研究課題/領域番号 |
22H00254
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
武藤 泉 東北大学, 工学研究科, 教授 (20400278)
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研究分担者 |
西本 昌史 東北大学, 工学研究科, 助教 (20880967)
菅原 優 東北大学, 工学研究科, 准教授 (40599057)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
42,770千円 (直接経費: 32,900千円、間接経費: 9,870千円)
2024年度: 13,260千円 (直接経費: 10,200千円、間接経費: 3,060千円)
2023年度: 11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
2022年度: 17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
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キーワード | 腐食防食 / 耐食合金 / ステンレス鋼 / 光触媒 / 硫化物系介在物 / 触媒 / 耐孔食性 / マイクロ電気化学 |
研究開始時の研究の概要 |
ステンレス鋼の腐食事例の大部分を占める「孔食」を研究対象とする。申請者らにより「孔食はMnSなどの硫化物系介在物から生じる硫黄と、腐食環境中の塩化物イオンが共存した場合にのみ発生する」ことが見出されているため、硫黄を酸化して無害なチオ硫酸イオンに変化させる「光触媒」を第二相として内包するステンレス鋼の開発を試みる。溶解-凝固-熱処理プロセスでは製造不可能な非平衡金属組織を『放電プラズマ焼結』を利用して作製し、系統的な解析を行う。『リアルタイム観察型の光電分極機能付きマイクロ電気化学システム』を開発し、1マイクロメートル以下の孔食萌芽形成と消滅に及ぼす光触媒の影響を電気化学的に解析する。
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研究実績の概要 |
省資源型高耐食ステンレス鋼を創製するための新しい学理構築と、それを可能とする「ナノレベル電気化学反応解析」の確立を目的とし、その第一ステップとして、その場観察機能付きナノスケール電気化学解析システムを開発し、第二相の防食機能を解析する際の有用性を確認した。具体的には、スーパー二相ステンレス鋼の時効材の耐孔食性が溶体化材に比較して低い理由が、σ相の周囲にCrとMo量が低い新たな相が形成されることに加え、その部分に硫化物系介在物が存在するためであることを見出した。また、SUS304ステンレス鋼の孔食発生電位が高温ほど低下する理由が、孔食の起点となる硫化物系介在物の溶解電位が、温度の上昇に伴って低下することと、介在物の溶解に伴い鋼と介在物の境界部に閉塞された形状が形成された場合に、高温ほど局部的な活性溶解が起こりやすいためであることが分かった。さらに、開発したシステムは、Al合金の金属間化合物のように、アルカリ性から酸性までの広い範囲で表面のpHが変化する現象に対しても、腐食機構を的確に把握できることを確認した。以上は、いずれも今までのマクロスケールの計測では見出すことができない新知見であり、S酸化光触媒相を設計するための有用な知見である。 次いで、S酸化光触媒相を内包するステンレス鋼の作製の予備検討を広範囲に行った。ステンレス鋼に知見を生かすため、Al合金やMg合金に対しても研究を展開した。その結果、溶解・鋳造プロセズでは、母相に固溶してしまう相を、第二相として含むステンレス鋼を放電プラズマ焼結で作製する手順を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
その場観察機能付きナノスケール電気化学解析システムの開発が早期に完了し、第二相の防食機能を解析する際の有用性を確認できたため。
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今後の研究の推進方策 |
イオンクロマトグラフィなどの手法を駆使し、孔食発生におけるSと塩化物濃度の変化を、触媒作用や化学種のインヒビター作用と関連付けて解析することを試みる。また、各種の化学種が存在する溶液中でインデンテーションを行い、鋼の新生面を露出させ侵食挙動を電気化学的に解析することで、無害化すべき対象のイオンを絞り込む。
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