研究課題/領域番号 |
22H00250
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分25:社会システム工学、安全工学、防災工学およびその関連分野
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研究機関 | 気象庁気象研究所 |
研究代表者 |
酒井 哲 気象庁気象研究所, 気象観測研究部, 室長 (00377988)
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研究分担者 |
吉田 智 気象庁気象研究所, 気象観測研究部, 主任研究官 (00571564)
今城 勝治 三菱電機株式会社開発本部, その他部局等, 課長、グループマネージャ (40401955)
勝俣 昌己 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(大気海洋相互作用研究センター), グループリーダー代理 (50359147)
川畑 拓矢 気象庁気象研究所, 気象観測研究部, 室長 (80354447)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
43,550千円 (直接経費: 33,500千円、間接経費: 10,050千円)
2024年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 27,430千円 (直接経費: 21,100千円、間接経費: 6,330千円)
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キーワード | 豪雨予測 / 水蒸気、風 / 海上観測 / リモートセンシング / ライダー / 集中豪雨予測 / 風 / 水蒸気 / 船舶搭載 / データ同化 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、線状降水帯や台風等に伴う集中豪雨が多発し、甚大な被害が発生している。豪雨による人的被害を軽減するために、降水量や発生地域を早期かつ正確に予測することが喫緊の課題である。 しかし現状では、余裕をもって避難行動をとれる半日程度より前に、時間と場所を絞って豪雨発生を予測することは困難である。その最大の理由は、海上から流入して豪雨の素となる水蒸気量を観測することが困難で実態を把握できないからである。 本研究ではこの問題を解決するため、海上の水蒸気量と風を観測する船舶搭載型ライダー(DIAL)を開発し、観測を行う。さらに観測データを数値予報モデルに組み入れることで豪雨予測への効果を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本課題の大きな目的は、海上から流入する水蒸量を正確にとらえ、豪雨発生の半日より前に的確な豪雨予測情報を住民に発信し、迅速な避難につなげることである。これを実現するため、以下3つの課題を実施する。 ① 世界初の船舶搭載型水蒸気・風同時観測ライダーを開発する、② 海上観測を実施し、豪雨に寄与する水蒸気流入の実態を把握する、③ 観測データを最新の数値予報モデルに同化し、豪雨発生・発達に対する水蒸気流入の役割を明らかにするとともに、豪雨予測に対する効果を確かめる。 R5年度は実施計画に基づいて、船舶搭載型水蒸気・風同時観測ライダーの開発と試験観測、及びR6年度におこなう航海観測の準備を行った。具体的には、8月にコンテナを納入後、観測用フランジやウィンドウ、ブローワーファンを取り付けた。ライダー本体の作成を3月に終了し、装置を気象研究所に移設してコンテナ内に収納した。その後調整を行い、試験観測を行った。その結果、所望の水蒸気濃度と風の鉛直分布データが取得できていることを確認した。ラジオゾンデや地上観測データとの比較を行い、これらのデータとライダー観測データが良好に一致しているることを確認した。 期間中は課題メンバーで打ち合わせを計5回行い、ライダー開発の進捗状況の確認、観測データの評価、R6年度に行う海上観測を行うための準備作業等について議論した。また、メール等で適宜情報交換や事務対応等を行った。 以上のように、研究はおおむね計画通りに進んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究はおおむね順調に進んでいる。具体的な進捗状況は以下の通りである。 4~2月にライダーの開発と性能検証を行った。6月に船舶視察を行い、ライダーの設置場所や固定方法等について担当者と相談し決めた。8月~2月にコンテナの搬入とフランジ、観測窓ガラス、ブローワファン等の取り付けを行った。2月に船舶上で動揺補正のための姿勢データ取得テストを行った。3月14~15日にライダーを三菱電機情報技術総合研究所から気象研究所に移設した。その後試験観測を実施し、上空の水蒸気濃度と風の鉛直分布の観測データを正常に取得できることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は開発したライダーを船舶に搭載し、海上での実証実験観測を行う。その後に観測データの検証評価を行う。観測データを数値予報モデルに同化し、豪雨等予測へのインパクトを調査する。具体的な予定は以下の通りである。、 5月に試験観測のためライダーを気象研究所から長崎港へ輸送し、5月10~16日に海洋地球研究船みらいで試験航海観測を行う。試験観測と同時に、ライダー観測データ検証のためのラジオゾンデ観測を約10回行う。 6月中旬までに試験結果に基づいてライダーの調整と試験を行う。6月21日~7月31日にみらいの本観測(清水港~フィリピン沖)に参加し、海上で約2ヶ月間の連続観測を行う。 その後、地上や海上で取得したライダーによる水蒸気・風観測データをラジオゾンデ観測データと比較し、精度検証を行うとともに、観測データを数値予報モデルに同化実験を行う。具体的には、ライダーデータをモデルに同化して得られた予測値と同化しない場合の予測値と比較することで、観測データが豪雨発生の位置やタイミング、降水量等の予測に与える効果を評価する。これらの結果を国内・国外の学会で発表する。 定期的にミーティングを行い、航海観測の準備、ライダー装置の状況や観測データの精度検証結果、データ同化実験等について議論する。
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