研究課題/領域番号 |
22H00307
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分31:原子力工学、地球資源工学、エネルギー学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
金 聖潤 東北大学, 工学研究科, 准教授 (50574357)
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研究分担者 |
永石 隆二 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 福島研究開発部門 福島研究開発拠点 廃炉環境国際共同研究センター, リーダー (00354895)
伊藤 辰也 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 福島研究開発部門 福島研究開発拠点 廃炉環境国際共同研究センター, 任期付研究員 (20757653)
松山 成男 東北大学, 工学研究科, 教授 (70219525)
呉 昊 東北大学, 工学研究科, 助教 (70881796)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,340千円 (直接経費: 31,800千円、間接経費: 9,540千円)
2024年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2023年度: 16,120千円 (直接経費: 12,400千円、間接経費: 3,720千円)
2022年度: 11,830千円 (直接経費: 9,100千円、間接経費: 2,730千円)
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キーワード | 放射性廃棄物 / 放射線医学 / 環境安全 / 有効利用技術 |
研究開始時の研究の概要 |
原子力発電はCO2を排出せずに安定した電力供給が可能であり、日本にとってエネルギーセキュリティの観点からも重要なものであるが、発生が避けられない高レベル放射性廃棄物の最終処分に係る社会的負担の軽減を図り、実行可能性を引き上げることが喫緊の課題である。このため本研究では、最終処分が必要な高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減及び含有されている希少元素・核種の有効利用による付加価値の創生を目指し、高レベル放射性廃液(高レベル放射性廃棄物になる前段階)の分離技術と分離した元素・核種の医療・産業応用の両面にわたる総合的かつ高度な技術開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は発熱性元素、白金族元素及びオキソ酸イオンを単一カラムで一括して吸着・分離することができる簡素化分離プロセスの開発及び評価、吸着材の耐放射線性評価、吸着機構の解明について調査を行った。 (1) 発熱性元素、白金族元素及びオキソ酸イオン新規吸着材の開発及び評価:高レベル放射性廃液の成分・組成を非放射性の成分により模擬した硝酸水溶液中からの発熱性元素であるCs, Sr, Baを平均90%近く回収することが出来た。また、ガラス固化時に不適切とされるPdのほぼ100%を吸着分離することができ、ZrおよびReとMoを選択的に分離・回収できることを確認した。 (2) 吸着材の耐放射線性評価及び吸着材の化学的安定性評価:吸着材を硝酸水溶液と接触させた状態で照射し、水相への溶出有機炭素から吸着材の分解・劣化を推定することでγ線照射下における吸着材の安定性を評価した。溶出炭素は全て含浸した抽出剤由来のものであると仮定した場合、吸着材は吸収線量の増加と共に線形的に炭素保持率が低下していった。しかし、γ線照射による溶出炭素は十分に低いため、実廃液処理においても照射される放射線に耐え得る可能性があると評価した。 (3) 吸着機構の解明:吸着試験後の吸着材について、吸着材内の金属イオン分布、形態などをX線回折、X線光電子分光、マイクロ粒子線励起X線分析を用いて吸着元素の分布を取得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
模擬HLLW条件下で吸着材を用いて発熱性元素、白金族元素及びオキソ酸イオンを一括して吸着・分離することができる簡素化分離プロセスの開発評価及び放射線照射下の吸着材安定性試験による放射線の影響のみを考慮した場合の吸着材劣化挙動についての試験及び評価はほぼ終了しており、全体的な分離プロセスの調整段階である。これについては基礎技術をすでに持っているため、大きな障害はないと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
廃棄物処分の負担軽減、環境負荷低減及び資源化・有効利用の観点からは、放射性廃液からの発熱性元素、白金族元素及びオキソ酸イオンを一括して吸着・分離することができる簡素化分離プロセスの開発を検討した。今後は、MA(III) / Ln(III)相互分離用吸着材を調製し、吸着材の物性評価を行い、吸着材の耐放射線性評価、吸着材の化学的安定性評価及び二次廃棄物処理技術開発を行う。また、医療応用を目的とした90Yの高純度供給システムの開発を検討する。
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