研究課題/領域番号 |
22H00309
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分31:原子力工学、地球資源工学、エネルギー学およびその関連分野
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
柳田 健之 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (20517669)
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研究分担者 |
渡辺 賢一 九州大学, 工学研究院, 教授 (30324461)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,990千円 (直接経費: 32,300千円、間接経費: 9,690千円)
2024年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2023年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2022年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
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キーワード | シンチレータ / 近赤外 / 発光量 / 単結晶 / 放射線 |
研究開始時の研究の概要 |
新規近赤外発光シンチレータを単結晶、透明セラミックス、ガラスなどの材料形態で開発し、基礎物性を評価するとともに、InGaAs 受光素子を用いての発光量の定量化を目指す。
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研究実績の概要 |
主担当の奈良先端大においては、レーザーや通信分野での知見を基に、Nd、Ho、Er、Tm等の近赤外発光が期待できる希土類や、Cr等の遷移金属を発光中心として添加した様々なシンチレータを合成し、基礎物性や検出器としてアセンブリした際の検出器特性である線量率応答等を評価した。昨年に引き続き、様々な物質を評価したところ、Tm添加Bi4Ge3O12 (Er:BGO) は、30 mGy/hr 、Er添加Bi4Si3O12(Er:BSO)は6 mGy/hr、Er添加Mg4Ta2O9は60 mGy/hr、Pr添加CaWO4は50 mGy/hr、Cr添加Mg4Ta2O9は6 mGy/hr等の検出下限を達成した。Erは1.5ミクロン帯の発光が通信に応用されており、InGaAs系の光電変換素子と組み合わせる事で、低線量まで計測できる可能性を示した。また当該分野においては、遷移金属の発光中心としての利用はあまり例がないが、Crを添加したMg4Ta2O9からは、約900 nm に強いシンチレーション発光を観測し、Er添加BGOやBSOと同程度の感度を示した。また昨年度のBGOの結果に続き、BSOやCaWO4も有名材料であり、紫外可視発光を示す発光中心を添加しても、発光強度が増強されないことが知られていたが、近赤外発光を示す発光中心の添加はポジティブな効果をもたらすことが明らかとなり、昨年度の結果や解釈をより強める事となった。また波及成果として、類似の計測系を用い、原子力電池の評価系も立ち上げた。近赤外発光シンチレータの新たな応用として、今後の進展が期待される。 分担の九州大においては、昨年度に導入したInGaAs光電面を持つ光電子増倍管の基礎特性評価に入り、冷却特性と暗電流特性の基礎データの取得を行うとともに、シンチレータを冷却系の外に配置して測定を行うための光学系の設計および作製を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね当初の予定通りの進捗である。研究代表者は、いくつかの近赤外シンチレータを開発し、積分型検出器として評価した際には、数 mGy/hr 程度の検出下限を示し、最終目標値に近い値を達成した。分担者が担当する発光量の定量評価を目指した近赤外光電子増倍管を用いた系は、初期セットアップおよび動作確認までを行い、光学系を調整することで、簡便な測定を可能とする系の構築を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
申請書に記載した通り、様々な近赤外発光シンチレータを作製し、特性を評価する。目標は積分型検出器で 1 mGy/hr よりも高い検出下限を達成する事と、ph/MeV 単位でのシンチレーション発光量の定量化である。
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