことから、ナノ流路のガラス材質、流路加工の有無、ナノ流体デバイスの構造が干渉散乱光検出におけるバックグラウンドに及ぼす影響を評価した。その結果、デバイス構造に由来するバックグラウンドについては光学系を工夫すれば大幅に低減できること、ドライエッチングによる流路加工はバックグラウンドにほとんど影響しないことを見出した。また、バックグラウンドを低減するガラス材質として石英ガラスが最適であることも明らかにした。以上の検討にもとづき、ナノ流路を流れるポリスチレンナノ粒子から生じる干渉散乱光を検出することに成功した。この結果にもとづき、次年度はナノ流体デバイスの構造と計測システムの光学系を最適化し、ナノ流路を流れる10 nmサイズのナノ粒子から生じる干渉散乱光の検出の検証に取り組む。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では、4年間の研究期間の内、前半は研究項目A、Bに取り組み、後半は研究項目C、Dに取り組む予定である。それに対して、1年目である2022年度は、研究項目Aで目標とする計測システムの構築とナノ粒子像の検出を達成した。よって、研究計画の通り順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、2022年度に得られた成果にもとづき引き続き研究項目Aに取り組む。ナノ流体デバイスの構造と計測システムを最適化して、ナノ流路を流れる10 nmサイズのナノ粒子の干渉散乱光の検出を検証する。また、研究項目Bで目的とするナノ粒子像解析法の構築にも取り組む。
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