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極限的な乾燥耐性を実現させるゲノム保護・修復機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22H00372
研究種目

基盤研究(A)

配分区分補助金
応募区分一般
審査区分 中区分39:生産環境農学およびその関連分野
研究機関国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構

研究代表者

黄川田 隆洋  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, グループ長 (60414900)

研究分担者 舟橋 啓  慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (70324548)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
42,250千円 (直接経費: 32,500千円、間接経費: 9,750千円)
2025年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
2024年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
2023年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
2022年度: 11,700千円 (直接経費: 9,000千円、間接経費: 2,700千円)
キーワードDNA修復 / 極限乾燥耐性 / ゲノム / CRISPR / 部位特異的遺伝子導入
研究開始時の研究の概要

本研究は、ネムリユスリカの乾燥・再水和の過程で生じる”DNAの障害”が、”どの場所”で生じて、”どのような因子で保護・修復”しているのかを知ることで、"乾燥耐性をもたらすDNA修復機構"の全容を解明することを目的とする。新規DNA保護・修復因子を利用することで、乾燥などのストレスに強い作物の育種や細胞を作出することが可能となる。DNA修飾活性因子を使えば、新たなゲノム編集技術への応用も期待できる。

研究実績の概要

ネムリユスリカ培養細胞を用いた放射線及び乾燥処理DSBデータベース(Breakome)の構築:昨年度末にシーケンスを進めたPv11のBLISS-seqデータの解析およびDNA損傷のデータベースの構築を進めた。コメットアッセイよりPv11のトレハロース処理中で大規模なDNA損傷が起きていない可能性が示唆されていたのに対して、BLISS-Seqでも同様にゲノムワイドでのDNA損傷は認められなかった。しかし、ゲノムの中には損傷を受けやすい領域が検出され、Hi-CやATAC-Seqデータの解析によりオープンクロマチン領域に集中している可能性が示唆された。

DNA保護・修復因子の候補遺伝子の選抜のためのKOスクリーニング系の構築:Pv11細胞のゲノム情報に基づいて、約20,000存在する遺伝子を網羅的に破壊可能なgRNAターゲットを選定し、人工的合成したDNA断片を得た。この断片は、既に構築済のネムリユスリカ用RNA発現ベクターに組み込むことでgRNA発現ライブラリーを作製が構築できる。Pv11細胞のゲノミックセーフハーバー領域に、gRNAライブラリーを挿入するためにはCRISPRシステム以外の手法が必要となるため、Pv11細胞で作動する部位特異的遺伝子挿入技術の確立が必要となった。

DNA保護・修復の誘導メカニズムの理解:Pv11細胞のDNA保護・修復は乾燥耐性の分子機構の一要素である。トレハロースによる前処理が乾燥耐性を誘導する。そこでデータベースやスクリーニング系の構築と並行して、乾燥耐性の誘導機構の解析を進めることにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

黄川田G: 先進ゲノム支援のサポートによるPv11細胞ゲノムのHiFiリード解析が行えた。これを利用してT2Tレベルの高精度のネムリユスリカゲノムデータの改善が行える。BLISSライブラリを用いたゲノムワイドな二本鎖切断部位の特定を行い、ネムリユスリカゲノムデータベースへのマッピングを進めた。また、Pv11細胞へgRNAライブラリーを挿入するシステムとしてFlp/FRTおよびCre/loxPシステムの利用が可能か検討するため、FlpとCreをPv11細胞に発現するベクターの構築を行った。

舟橋G: Pv11細胞のトレハロースおよびマンニトール処理時の時系列RNA-seqデータを用いて遺伝子発現量の定量を行なった。次に、定量した遺伝子を主成分分析した結果から糖処理12時間後以降に糖の種類によって遺伝子発現の状態が変化することを確認した。この変化に関与する因子を絞り込むために、一つ前の時刻であるトレハロース処理6時間後にマンニトール処理6時間後と比べて高発現である15種類の転写因子を取得した。取得した転写因子のアミノ酸配列をネムリユスリカの近縁種のモデル生物であるキイロショウジョウバエのアミノ酸配列と比較することによって、取得した転写因子に先行研究で乾燥耐性に関与することが示された熱ショック因子や機能が未知な転写因子が含まれることが明らかになった。

今後の研究の推進方策

CRISPR-Screeningを遂行するための基盤技術の開発を進める。gRNA発現カセットのゲノム単コピー挿入に必要なFlp/FRTおよびCre/loxPシステムを利用して、限定的な遺伝子プールに対するCRISPR screeningを実施する。一連の技術を開発したらゲノムワイド解析へ進める。また、取得した15種類の転写因子と他の転写因子との制御関係推定、下流遺伝子群の制御関係と機能の推定を行なうことによって、Pv11細胞のトレハロース処理特異的な乾燥耐性の獲得機構を明らかにする。

報告書

(3件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 審査結果の所見   実績報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] A sodium-dependent trehalose transporter contributes to anhydrobiosis in insect cell line, Pv112024

    • 著者名/発表者名
      Mizutani Kosuke、Yoshida Yuki、Nakanishi Eita、Miyata Yugo、Tokumoto Shoko、Fuse Hiroto、Gusev Oleg、Kikuta Shingo、Kikawada Takahiro
    • 雑誌名

      Proceedings of the National Academy of Sciences

      巻: 121 号: 14 ページ: 0-0

    • DOI

      10.1073/pnas.2317254121

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] ネムリユスリカ培養細胞(Pv11)における乾燥耐性の誘導2023

    • 著者名/発表者名
      徳本翔子、黄川田隆洋
    • 雑誌名

      月刊「細胞」

      巻: 55 ページ: 4-7

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 干からびても死なない生物ネムリユスリカの乾眠メカニズム2023

    • 著者名/発表者名
      黄川田隆洋
    • 学会等名
      日本原生生物学会+ 日本寄生虫学会東日本支部+ 日本衛生動物学会東日本支部 3学会合同大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] High quality genome assembly of the anhydrobiotic midge provides insights on a single chromosome-based emergence of extreme desiccation tolerance2022

    • 著者名/発表者名
      Yuki Yoshida§, Oleg Gusev, Richard Cornette, Takahiro Kikawada
    • 学会等名
      21st International Symposium on Chironomidae (ISC2022)
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 乾燥しても死なない秘密: Secret of not Dying from Drying out2022

    • 著者名/発表者名
      黄川田隆洋
    • 学会等名
      第66回低温生物工学会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 極限乾燥耐性に対する水による影響の反応速度論的考察2022

    • 著者名/発表者名
      山田貴大
    • 学会等名
      定量生物学の会 第10回年会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2025-04-17  

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