研究課題/領域番号 |
22H00224
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分22:土木工学およびその関連分野
|
研究機関 | 北海道大学 (2023-2024) 東京大学 (2022) |
研究代表者 |
長井 宏平 北海道大学, 工学研究院, 教授 (00451790)
|
研究分担者 |
松本 浩嗣 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (10573660)
酒井 雄也 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (40624531)
浅本 晋吾 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (50436333)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
42,640千円 (直接経費: 32,800千円、間接経費: 9,840千円)
2024年度: 11,700千円 (直接経費: 9,000千円、間接経費: 2,700千円)
2023年度: 13,130千円 (直接経費: 10,100千円、間接経費: 3,030千円)
2022年度: 17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
|
キーワード | 鉄筋コンクリート構造 / 腐食 / ひび割れ / 逆推定 / 鉄筋腐食 / 離散解析 / コンクリートひび割れ / コンクリート工学 / 微細構造解析 / 内部推定 / 体積変化ひび割れ / 機械学習 / 体積変化 |
研究開始時の研究の概要 |
劣化により損傷した鉄筋コンクリートの表面情報から内部のコンクリート損傷状態と鉄筋腐食分布を逆推定する深層学習を組み込んだ微細構造解析システムを開発し,数値解析により内部損傷を再現したうえで,現在および将来の構造性能評価を可能とすることが本研究の目的である。離散解析手法RBSMによる三次元微細構造解析システムに新たに深層学習としてPhysics-Informed Neural Networks (PINN)のアルゴリズムを取り入れ高精度の逆推定を可能とする。劣化現象としては体積変化を伴う鉄筋腐食,ASR,DEF,乾燥収縮を対象とする。
|
研究実績の概要 |
1.微細構造解析プログラムへの逆推定モデルの実装と検証 - 微細構造解析プログラムへのPINNのアルゴリズムの実装を行った(PINN-RBSM)。基本的なアルゴリズムをRBSM上で稼働することができた。しかしその精度は高くなく,表面の微細な変位のみから,内部のひび割れと応力状態を推定することことが困難であることが,実際にシミュレーションを行うことで確認ができた。一方で,並行して開発を進めているモデル予測制御のアルゴリズムをRBSMに組み込む方法は,システムのロバスト性が高く,内部の腐食分布の形状に一定の制約を与えつつ予測を進めると,精度よく予測ができることが分かった。更にプログラムを発展させ,予測された腐食とコンクリートの損傷状態から荷重を与えて構造性能評価もできるシステムとした。 2.乾燥収縮・膨張と水分移動モデルを導入した解析 - 収縮モデル・膨張モデルを導入し,収縮ひび割れ後や膨張後(膨張剤使用時を想定)に梁の載荷を行う解析システムの開発を行った。膨張量に応じたひび割れ発生や,帯鉄筋による拘束の相互作用が導入された後の梁の構造性能を評価できるようにする。体積変化をコンクリートの表面からの距離に応じて変化できるようにすることで,環境に応じた体積変化を表現できるようにした。 3.ASR/DEFモデル - ASR/DEFの微細構造スケールでのモデル化(2mm程度)を行ってきたが,構造スケールに適用するためには要素寸法を大きくする必要がある(20mm程度)。スケールの異なる解析の等価性を検証し,ASR/DEF膨張を梁レベルでも解析できるようなシステムを開発した。ASRについて小型梁の解析を行い,鉄筋の拘束により位置によってひび割れ性状が異なることが実験同様に再現され,その後の載荷で残存構造性能が適切に解析できることが確認できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
逆推定プログラムのプログラムを,精度の問題があるものの,構築した。また,コンクリートの体積収縮,膨張による損傷の再現ができた。
|
今後の研究の推進方策 |
1.微細構造解析プログラムへの逆推定モデルの実装と検証 - 微細構造解析プログラムへのPINNのアルゴリズムの実装を行う(PINN-RBSM)。基本的なアルゴリズムをRBSM上で稼働することができたが,その精度は低いことが昨年度の研究で判明した。これを改善するためにモデルの修正を行う。一方で,逆推定にモデル予測制御のアルゴリズムを用いるプログラムも開発しており,これはシステムのロバスト性が高く,現在ターゲットしている試験体サイズでも稼働しているので,このシステムの腐食分布予測を過去のデータを学習することで精度を高めることを行う。これにより最終年度に一定の学術成果を確実に出すようにする。 2.乾燥収縮・膨張と水分移動モデルを導入した解析 - 収縮モデル・膨張モデルを導入し,収縮ひび割れ後や膨張後(膨張剤使用時を想定)に梁の載荷を行った実験を対象に解析を行う。膨張量に応じたひび割れ発生や,帯鉄筋による拘束の相互作用が導入された後の梁の構造性能を評価できるようにする。これを逆推定するための基礎データとする。また,水分移動モデルの開発を続けることで,腐食発生までのプロセスを評価できるプログラムとする。 3.ASR/DEFモデル - ASR/DEFの微細構造スケールでのモデル化(2mm程度)を行ってきたが,構造スケールに適用するためには要素寸法を大きくする必要がある(20mm程度)。スケールの異なる解析の等価性を検証し,ASR/DEF膨張を梁レベルでも解析できるようにする。これによって生じたひび割れを逆推定に用いることができるようにする。 乾燥収縮,膨張,ASR/DEF膨張の逆推定プログラムを完成させることには困難さが残るが,このフレームワークが稼働するような教師データを作成できるプログラムを完成させる。
|