研究課題/領域番号 |
22H00380
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
本田 与一 京都大学, 農学研究科, 教授 (70252517)
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研究分担者 |
佐藤 利次 北見工業大学, 工学部, 教授 (00390881)
入江 俊一 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (30336721)
河内 護之 京都大学, 農学研究科, 特定准教授 (70771294)
中沢 威人 京都大学, 農学研究科, 助教 (80608141)
上辻 久敏 岐阜県森林研究所, 森林資源部, 研究員 (90455527)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
42,510千円 (直接経費: 32,700千円、間接経費: 9,810千円)
2024年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
2023年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
2022年度: 15,470千円 (直接経費: 11,900千円、間接経費: 3,570千円)
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キーワード | きのこ / ゲノム編集 / キノコ / 木材腐朽菌 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、持続可能で環境に優しい農業の確立を目指し、主要な食用担子菌であり重要な林産物でもあるシイタケをモデル生物として用い、いわゆる外来の遺伝子を含むような遺伝子組換えに当たらない新しい安全性の高いゲノム編集技術を開発することで、生産、流通、消費を通して、生態系などの環境に与える負荷の小さい新しい品種の開発を目指している。外来DNAの残留のないゲノム編集技術の確立は、将来的にきのこ類だけではなく様々な作物、木材などの生産に応用可能である。
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研究実績の概要 |
農業が環境に与える負荷のうち、遺伝学的な負荷については、これまで十分に研究されて来なかった。本研究では、食用担子菌シイタケをモデルとし、遺伝子組換えに当たらない新しい安全性の高いゲノム編集技術を開発して、環境に優しい新しい品種の開発を目指している。具体的には、持続可能で環境に優しい農業の確立を目指し、外来DNAの残留のないゲノム編集技術の確立を目指すと共に、胞子を作らないシイタケを分子育種して、遺伝子汚染問題の解決策の実用化を目指す。 本年度は、まずシイタケの栽培現場における胞子が引き起こす問題点や環境への負荷について現場の情報を収集するとともに、本研究の基盤技術となるシイタケへのゲノム編集の導入について検討し、良好な結果を得た。より詳細には、CRISPR/Cas9によるゲノム編集をシイタケに導入するため、液体培養したシイタケ菌糸体を細胞壁溶解酵素で処理し、原形質膜に覆われた細胞(プロトプラスト)を作成した。ポリエチレングリコールと塩化カルシウムの存在化で、Cas9タンパク質とガイドRNAをコードする組換えプラスミドおよび標的部位の上流下流領域に挟まれたマーカー遺伝子を持つドナー配列を同時に、形質転換導入した。マーカー遺伝子の働きにより選抜された組換え体について、PCRで染色体上の遺伝子挿入位置の確認を行い、遺伝子ターゲティングが起きていることを確認した。この結果はシイタケにおける世界で初めての遺伝子ターゲティング系が開発されたことを意味するものである。また、より実験に使い易いