研究課題/領域番号 |
22H00328
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分35:高分子、有機材料およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
笠井 均 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (30312680)
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研究分担者 |
雲林院 宏 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (40519352)
根本 知己 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(機構直轄研究施設), 生命創成探究センター, 教授 (50291084)
石岡 千加史 東北大学, 医学系研究科, 教授 (60241577)
小関 良卓 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80780634)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,900千円 (直接経費: 33,000千円、間接経費: 9,900千円)
2024年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2023年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2022年度: 18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
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キーワード | ドラッグデリバリーシステム / 再沈法 / 抗がん剤 / ナノ薬剤 |
研究開始時の研究の概要 |
薬物を患部のみに集積・作用させることは、創薬科学における到達目標の一つである。研究代表者はプロドラッグ分子のみで構成される新規ナノ薬剤「ナノ・プロドラッグ」を開発し、高い薬理効果を示すことを実証してきた。本申請研究では、副作用の無い理想的な抗がん剤の創製を目指して、正常組織では安定に存在し、腫瘍組織のみで活性化される分子設計を施した新たなナノ・プロドラッグを作製する。小動物を用いた薬理活性試験、副作用評価を通じて、最適化されたナノ・プロドラッグを見出し、さらに、単一細胞のメゾスコピック領域および個体~組織のマクロスコピック領域における薬物動態を解明し、前臨床試験に至る準備を完了させる。
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研究実績の概要 |
抗がん剤であるSN-38に対して、ジスルフィド結合を分子内に導入したSN-38二量体を新たなプロドラッグとして合成した。ジスルフィド結合は、がん細胞内に高濃度で存在することが知られているグルタチオンにより切断されるため、血中循環中および正常細胞移行時には薬物の放出が抑制されることが期待される。SN-38の有する2つの水酸基に対してそれぞれ異なる目的で置換基を導入した。①薬物担持率を確保するために3級水酸基でつながる二量体としており、介するリンカーにジスルフィド結合を導入することでGSHをトリガーとした薬物の放出が可能となる。また、②フェノール性水酸基に導入する置換基を変えることで再沈法により作製されるナノ粒子の物性を制御することが可能とある。SN-38の三級水酸基は薬理活性発現に大きく関与しており、立体障害の大きい置換基を導入した際に薬理活性が発現しない。以上を踏まえて、本研究で提案するナノ・プロドラッグの創製と薬効発現における一連の過程を解明することを目的とした。 今年度はプロドラッグデザイン・化合物合成・ナノ粒子作製を実施した。SN-38二量体プロドラッグのフェノール性水酸基に導入する置換基の最適化を行うために、炭素数の異なる脂肪酸(C2からC10)を導入し、再沈法を用いてナノ粒子の作製を行った。その結果、導入する脂肪酸の炭素数が4以上の場合に粒径100 nm以下のナノ粒子が得られることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
設計・合成したプロドラッグ分子から再沈法を用いてナノ粒子を作製できることを明らかとした。
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今後の研究の推進方策 |
今後はプロドラッグデザインを精錬させつつ、高濃度ナノ粒子分散液の調製、サイズ制御、薬物放出性試験、in vitro・in vivo 薬理活性評価、副作用評価、薬物動態解析を実施する。 来年度は主に薬物放出性試験およびin vitro薬理活性試験を行う。作製したナノ粒子にグルタチオンを添加することで実際にジスルフィド結合の開裂に伴う薬物放出が起こるか検証し、分子構造と薬物放出性の関係を明らかとする。また、がん細胞を用いたin vitro薬理活性評価を実施し、実際に薬理効果を発揮することを示す。
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