研究課題/領域番号 |
22H00217
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
藤島 実 広島大学, 先進理工系科学研究科(先), 教授 (60251352)
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研究分担者 |
吉田 毅 広島大学, 先進理工系科学研究科(先), 准教授 (30397989)
天川 修平 広島大学, 先進理工系科学研究科(先), 教授 (40431994)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,860千円 (直接経費: 32,200千円、間接経費: 9,660千円)
2024年度: 16,380千円 (直接経費: 12,600千円、間接経費: 3,780千円)
2023年度: 16,380千円 (直接経費: 12,600千円、間接経費: 3,780千円)
2022年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
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キーワード | 無線通信 / 集積回路 / テラヘルツ / CMOS / サブテラヘルツ / 送受信機 / シャノンの定理 / 非線形性 / フェーズドアレイ |
研究開始時の研究の概要 |
2020年より商用化された第5世代通信(いわゆる5G)の次の世代となる第6世代通信(6G)では、これまで以上の超高速・低遅延・広域性(カバレッジ)を実現し、新しいサービスの開発が期待されている。申請者は,この目標に貢献するために,通信距離を犠牲とすることなく光通信速度を実現する無線通信(Wi-FOS: Wireless with Fiber-Optic Speed)の研究を進めてきた。本研究では,これまでの研究成果を活用しつつ,高周波数と低位相雑音を両立させた信号源をフェーズドアレイに組み込むことで、究極の無線Wi-FOSの実現化への道筋を示す。
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研究実績の概要 |
第6世代(6G)通信における超高速・低遅延・広域(カバレッジ)を実現し、新サービスの開発に貢献するため、通信距離を犠牲にすることなく光通信速度を実現する無線通信(Wi-FOS: Wireless with Fiber-Optic Speed)の研究を進めている。令和4年度は、シャノンの法則からデータレートと受信電力の関係を考察し、100Gb/s以上のデータレートを実現するには1μW以上の受信電力が必要であることを示した。大気減衰を無視した場合、受信電力は送信機の等価等方性放射電力(EIRP)と送信機から受信アンテナまでの立体角で決まり、通信距離が搬送波周波数に依存しないことを示した。EIRPを大きくするためには、送信機のアンテナ利得を大きくすることが重要であり、多素子フェーズドアレイが不可欠である。そこで,多素子を並列に配置したフェーズドアレイシステムに必要なRFパワーディバイダとコンバイナについて検討した。フェーズドアレイシステムでは、校正を行う際に各素子の入出力信号の不一致による問題が懸念されるが、ウィルキンソンカプラの構成をビームフォーミング経路の結合に適用できることを示した。また,コンバイナーのバッファ回路についても検討した。また、高性能な送受信回路を実現するために不可欠なトランジスタの非線形特性についても解析した。弱非線形回路のポリハーモニックディストーションモデルに基づく信号流れ線図の作成方法を明らかにした。その結果、非線形回路特性の解析式を導出する一般的な方法を得ることができた。また、伝送線路のモデル化についても検討した。通常のモデルでは、伝送路の各導体で発生する電圧降下を考慮できないため、これを考慮できる回路モデルとそのモデルパラメータを抽出する方法を、電磁界解析を用いて検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
通信距離を犠牲にすることなく光通信の速度を実現する無線通信Wi-FOSの実用化の鍵は、サブテラヘルツ帯を用いた数十ギガヘルツの超広帯域通信とフェーズドアレイアンテナによる高精度ビーム制御にある。令和4年度は、通信距離とフェーズドアレイの大きさの関係を明らかにし、構成すべきシステムを特定することができた。現在は、2次元の電子ビーム制御が可能なグリッド型フェーズドアレイを提案し、300GHz帯の送受信機用フェーズドアレイシステムの構成検討も行っている。大規模なフェーズドアレイを実現するためには、反復構造を持つスケーラブルなアーキテクチャが必要であり、提案するグリッド型フェーズドアレイはこの要求を満たしている。令和5年度は、2×2の小規模フェーズドアレイの設計を進めることで、グリッド型フェーズドアレイの有効性を確認する。提案時に比べ、新しいアイデアを取り入れることで、実用化を視野に入れた研究を進めることができている。現時点では、研究は順調に進んでいると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、令和4年度に設計した送受信素子回路をベースに、2×2の小型アレイを用いたグリッド型フェーズドアレイの設計を進める予定である。令和6年度以降の課題である大規模フェーズドアレイでは、信号の位相を揃えるキャリブレーションがより複雑になることが予想されます。そこで、スケーラブルかつ容易にキャリブレーションを行うことができるアーキテクチャを検討する。また、素子回路の性能を向上させるための非線形回路の解析も行う。
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