研究課題/領域番号 |
22H00352
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分37:生体分子化学およびその関連分野
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
難波 康祐 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 教授 (50414123)
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研究分担者 |
KARANJIT SANGITA 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 講師 (60784650)
小林 高範 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (70590206)
村田 佳子 公益財団法人サントリー生命科学財団, 生物有機科学研究所・統合生体分子機能研究部, 特任研究員 (60256047)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,860千円 (直接経費: 32,200千円、間接経費: 9,660千円)
2024年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2023年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2022年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
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キーワード | ムギネ酸 / ファイトシデロフォア / 植物感染症 / YS/YSLトランスポーター / トランスポーター標識 / 蛍光プローブ / アルカリ性不良土壌 / ムギネ酸プローブ / 分子プローブ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は、イネ科植物が根から分泌する天然のキレート剤「ムギネ酸」と他種生物との関わりを明らかにし、種々の食料問題を解決するための新たな知見を得ることを目的とする。具体的には、1) イネ科以外の植物がムギネ酸を利用する分子機構、2) 土壌細菌がムギネ酸を分解および利用する分子機構、3) 植物感染症に対するムギネ酸治療の可能性について、独自の化学プローブを用いて明らかにすることを試みる。
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研究実績の概要 |
・2022年度では理研との共同研究によってクライオ電顕を用いた解析を行い、ムギネ酸・鉄錯体トランスポーターの3次元構造を世界に先駆けて初めて解明した。これにより、ムギネ酸・鉄錯体が取り込まれる機構を詳細に解明できたと共に、革新的肥料PDMAが天然のムギネ酸と同じ機構で植物体内に取り込まれていることが明らかとなった。本成果は2022年度にNat.Commun.にて発表した。 ・PDMAの全立体異性体の合成を達成し、ムギネ酸およびPDMAの立体効果を明らかにすることが出来た。すなわち、幾つかのジアステレオマーもPDMAと同様のトランスポーター通過活性およびイネの成長促進活性を有していることが明らかとなった。これにより、沙漠肥料の安価誘導体の合成指針を得ることが出来た。 ・先に得られた立体異性体の知見を基に、次世代肥料PDMAの安価大量合成法を開発し、本製造方法についての特許出願を行った。これにより、PDMAの肥料としての供給が可能となり現在実用化に向けた検討を進めている。実際に、世界各地の土壌での生育効果の検証を現在行なっている。また、天然のムギネ酸の短工程大量合成法も確立した。本合成法の確立により、ムギネ酸をグラムスケールで供給することが容易になった。これにより、機能解明に向けたムギネ酸プローブのボトルネックとなっていたムギネ酸の量的供給の問題を解決できた。ムギネ酸プローブの量的供給が可能となったため、次年度以降の機能解明研究の進捗が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・本年度ではムギネ酸・鉄錯体のトランスポーターであるHvYS1の3次元構造を初めて明らかにすることができた。本トランスポーターの3次元構造はムギネ酸の発見以降50年近く不明のままであったが、今回世界に先駆けてその構造を明らかにすることができた。また、次世代肥料PDMAが天然のムギネ酸と同じ機構で植物体内に取り込まれていることも明らかに出来た。 ・次世代肥料PDMAの安価大量合成法を確立した。これにより、実用化に向けた栽培試験を現在世界各地で行っている。 ・天然のムギネ酸の短工程合成法を開発し、グラムスケールでのムギネ酸合成を達成した。これにより、ムギネ酸プローブ合成のボトルネックとなっていたムギネ酸の量的供給の問題を解決できた。次年度はプローブを用いた機能解明研究が円滑に進捗すると期待できる。 以上より、研究は当初の計画通り順調に進行していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までにムギネ酸の量的供給法を確立できたので、次年度以降は種々のムギネ酸プローブを合成し機能解明研究を推進する。具体的には、種々の蛍光標識ムギネ酸を合成し、ムギネ酸を取り込む土壌細菌を明らかにする。トランスポーター標識プローブの量的供給を達成し、イネ科以外の種々の植物でのトランスポーター標識試験を行う。また、トランスポーターが標識されなかった植物に関しては、蛍光標識ムギネ酸を用いてムギネ酸が体内に取り込まれる経路について調査する。今年度までにカンキツグリーニング病の病原菌の増殖を抑制する化合物を見出すことができたことから、次年度は増殖抑制化合物を植物体内に輸送するシステムの構築を試みる。
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