研究課題/領域番号 |
22H00315
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分32:物理化学、機能物性化学およびその関連分野
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
夛田 博一 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (40216974)
|
研究分担者 |
山田 亮 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 准教授 (20343741)
大戸 達彦 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (90717761)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
42,380千円 (直接経費: 32,600千円、間接経費: 9,780千円)
2024年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2023年度: 13,130千円 (直接経費: 10,100千円、間接経費: 3,030千円)
2022年度: 14,690千円 (直接経費: 11,300千円、間接経費: 3,390千円)
|
キーワード | 単一分子接合 / 熱伝導度 / 熱電変換 / 電気伝導度 / 単分子接合 / 単一分子 |
研究開始時の研究の概要 |
金属電極間に分子を架橋した単一分子接合の電気伝導度(σ)と熱伝導度(κ)を広い温度範囲で計測し,キャリアと熱の輸送機構に関する学理を構築するとともに,それらの制御を行うための指針を導出し,熱電変換素子への応用の可能性を提示する。微細加工技術を駆使して,周辺から熱的に遮断されたサスペンション型のデバイスを作製し,構造の規定された分子を架橋して,分子長や分子骨格,アンカー部の違いが σ と κ に与える影響を考察する。
|
研究実績の概要 |
昨年度までに、金属ナノワイヤの熱物性測定を測定するために、窒化シリコン膜/シリコン基板に微細加工技術を駆使して、ナノ接合、ジグザグ構造のヒーターおよび温度センサーを金属細線で作製し、熱の散逸を防ぐために下層の基板をエッチングして全体を宙吊り構造とした素子を作製した。さらに駆動機構(アクチェーター)となる金属細線を X 字型に組み込んだ懸架膜型素子を開発し、アクチュエーターの金属細線に流す電流を制御することにより、熱膨張と収縮を繰り返し、アクチュエーターの先端に取り付けた電極が破断と接合を繰り返す。エレクトロマイグレーション法と電気化学メッキ法を併用して金属ナノ接合を作製し、駆動機構によりナノ接合の破断と接合を繰り返し行う技術(ブレークジャンクション技術)を確立した。従来のリソグラフィーとエレクトロマイグレーション法だけで作製した電極では、破断の際に電極が大きくずれてしまい、再接合が困難になる頻度が高かったが、メッキ法で作製した電極では、より安定に破断と接合を多数回繰り返すことができることがわかった。このナノギャップ電極に、チオール基を末端に有する分子を含む溶液を滴下し、破断と接合を繰り返しながら、電気伝導度の測定を行ったところ、ブレークジャンクション法特有の分子の架橋を示すプラトーが現れ、従来の測定で得られた値とほぼ一致し、安定な分子接合を作製し、電気伝導度が測定できることを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
微細加工技術に試行錯誤を繰り返し、単一分子接合を安定して作製する手法を確立した。従来のエッチングとエレクトロマイグレーション法で作製した電極に比べ、電気化学メッキ法を併用した電極では、金属ナノ接合の破断と接合が長時間にわたり繰り返し行えるようになり、電気伝導度の測定に成功するとともに、熱伝導度の測定にも着手できている。
|
今後の研究の推進方策 |
ヒーターと温度センサーを持つ宙空構造の作製、駆動機構の導入、メッキ法によるナノギャップ電極の作製と分子の架橋に成功した。歩留まりをあげるために、より効率的な作製プロセスを工夫するとともに、熱伝導度の測定において、よりノイズを抑えるための設計を行う。
|