研究課題/領域番号 |
22H00209
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
セット ジ・イヨン 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (20530827)
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研究分担者 |
張 超 島根大学, 学術研究院理工学系, 助教 (20881668)
山下 真司 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (40239968)
金 磊 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (10825748)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,250千円 (直接経費: 32,500千円、間接経費: 9,750千円)
2024年度: 11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
2023年度: 16,510千円 (直接経費: 12,700千円、間接経費: 3,810千円)
2022年度: 14,430千円 (直接経費: 11,100千円、間接経費: 3,330千円)
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キーワード | 三次元計測 / レーザ形状計測 / ビームスキャナ / LIDAR / 3Dイメージング / 光計測 / 距離計 / 非機械式 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、革新的な3次元イメージングの基盤技術を確立することを目的として、独自 の(1)チャープ型強度変調位相シフト法および(2)ピコ秒光サンプリング飛行時間法の二つ新規なレーザ距離計基盤技術を駆使し、従来の3次元イメージング技術より桁違いの性能を持つ基盤技術を確立する。 独自の光変調方式およびディジタル信号処理技術により、従来の強度変調位相シフト方式の性能を大幅に超越し、長距離かつ高い距離分解能を実現する。また、ピコ秒レーザを用いた非同期アルゴリズムベースの光サンプリングという独創的な距離計測手法を用いて、既存方式より高い時間分解能を実現するためその基盤技術を確立する。
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研究実績の概要 |
本研究では、従来のレーザ距離計測法に対して、本質的に異なる2種類の革新コアLIDAR基盤技術:(1) チャープ強度変調位相シフト(CAMPS)方式および(2) ピコ秒光サンプリング飛行時間(POS-TOF)方式を提案し、これらの実現を目的としている。そして、これらの提案手法により高感度・高分解能・高機能を兼ね備えた包括的な3D LIDAR計測基盤技術の実現を目指す。 CAMPS法について、長距離化および高分解能を両立する独自方式であるチャープ強度変調を用いると多数の周波数成分が含まれるため、従来の方式に適用されているロックイン検波法では位相シフト成分を検出することができない。このため、CAMPS方式では独自の信号処理によるデジタルロックイン検出法を使用することによって、チャープ信号の位相差を検出する。本年度では長距離計測に向けて、距離曖昧性の基礎理論を追究し、またCAMPS法の理論限界を明らかにし、さらなる性能向上のためにパラメータの最適化し、その結果国際論文誌2件と国際会議発表4件(うち招待講演3件)の実績を得た。 一方、ピコ秒光サンプリングを用いた革新基盤技術POS-TOF法では、ピコ秒モード同期レーザを利用し、非線形光学効果である四光波混合により光サンプリングを行っており、消光比が高いという利点がある。そして、光サンプリング用長波長帯の短パルスモード同期ファイバレーザの開発を目指す。これによって、計測光の波長多重化が可能になる。このような計測光の波長の並列展開により、測定感度が飛躍的に上昇するため、測定レンジの延長への道筋が開かれると期待している。POS-TOF法に必要な電気パルスパターン発生器の開発も今年度中に着手しました。まずは、中心になる長波長帯Lバンド短パルスレーザの開発を成功しました。その結果国際論文誌2件と国際会議発表4件(うち招待講演2件)の実績を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度では、継続的チャープ型強度変調位相シフト法(CAMPS)および光サンプリング飛行時間法(POS-TOF)の開発、レーザ光源部の設計・試作、デジタル信号処理アルゴリズムの基本設計・性能検証、非機械式広域ビームスキャナの仕様検討及び基本設計を実施することを行いました。 本研究軸としている技術のチャープ型強度変調位相シフト法については取得した3次元計測に関するノイズ低減などソフトウェアによる信号処理に関するテーマであり、ピコ秒光サンプリング飛行時間法については基礎技術である光ファイバレーザの開発等ハードウェアに関するテーマにおいて大きな進捗があった。チャープ型強度変調位相シフト法では未だ完全な非機械式ではないものの、全自動2次元光スキャニングシステムを構築したことにより想定よりも多くの3次元形状計測データを取得することができ、さらなる新奇なアイデアや信号処理に関する改善案が生まれる等の進展があった。 また、光サンプリング飛行時間法ではサンプリングアルゴリズムに関する学術発表は実現できなかったものの上述の通り光ファイバレーザ技術において複数の新規技術が生まれ、国際論文誌18件、国際会議31件、招待講演6件の発表が行われた。また、特許3件を出願済み。当初の計画以上に成果を得られていました。 本研究課題では光ファイバレーザや光スキャニング技術等のハードウェア的な要素とサンプリングアルゴリズムやデジタル信号処理技術などのソフトウェア的な要素を高度に掛け合わせることが求められる。その点において昨年度の両技術における進捗はハードウェア、ソフトウェアの両側面について今年度以降の発展に大きく貢献する想定以上の進捗であったと考える。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度では、光サンプリング飛行時間法(POS-TOF)を注力し、その研究開発、サンプリング中心部の短パルスレーザ光源部の設計・試作、および非同期サンプリングのためのデジタル信号処理アルゴリズムの基本設計・性能検証を実施することを計画している。 従来のTOF方式は検出器の電気的帯域制限によって分解能が制限されている。光サンプリングは光の領域でサンプリングを行い等価時間サンプリングを行うことによってピコ秒オーダーの高時間分解能でサンプリングを可能にする手法である。POS-TOF方式は光サンプリングを用いることによって、TOFの距離分解能を制限していた電気的帯域制限を超える分解能での距離測定が可能としている。ピコ秒光サンプリングを用いた革新基盤技術POS-TOF法では、ピコ秒モード同期レーザを利用し、非線形光学効果である四光波混合により光サンプリングを行っており、消光比が高いという利点がある。そして、光サンプリング用長波長帯の短パルスモード同期ファイバレーザの開発を目指す。これによって、計測光の波長多重化が可能になる。このような計測光の波長の並列展開により、測定感度が飛躍的に上昇するため、測定レンジの延長への道筋が開かれると期待している。 POS-TOF法に必要な電気パルスパターン発生器の開発も今年度中に着手する予定である。ここでは、電気短パルスの発生に適した高周波回路の設計、試作および評価を行う。そして、POS-TOF法用の距離計測アルゴリズムを開発してシステムに実装し、最終的に本技術を用いた距離計の検証を実施する予定である。
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