研究課題/領域番号 |
22H00275
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分27:化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山下 弘巳 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (40200688)
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研究分担者 |
森 浩亮 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90423087)
桑原 泰隆 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (40635330)
亀川 孝 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (50525136)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,380千円 (直接経費: 32,600千円、間接経費: 9,780千円)
2024年度: 12,870千円 (直接経費: 9,900千円、間接経費: 2,970千円)
2023年度: 14,690千円 (直接経費: 11,300千円、間接経費: 3,390千円)
2022年度: 14,820千円 (直接経費: 11,400千円、間接経費: 3,420千円)
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キーワード | ナノ合金触媒 / 中空ナノ空間 / 二酸化炭素 / 塩基性ポリマー / 表面プラスモン共鳴 |
研究開始時の研究の概要 |
実現困難な二酸化炭素(CO2)の温和な条件での資源化(ギ酸、メタノール、CO)を可能にする革新的な固体触媒を創製する。 i) <反応場の設計>CO2を選択的に活性点近傍で吸着濃縮できる塩基性ナノ空間を有する担体の構築、ii) <活性点の設計>CO2を活性化できる触媒活性点の精密制御、iii) <外部エネルギーの設計>安定なCO2に摂動を与えるプラズモン増強反応場の創製、を重視し融合する。オペランド観察と理論計算の支援により、触媒活性点構造と作用機構の相関を解明し、温和な条件でのCO2資源化を可能にする「ナノ空間を活用する協奏的触媒」の開発と学理を築く。
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研究実績の概要 |
本申請課題では、①高機能触媒の探索、②活性点構造・作用機構の解明、 ③協奏的触媒の創出の研究を行う。①では、「塩基性反応場」と「触媒活性点」の制御、「プラズモン増強反応場」の創成を検討する。ターゲット反応はCO2の水素化によるギ酸・メタノール・CO合成である。②では、実験的(オペランド観測など)および理論計算的検討により、反応機構の解明に取り組む。③では、①②で個々に探索したそれぞれの機能を相乗的に融合させ、既存触媒の凌駕を目指す。 本年度は、①高機能触媒の探索について、以下の研究を遂行した。 (1)塩基性反応場の設計: 申請者は簡便な合成法により、様々な触媒活性種を内包した中空球状シリカの創製に成功し、さらに塩基性アミノポリマーを有機テンプレートとして様々な種類の金属ナノ粒子を内包した中空シリカ構造体が得られることを見出している。中空ナノ空間に内包され適度な密度で構造緩和されたアミノポリマーは、金属粒子触媒と組み合わせた時に、CO2吸着・濃縮・安定化効果、電子供与効果(電子リッチな金属粒子の形成と分散性の保持)が期待できる。アミノポリマーの塩基量や密度、塩基強度を精密に制御しCO2吸着濃縮を効率化することで、目的とする触媒反応に合わせた活性種周辺の反応場の自在制御を目指した。 (2)触媒活性点の精密制御: CO2活性化に有効な合金アンサンブル触媒を、これまで見出してきたPdAg合金触媒の更なる高機能化と他の合金系の探索を行った。CO2資源化において、活性向上に直結する因子を調べることで、合金ナノ粒子の持つ物理化学的特性と触媒活性の相関を明らかにした。 (3)触媒性能評価: CO2資源化反応としてギ酸合成(CO2 + H2 → HCOOH)、CO生成(CO2 + H2 → CO)をターゲットとし、条件探索を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
実験手法と理論計算手法を融合しながら、以下の点を重視し研究を進めた。 本年度は、①高機能触媒の探索について、以下の研究により当初計画より進展した。 (1)塩基性反応場の設計: 従来のミクロ・メソ細孔空間内では、巨大なゲスト分子を導入することは困難であったが、申請者は簡便な合成法により、様々な触媒活性種を内包した中空球状シリカの創製に成功し、さらに塩基性アミノポリマーを有機テンプレートとして様々な種類の金属ナノ粒子を内包した中空シリカ構造体が得られることを見出した。アミノポリマーの塩基量や密度、塩基強度を精密に制御しCO2吸着濃縮を効率化することで、CO2変換触媒反応の効率化に成功した。 (2)触媒活性点の精密制御: CO2活性化に有効なPdAg合金触媒について、申請者が独自に発展させてきた紫外可視光、マイクロ波照射を利用した光還元法や水素スピルオーバーを活用した合金ナノ粒子の合成法を駆使し、合金触媒のサイズ・形状・組成・構造・電子状態を精密に制御した。 (3)触媒性能評価: CO2資源化反応としてギ酸合成(CO2 + H2 → HCOOH)、CO生成(CO2 + H2 → CO)をターゲットとし、条件探索を行った結果、CO2変換効率の大幅向上に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
プラズモン増強反応場の構築: 反応温度の上昇に伴い活性点近傍のCO2濃度が減少するという、吸熱反応には致命的な課題を克服すべく、光照射下でAgやAuナノ粒子近傍に誘起されたプラズモン増強反応場を巧みに利用し、CO2分子に摂動を与え活性化を支援する特殊反応場を設計する。すなわち、プラズモン特性を活用し、触媒活性サイトに局所的に外部エネルギーを注入することができれば、常温で吸着濃縮されたCO2を、熱力学的制約に反して活性化に導くことができる。申請者はこれまで形状サイズを制御したAgナノ粒子や酸素欠損をドープした還元型酸化Moナノシートに誘起されたプラズモン増強電場によりアンモニアボラン(NH3BH3)やギ酸(HCOOH)分子に摂動を与え、それら分解反応が飛躍的に促進されることを見出している。ここでは、Agナノ粒子をベースにプラズモン材料の形状・サイズの制御、新規探索により安定なCO2分子の活性化を試みる。本発想は外部エネルギー(光)利用による、熱、光、電場を融合した反応サイトの局所集中的な活性化であり、世界に先駆けた独創性の高い試みである。今年度ではこの新しい触媒設計コンセプトの妥当性を見極める。
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