研究課題/領域番号 |
22H00317
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分32:物理化学、機能物性化学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
寺嵜 亨 九州大学, 理学研究院, 教授 (60222147)
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研究分担者 |
堀尾 琢哉 九州大学, 理学研究院, 准教授 (40443022)
荒川 雅 九州大学, 理学研究院, 助教 (10610264)
山口 雅人 九州大学, 理学研究院, 特任助教 (70910529)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
43,290千円 (直接経費: 33,300千円、間接経費: 9,990千円)
2024年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
2023年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
2022年度: 23,400千円 (直接経費: 18,000千円、間接経費: 5,400千円)
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キーワード | 金属クラスター / 超原子 / 光電子イメージング / 光吸収分光 / 量子論 |
研究開始時の研究の概要 |
金属クラスター中の自由電子は、微小空間中で量子化された電子準位を占有し、原子と類似した電子殻構造を形成する。このような金属クラスターは原子との類似性から「超原子」と呼ばれ、物質の新たな構成要素として注目を集めている。本研究は、通常の原子と対比すべきこれら超原子の量子論構築に向けて、超原子クラスターの特性解明を進める。光電子画像分光法、光閉じ込め吸収分光法など独自の分光計測技術で電子過程・光学過程を探究し、超原子軌道に関わる量子特性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
遷移金属原子(Sc, Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni)を添加した銀クラスターを研究対象とし、負イオン種に光電子画像分光法を、正・負イオン種に光吸収分光法をそれぞれ適用して、量子状態の特性解明を進めた。 光電子画像分光では、波長406 nmの連続発振(cw)レーザーダイオードを励起光源として実験を行い、予備実験としてこれまでに行ったSc, Ti, V添加系負イオン種の光電子イメージング測定をまず完了した。続いて、Cr, Mn, Fe, Co, Ni添加系へ実験を展開し、すべての添加種について20量体程度までの測定を一通り完了した。特に価電子数19個のクラスターから脱離する最外殻2S軌道の電子が、遷移選択則に従って、レーザーの偏光方向に強い異方性を持って放出されることを捉え、2S軌道の存在を裏付けた。特にSc添加種と無添加の銀クラスターについて成果をまとめ、物理化学分野で最も権威ある国際速報誌に投稿した。また、当初の計画を早めて、高繰返し超短パルスレーザー光源を励起源とする波長可変レーザーの導入も終えた。 光吸収分光では、ScおよびNi添加正イオン種の可視-紫外吸収スペクトルの測定を行い、特にSc添加種について、電気陰性度の小さなSc原子が内包される結果、2S軌道が不安定化して、1P-2S間のエネルギーギャップが増大する様子を捉えた。また、無添加の銀クラスター負イオンの測定を3~19量体に対して行った結果、電子脱離エネルギーを超えるエネルギー領域に束縛励起状態を見出し、電子脱離と束縛励起との競合のほか、クラスターの幾何構造とスペクトル形状との相関を議論し、論文執筆を進めている。 成果の発信では、論文投稿2報、投稿準備1報を進めたほか、超原子2S軌道の可視化と理論的検証に関する学会発表で、学生が分子科学会優秀講演賞を受賞するなど、高い評価を受けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画に沿って、遷移金属原子(Sc, Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni)を添加した銀クラスターを研究対象として、固定波長の励起光源による負イオン種の光電子イメージング測定を網羅的に完了したほか、正・負イオン種の光吸収分光も幾つかの系に対して完了した。とりわけ、高繰返し超短パルスレーザーの導入に加えて、当初の計画を早めて波長変換部の導入までを終え、研究を加速して推進している。
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今後の研究の推進方策 |
遷移金属原子(Sc, Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni)を添加した銀クラスターを多様な超原子種と捉えて、引き続き主な研究対象とする。光電子画像分光では、新たに導入した高繰返し波長可変超短パルスレーザーで、励起波長を自在に変えながら光電子イメージング測定を行い、1Pや1Dなど、S型以外の超原子軌道の解明を進める。超短パルスを利用した時間分解分光への展開も図る。光吸収分光では、Sc, Niに加えて他の添加種にも拡張して可視-紫外吸収スペクトル測定を行い、HOMO-LUMOギャップをはじめ、電子構造の変化を捉える。さらに、いずれも3個の価電子を持つ3族Scと13族Alとを対比させるなど、添加種を典型元素にも展開して新たな超原子種の探究を進める。
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