研究課題/領域番号 |
22H00308
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分31:原子力工学、地球資源工学、エネルギー学およびその関連分野
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
越水 正典 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (40374962)
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研究分担者 |
藤本 裕 東北大学, 工学研究科, 准教授 (60639582)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,340千円 (直接経費: 31,800千円、間接経費: 9,540千円)
2024年度: 10,530千円 (直接経費: 8,100千円、間接経費: 2,430千円)
2023年度: 14,170千円 (直接経費: 10,900千円、間接経費: 3,270千円)
2022年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
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キーワード | 線量計 / ラジオクロミズム / ラジオフォトルミネッセンス / 有機無機ハイブリッド / ラジオルミネッセンス / シンチレータ |
研究開始時の研究の概要 |
有機物(ポリマーと色素や蛍光体分子)と無機物(無機分子やナノ粒子)のハイブリッド化により、線量測定に必要な光学特性(熱蛍光や輝尽蛍光、あるいはラジオクロミズム)を具備した線量計材料を開発する。実用的な感度を得るため、熱・輝尽蛍光体については電子や正孔の捕獲機能を、ラジオクロミック材料ではラジオクロミズムを促進する高効率なラジカル発生の機能を、添加する無機物に担わせる。従来材料の有機ベース材料の100倍以上の高感度化を目標とする。これらの研究成果により、有機物ベースの材料でウェアラブルな線量計や、生体等価な3次元線量計を実現し、有機線量計の世界標準とする。
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研究実績の概要 |
有機無機ハイブリッド線量計における線量計測手法として、本研究では三つの現象を想定している。一つはシンチレーションであり、その場合にはプラスチックシンチレータベースの有機無機シンチレータ開発が主となる。二つめは蓄積型蛍光であり、熱蛍光や輝尽蛍光となる。最後は、ラジオクロミズムやラジオフォトルミネッセンス材料であり、色調および蛍光特性の照射後の変化を利用した線量計測を可能とする。それぞれに一長一短があるため、これら全ての現象を研究対象としながら、それぞれの検出信号の相補性を利用した開発を並行して進めてきた。 今年度には、LiAlO2やLiGaO2のナノ粒子を表面で疎水化処理して添加した有機無機ハイブリッドシンチレータにおいて、中性子検出に成功した。そのシンチレーション収率は、市販のプラスチックシンチレータのものの3倍以上を誇り、非常に高い性能を達成することに成功した。年度終盤に合成した試料ではさらに高い収率の実現も示唆されている。 また、ラジオクロミック材料においては、放射線照射により生じる高い収率での連鎖反応系を利用することによって、高い感度を実現することに成功した。さらに、ラジオフォトルミネッセンス材料においては、in situで塩基として機能する分子の共添加により、フルオレセインのラジオフォトルミネッセンスを実現した。この系では0.1 Gy程度の感度を有しており、実用に供しうる感度の実現に成功したと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
有機無機ハイブリッド線量計における線量計測手法として、プラスチックシンチレータベースの有機無機シンチレータ開発と、ラジオクロミズムやラジオフォトルミネッセンス材料開発を進めてきた。これらの開発については、3年度目までに成果を挙げる予定であったものの、双方とも材料開発が順調に進み、当初計画以上の進展を見ている。特に、中性子検出用の有機無機ハイブリッドシンチレータにおける高いシンチレーション収率の実現や、ラジオフォトルミネッセンス材料においては、in situで塩基として機能する分子の共添加による電荷移動状態を用いた系の実現については、三年度目までに実現することを予定していたため、当初の計画以上に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
中性子計測用のシンチレータ開発においては、蛍光性のリチウム含有ナノ粒子を開発対象とし、リチウム含有半導体の量子ドットも開発対象とする。また、昨年度までに開発したラジオクロミック材料とラジオフォトルミネッセンス材料について、さらなる高性能化と高速中性子線量の計測を進める。
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