研究課題/領域番号 |
22H00214
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪公立大学 (2024) 京都大学 (2022-2023) |
研究代表者 |
安藤 裕一郎 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (50618361)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
43,290千円 (直接経費: 33,300千円、間接経費: 9,990千円)
2024年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2023年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
2022年度: 24,570千円 (直接経費: 18,900千円、間接経費: 5,670千円)
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キーワード | シリコンスピンデバイス / シリコンLSI / 電子スピン / 14族半導体 / シリコンスピントロニクス / シリコン / スピン流 / スピンデバイス / スピントロニクス / 14族元素 |
研究開始時の研究の概要 |
微細化による半導体素子の性能向上は物理的限界に直面しつつある.本研究では電子スピンを活用するスピントロニクスに着目する.申請者はシリコンスピンFETや単一素子で切り替え可能な論理演算素子の室温動作実証に成功している.しかし実現した素子は1990年代レベルの素子サイズであるほか,遅延や容量等は未検討,現代の標準技術である歪やhigh-k絶縁膜等も未導入である.本研究はシリコンスピンデバイスに最新半導体技術を積極的に採用し,素子性能の飛躍的向上を目指す.また実用化には不可避の検討項目である遅延,容量,次段デバイスへの情報伝達手法等も検討する.
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研究実績の概要 |
本年度は下記の(A)~(C)に関連する研究を実施し,以下に示すような結果を得た. (A)シリコンデバイスの高速応答特性を評価するために,高周波電流源を用いてスピン信号の特性評価を行った.10Hzから100kHzまでの間でスピン輸送信号の評価を行い,電荷に起因する電圧成分,およびスピンに起因する電圧成分の詳細な切り分けを行ったところ,スピンに固有の容量成分が存在することが判明した. (B)スピンの向きや総数を自在に制御することにより,論理演算を行うシリコンチャネル・スピン論理演算素子の実現を目指す研究を行った.デバイス加工の最適化を行ったところ,通常のプレーナー型スピン素子において,7オームを超える巨大なスピン依存抵抗を発現することに成功した.本結果は微小電流でも十分なスピン機能を発現できる可能性を示唆しており,多彩なスピンデバイスの基礎となる技術である.次に本作製手法を用いて非共線配置のスピンデバイスを作製した.スピンの回転操作のON/OFF,ゲート電圧のON/OFFにより,1素子で複数の演算内容を切り替え可能なスピン論理演算素子の室温原理実証に成功した. (C)ショットキー障壁により高効率なスピン流電流変換を実現できるシリコンベースMESOデバイスの創成を目指し,強磁性体スピン注入源,シリコンスピン輸送チャネル,スピン流電流変換材料(SOI材料)が積層された基板を用いてMESO構造の作製を行った.作製プロセス過程において,シリコンチャネルのダメージが顕著であることが判明し,現在までのところスピン流―電流変換現象は得られていない.本目的のためにはフッ酸等のウェットプロセスの手法,時間の最適化が必要であることが判明した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新しい物理現象の発見や,新規デバイス機能の実証等は順調に進んでいる.従って総合的に見れば概ね順調に進展していると判断できる.いくつかの研究内容については論文執筆の段階に到達していると判断できるため,今後は論文執筆にも注力したい.
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今後の研究の推進方策 |
シリコンデバイスの高速応答については実験装置の拡充を図り,GHz領域まで評価し,学理の開拓を進めていきたい.MESOデバイスなどの新規スピンデバイスについては,まずは微細加工技術の改善を図り,室温での動作実証を図っていく予定である.また新しい展開として量子演算との融合を図り,より少数のスピンで駆動するスピンデバイスを創製し,高感度スピン検出の技術開発も図っていく予定である.
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