研究課題/領域番号 |
22H00272
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分27:化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
北野 政明 東京工業大学, 元素戦略MDX研究センター, 教授 (50470117)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,250千円 (直接経費: 32,500千円、間接経費: 9,750千円)
2024年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2023年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2022年度: 13,780千円 (直接経費: 10,600千円、間接経費: 3,180千円)
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キーワード | 格子アニオン / アンモニア合成 / ヒドリドイオン / 水素化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではN3-, H-, e-などのアニオンを骨格に有する新材料を合成し、それらアニオン種が活性点として機能するユニークな作動機構により、温和な条件下でのアンモニア合成を実現する。提案する触媒では、従来型触媒のように遷移金属表面でのみ窒素や水素を活性化するのではなく、格子アニオンサイトで分子を活性化するため、従来型の触媒設計指針を逸脱した革新的触媒の創出が可能である。これにより貴金属フリーな高性能アンモニア合成触媒を創出する。
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研究実績の概要 |
本研究ではN3-, H-, e-などのアニオンを骨格に有する新材料を合成し、それらアニオン種が活性点として機能するユニークな作動機構により、温和な条件下でのアンモニア合成を実現することを主な目的としている。本年度は、以前我々が見いだしたアンモニア合成触媒であるNi/LaNと同様の触媒活性を示し大気安定性を有する材料を探索する中で、逆ペロブスカイト構造を有するLa3AlNをNiの担体として用いると大気中安定かつ高性能に作動するアンモニア合成触媒となることを見いだした。Ni/La3AlNを触媒として用いると、反応中に触媒の組成はLa3Al0.8N3.5となり、窒素の濃度が大幅に増大する。TEM測定からAlが均一に分布していること、またEXAFS測定からLa局所構造のLaNとの類似性が示されていることから、触媒がアンモニア合成の反応中に窒素を取り込み、La3AlNの逆ベロブスカイト構造からAlドープLaN(La-Al-N)に変化したと考えられる。本触媒は、Alの導入により水蒸気に暴露した後でも触媒活性が低下せず、安定して触媒として作動する。さらに、Ni/LaN触媒と同様に格子窒素欠陥サイトが活性点として働くことも明らかとなった。 さらに、安定な窒化物材料を探索する中で、PdおよびMoの酸化物前駆体をアンモニア雰囲気下で焼成処理することで、六方晶構造を有するPdMo金属間化合物が合成できることを見いだし、これが室温でCO2とH2からメタノールを合成できる触媒となることを見いだした。このPdMo金属間化合物には微量のNやOが残存しており、特に窒素が存在するときのみ金属間化合物を形成できることも明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画どおりに新規窒素含有化合物の合成およびそれによる高性能かつ高耐久性を有する触媒材料Ni/LaAlN触媒を見いだしたが、このような研究計画で示した設計指針による触媒の創出だけでなく、そこから派生したPdMo金属間化合物触媒の創出を実現した点が、当初の計画以上に進展した。このような材料の創出により、当初計画していたアンモニア合成だけでなく、CO2の活性化によるメタノール合成の低温化も可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、格子アニオン種(N3-, H-, e-)をN2やH2分子を活性化する反応場として利用できる新触媒材料の開発を進めるとともに、光励起によってH-イオン高い還元能を活用する新たな触媒系を構築も進める。また、本年度見いだしたNi/LaAlN触媒のように、活性が高いだけでなく大気中に暴露しても安定な触媒材料の開発を中心に行う。 さらに、PdMo金属間化合物触媒のより詳細な構造解析、触媒作動原理などを詳細に解明しより高性能な触媒開発を行う計画である。
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