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可食性タンパク質由来の非劣性中長鎖生理活性ペプチドの効率的探索法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 22H00273
研究種目

基盤研究(A)

配分区分補助金
応募区分一般
審査区分 中区分27:化学工学およびその関連分野
研究機関名古屋大学

研究代表者

本多 裕之  名古屋大学, 工学研究科, 教授 (70209328)

研究分担者 秋山 裕和  名古屋大学, 工学研究科, 助教 (60914140)
清水 一憲  名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (70402500)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2025年度)
配分額 *注記
42,510千円 (直接経費: 32,700千円、間接経費: 9,810千円)
2025年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2024年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
2023年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
2022年度: 17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
キーワードペプチド / 可食性タンパク質 / 残基置換 / 実験計画法 / モデリング / 実施計画法
研究開始時の研究の概要

中長鎖の生理活性ペプチドの残基置換で最優性ペプチドを探索するとともに、劣性に陥らない程度に活性を保持する非劣性ペプチドを、可食性タンパク質中から効率よく探索する手法の確立を目指す。まず、実験計画法に基づき、置換残基の2因子間交互作用を評価し、多残基置換体の活性を予測する機械学習モデルを構築する。最優性生理活性ペプチドを探索したのち、非劣性残基置換ペプチドを可食性ペプチドDBから複数探索する。非劣性残基置換ペプチドを合成し、多種類の非劣性ペプチドが同時に濃縮できる条件を検証する。この研究を通して、優性ペプチドと非劣性ペプチドを組み合わせた生理活性ペプチド群の製造方法の確立を目指す。

研究実績の概要

中長鎖の生理活性ペプチドの残基置換で最優性ペプチドを探索するとともに、劣性に陥らない程度に活性を保持する非劣性ペプチドを、可食性タンパク質中から効率よく探索する手法の確立を目指す。このため、次の3つの独創的な方法で解決を図る。<課題1、探索>すでに優性ペプチドを得ている生理活性ペプチドを取り上げ、非劣性残基置換ペプチドを探索する。主効果(任意の位置のアミノ酸残基の効果)と2因子交互作用を含む活性予測モデル構築を試みる。このモデルで種々の配列のペプチドを評価し、非劣性ペプチドを探索する。<課題2、分解予測>蛍光ラベルペプチドアレイを用いた産業用酵素切断点予測モデルを構築する。実際の可食性タンパク質と産業用酵素を用いた分解予測も試みる。<課題3、濃縮精製>独自開発吸着剤を用いて性質類似の非劣性ペプチド群の効率的濃縮法を確立する。候補ペプチド混合物で分離挙動を調べ、実際のペプチド混合物で濃縮効果を検証する。初年度である本年度は、特に課題1、および課題2の一部について研究した。課題1(探索)に関して、生理活性が異なるペプチドの活性データと機械学習によるモデリングで交互作用も含めた重回帰分析を行った。その結果、正電荷と疎水度が重要で、水素結合の形成が想起される二次構造形成能についても重要であることがわかった。課題2(分解予測)に関しては、末端を蛍光ラベルしたペプチドアレイを用い、トリプシンで加水分解を行い、Random Forest(RF)を用いて切断点推定モデルを構築した。良好な切断点予測モデルが構築できた。さらに、乳タンパク質に対してトリプシンでの加水分解を行い、分解物の質量分析を行って切断点を決定し、モデルからの切断推定点と一致することも確認した。また、トリプシンだけでなくペプシンによる加水分解も行って、切断点の解析を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

