研究課題/領域番号 |
22H00260
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
本間 剛 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (70447647)
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研究分担者 |
篠崎 健二 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (10723489)
大幸 裕介 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70514404)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
43,030千円 (直接経費: 33,100千円、間接経費: 9,930千円)
2024年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2023年度: 11,180千円 (直接経費: 8,600千円、間接経費: 2,580千円)
2022年度: 20,410千円 (直接経費: 15,700千円、間接経費: 4,710千円)
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キーワード | 全固体電池 / ガラス / 結晶化 / レーザー / 活物質 / ナトリウムイオン電池 / イオン伝導体 / レーザープロセス / 結晶成長 / 溶融凝固 / 結晶化ガラス / セラミックス / レアメタル / イオニクス |
研究開始時の研究の概要 |
大型リチウムイオン電池の市場規模が拡大するにつれ,新たな課題も見えてきた。第一の課題は,電池の安全性である。第二の問題は,リチウムやコバルトなどの希少元素の資源供給が不安定になることである。これらの問題を解決するには希少金属に依存せず、環境負荷の小さな酸化物系材料での全固体電池が解決手段の一つであるが、社会実装に向けては多くの課題を有する。本研究では代表者らが進めている結晶化ガラスによる全固体ナトリウム電池の界面制御と、飛躍的なエネルギー密度向上に向けた材料開発およびプロセスを確立する。
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研究実績の概要 |
本研究ではナトリウム系全固体電池の開発に資する新材料創生とレーザープロセスによる革新的な界面形成プロセスの確立を推進し、1年目はリン酸鉄系正極のレーザー誘起による溶融凝固と、固体電解質基板への接合とスズ系負極の創製に展開し、正極に限らずレーザープロセスの可能性を実証するため、2年目となる2023年度は1)レーザー誘起プロセスによる固体電解質基板―スズ系複合負極の創製と固体電池としての駆動、2)酸化銅を含むビスマスケイ酸塩ガラスの熱処理における相分離と金属ナノ粒子の形成およびナトリウム電池負極としての機能評価、3)レーザープロセスによるナトリウムイオン伝導性セラミックスの溶融凝固プロセスの解明を推進したところ、以下の成果を得た。 1)ナトリウムイオン電池の負極活物質であるスズおよびスズと鉄の金属間化合物が、ナノ粒子で分散したガラスセラミックスを合成した。同ガラスセラミックスは鉄イオンによる光吸収を持ち、レーザーを照射によって溶融凝固を確認した。固体電解質基板上にガラスセラミックス粉を塗工印刷した後に、レーザー照射を実施したところ、固体電解質層との接合に成功した。さらに全固体電池として作動することに成功した。 2)酸化銅と酸化ビスマスを高濃度に含有するケイ酸塩ガラスは、溶融法でも幅広い組成範囲でガラス形成する。還元雰囲気中でガラスを熱処理することで酸化ビスマスがナノ結晶化し、さらに酸化ビスマスが還元され金属微粒子として形成した。ガラスマトリックスの存在によって粒成長が抑制された。 3)酸化物系の固体電解質は、粒界抵抗の低減が課題である。ナトリウム超イオン伝導体であるNa3Zr2Si2PO12へ熱源となる物質を添加した。その後のレーザー照射によって焼成なしで緻密体の形成に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の当初はリン酸鉄系の正極活物質と固体電解質との、低抵抗な界面形成およびエネルギー密度の向上を進めてきたのだが、レーザーによる溶融凝固という新たな手法を取り入れたことで、レーザーによる積層造形(3Dプリンティング)技術に通じることに着想し、正極活物質のみにとらわれることなく、全固体電池を構成する固体電解質と負極活物質にも適用でき、つまり正極活物質―固体電解質界面と、負極活物質―固体電解質界面の形成を達成することができたのである。2年目の研究進捗としてはおおむね順調に進んでおり、本研究分野の波及効果と裾野を広げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
ナトリウム系全固体電池に必要な材料間の界面形成を、ガラスセラミックスとレーザープロセスおよび熱処理を組み合わせることで達成できた。全固体電池の評価は拘束圧を印加した状態での電池特性評価が必要とされるが、本研究で作製した界面は無拘束状態でイオン伝導性を示す。既に試作した全固体電池での電気化学反応の評価を進めており、次年度に向けた取り組みを準備している。電解液の副反応に拘束されることなく、酸化物固体電解質の耐酸化性、異常原子価イオンの誘起、酸化物全固体電池で特徴的な現象を評価できるものと期待している。
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