研究課題/領域番号 |
22H00215
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
山下 兼一 京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 教授 (00346115)
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研究分担者 |
高橋 駿 京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 准教授 (60731768)
水野 斎 富山県立大学, 情報工学部, 准教授 (60734837)
竹延 大志 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (70343035)
稲田 雄飛 京都工芸繊維大学, 材料化学系, 助教 (90770941)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
43,680千円 (直接経費: 33,600千円、間接経費: 10,080千円)
2024年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
2022年度: 26,910千円 (直接経費: 20,700千円、間接経費: 6,210千円)
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キーワード | ポラリトン / 微小共振器 / 鉛ハライドペロブスカイト / 有機半導体 / 遷移金属カルコゲナイド |
研究開始時の研究の概要 |
社会実装が進む量子デバイスシステムのさらなる普及拡大に向けては、低消費電力で駆動できるハードウェアの実現と、それを可能とする量子媒体の開発が求められる。中でも、光-物質混成状態であるポラリトンにおいては、特異な電子物性を示す新しい半導体材料を適用することにより、室温にて操作可能な量子媒体としての期待が高まっている。本申請研究では、この室温ポラリトンの量子技術としての実用性を高めるために、ポラリトン状態の長寿命化を達成し、ポラリトンコヒーレント凝縮相生成の劇的な低閾値化を実現する。さらに、室温ポラリトンによる量子ビット生成および量子ゲート動作を世界に先駆けて実証し、その量子機能の開拓を促進する。
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研究実績の概要 |
量子デバイスシステムのさらなる普及拡大に向けては、低消費電力で駆動できるハードウェアの実現と、それを可能とする量子媒体の開発が求められる。光-物質混成状態であるポラリトンにおいては、特異な電子物性を示す新しい半導体材料を適用することにより、室温にて操作可能な量子媒体としての期待が高まっている。本研究では、この室温ポラリトンの量子技術としての実用性を高めるために、ポラリトン状態の長寿命化を達成し、ポラリトンコヒーレント凝縮相生成の劇的な低閾値化を実現する。さらに、室温ポラリトンによる量子ビット生成および量子ゲート動作を世界に先駆けて実証し、その量子機能の開拓を促進することを目的とする。 今年度の実績としては、室温ポラリトン材料としてこれまでに研究を進めてきたTPCO有機結晶において、その電子励起状態において分子振動とカップルしたコヒーレントな励起状態が生成されており、この巨視的な量子状態が室温ポラリトン凝縮現象とも深く関係していることを示唆する実験結果を得た。本成果は高IFの論文として外部発表した。また、全無機鉛ハライドペロブスカイトにおいては、直線偏光モード間における凝縮現象の異方性とモード間結合の発現を示唆する実験結果を得ており、現在論文査読中である。さらに、室温ポラリトン格子素子の新規作製手法としてUVナノインプリントリソグラフィー技術を適用し、実際に、2次元フォトニック構造の導入によるポラリトン分散モードのマニピュレーションを達成している。本成果は現在論文作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ポラリトン凝縮閾値の低減に向けては、全無機鉛ハライドペロブスカイトにおける偏光モードの間での凝縮特性を明らかにできたことで、低閾値化に向けた重要な知見を得ている。また、主要実験設備として、波長可変ピコ秒レーザを予定通り導入し、効率的な光励起可能な光学測定系の構築が完了している。これらと並行して、研究分担者と協力し、超高Q値共振器構造の導入検討も進めている。室温ポラリトンの時空間ダイナミクスの調査に関しては、海外連携機関(ケンブリッジ大学など)と協議を重ね、次年度以降に実際に実験を行う準備を整えた。室温ポラリトン格子の作製に関しては、光ナノインプリント技術の有効性を示すとができており、鉛ハライドペロブスカイトなどへの展開や、トポロジカル構造の導入を実際に行う準備が整っている。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、室温ポラリトン凝縮相の量子技術応用の可能性を実証するために、直線偏光モード間での凝縮モードカップリング現象の論文発表に注力する。さらに、他の科研費種目とも関連させて、室温ポラリトンのダイナミクスに関する最先端の光学実験を2年目以降に加速する予定であり、実際に連携機関へ渡航して実験を進めている。ポラリトン格子デバイスによる量子技術の実証に関しては、全無機鉛ハライドペロブスカイト微小共振器への2次元フォトニック構造の導入に注力する。作製したデバイスに対し、波長可変ピコ秒レーザと空間光変調器を組み合わせた光エネルギー注入システムを適用し、室温での量子ゲート動作を実証に向けた実験研究を展開する。
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