研究課題/領域番号 |
22H00341
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分36:無機材料化学、エネルギー関連化学およびその関連分野
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鳥本 司 名古屋大学, 未来社会創造機構(工), 教授 (60271029)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
42,770千円 (直接経費: 32,900千円、間接経費: 9,870千円)
2024年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2023年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2022年度: 18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
|
キーワード | 量子ドット / 組成制御 / 発光特性 / 光エネルギー変換 / 光触媒 / 多元半導体 / 近赤外光応答 / 近赤外光 / 水素製造 / 発光 / I-III-VI族半導体 / 異方性結晶成長 |
研究開始時の研究の概要 |
低次元材料である量子ドットは、極めて大きな比表面積をもつ非平衡材料であり、他の物質との相溶性や非化学量論組成が大幅に拡大するので、材料設計の自由度が大きい。これを利用して本研究課題では、多元半導体(3元素以上)の化学組成・非化学量論性と異種元素のドープ量を精密に制御し、量子ドットの電子構造を自在に制御する。さらに、結晶成長の異方性を発現させて量子ドットの粒子形状・ナノ構造の精密制御法を確立する。これらにより、太陽光を高効率に利用する新規光触媒反応系の構築を目指す。
|
研究実績の概要 |
低次元材料である量子ドットは、極めて大きな比表面積をもつ非平衡材料であり、他の物質との相溶性や非化学量論組成が大幅に拡大するので、材料設計の自由度が大きい。現在、高毒性元素を含むCdSe,CdTe,PbSなどの二元半導体量子ドットが主な研究対象となっているが、その利用範囲は厳しく制限されており実用化が困難な材料といえる。そこで本研究課題では、低毒性元素からなる多元半導体(3元素以上)の化学組成・非化学量論性と異種元素のドープ量を精密に制御し、量子ドットの電子構造を自在に制御することを目指す。本年度は、近赤外光領域にバンドギャップ(Eg)をもつ新規多元量子ドットの合成を継続して行うと共に、光電変換特性に及ぼす粒子組成・サイズの影響を評価した。 近赤外領域にバンドギャップを持つ半導体としてAgBiS2を選び、、液相化学合成により粒子サイズと組成の制御を行った。反応温度を100oCから200oCへ上昇させると、量子ドットのサイズが2.6 nmから8.1 nmに増大した。粒子組成は、反応温度の上昇に伴ってAg割合が増大し、150℃以上で合成した量子ドットでは、AgBiS2の化学量論組成に近い値を示した。化学量論組成のAg-Bi-S量子ドットをITO電極上に担持して光電気化学特性を評価したところp型半導体の光応答が得られ、その光電流の立ち上がり電位は価電子帯準位によく一致した。光電流の作用スペクトルを測定から、近赤外光照射によって光電流が生成したことがわかった。一方で、Ag含有率の少ない量子ドットは、バンドギャップ内に光電流の立ち上がり電位を示し、再結合中心となる欠陥サイトがバンドギャップ内に存在することが示唆された。以上のように、粒子内の欠陥準位を精度良く制御することで、効率よく光エネルギー変換できるAg-Bi-S量子ドットが作製できることを明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
近赤外光領域にエネルギーギャップを有する金属カルコゲナイド化合物半導体の1つであるAgBiS2を対象として、Ag-B-S量子ドットの液相化学合成に成功し、粒子サイズと組成を高精度に制御することに成功した。さらにAg-B-S量子ドットの電子エネルギー構造が化学組成により大きく変化することを解明し、量子ドットの光エネルギー変換特性に大きな影響を及ぼす欠陥準位の存在とそのエネルギーレベルを見積もることに成功した。 これらの成果は、当初の計画に予定していたものであり、「おおむね順調に進展している」と評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度までに行った低毒性多元量子ドットの精密液相合成法の開発と、サイズ・形状制御による電子エネルギー構造の制御を引き続き行うとともに、その光触媒活性を評価し、量子ドット光触媒の作製と高活性化のための設計指針を得る。
|