生理活性ペプチドの探索では、活性が最も高い最優良ペプチドの発見を目指す研究が行われる。しかし、実用的には劣性ではないペプチドの混合物として製造できる方法論の確立こそが重要である。本研究では、劣性に陥らない程度に活性を保持する非劣性ペプチドを、可食性タンパク質中から効率よく探索する手法の確立を目指す。このため、課題1「探索」、課題2「分解予測」、および課題3「濃縮精製」の3課題に分け、本年度は主に課題1及び2に関して研究した。
課題1に関して、コレステロール吸収抑制作用を持つ胆汁酸結合ペプチドに注目し、活性データと機械学習によるモデリングで交互作用も含めた重回帰分析を行った。等電点、極性、疎水度、分子量の4つのアミノ酸指標を説明変数として、全23指標で解析した。その結果、胆汁酸結合ペプチドには正電荷と疎水度が重要で、水素結合の形成も想起される二次構造形成能についても重要であることがわかった。別の生理活性ペプチドとして、リパーゼ阻害ペプチドやアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害ペプチドに関しても優性ペプチドの探索を進め、それぞれ大豆タンパク質、大麦タンパク質由来の生理活性ペプチドの探索に成功した。課題2に関して、約2,000種のペプチド配列をデザインし、N末端を蛍光ラベルしたライブラリーを合成し、トリプシンでの加水分解を実施した。そのデータを使って、アミノ酸残基の物理化学的パラメータで構成した532個の説明変数を使い、Random Forest(RF)を用いて切断点推定モデルを構築した。その結果、良好な推定精度が得られ、乳タンパク質のトリプシン加水分解物の切断点が、モデルからの切断推定点と一致した。さらにトリプシンだけでなくペプシンによる加水分解も行って、切断点の解析を行い、LC-MS/MS分析の結果、タンパク質ごとに分解されにくい部位があることが判明した。

今後の研究の推進方策

引き続き主に課題1、および課題2について研究を行い、課題3に関しても予備検討を開始する。課題1(探索)に関しては、コレステロール吸収抑制ペプチドだけでなく、初年度に探索を始めたリパーゼ阻害ペプチドやアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害ペプチドに関しても優性ペプチドの探索を進め、同時に課題3に関する濃縮も試みる。課題2(分解予測)に関しては、可食性タンパク質のペプシン加水分解物の質量分析を行い、目的ペプチド製造のために最適な酵素反応条件の検討を試みる。LC-MS/MSの結果、タンパク質ごとに検出されやすい部位があることが判明したので、その部位予測に関しても検討する。

報告書

(2件)
  • 2022 審査結果の所見   実績報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] 蛍光標識ペプチドアレイを用いたプロテアーゼ切断検出と機械学習を用いた切断部位予測2022

    • 著者名/発表者名
      水谷 嶺太、森 陽子、小川 翔大、田添 佳歩、秋山 裕和、清水 一憲、本多 裕之
    • 雑誌名

      生物工学会誌

      巻: 100 号: 10 ページ: 528-540

    • DOI

      10.34565/seibutsukogaku.100.10_528

    • ISSN
      0919-3758, 2435-8630
    • 年月日
      2022-10-25
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 可食性蛋白質由来生理活性ペプチドのインシリコスクリーニング2022

    • 著者名/発表者名
      今井健人、竹内友里、秋山裕和、清水一憲、本多裕之
    • 学会等名
      第16回 バイオ関連化学シンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 1990種ペプチドを用いたプロテアーゼ切断点推定のための機械学習モデルの構築2022

    • 著者名/発表者名
      水谷 嶺太・ 森 陽子・ 小川 翔大・ 田添 佳歩・ 秋山 裕和・ 清水 一憲・ 本多 裕之
    • 学会等名
      化学工学会第53回秋季大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 焼成多孔性シリカゲルによる 可食性タンパク質加水分解物からの 生理活性ペプチドの探索と分離2022

    • 著者名/発表者名
      清水 翔太, 松永 裕太, 羽川 瞳, 秋山 裕和, 清水 一憲, 本多 裕之
    • 学会等名
      第74回日本生物工学会大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 群特異的生理活性ペプチド濃縮担体によるリパーゼ阻害ペプチドの探索2022

    • 著者名/発表者名
      松永裕太、秋山裕和、清水一憲、本多裕之
    • 学会等名
      日本農芸化学会2023年度大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] ペプチドアレイとLC-MS/MS分析を用いたMMP2切断の推定2022

    • 著者名/発表者名
      水谷嶺太、秋山裕和、清水一憲、本多裕之
    • 学会等名
      日本農芸化学会2023年度大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2025-06-20  

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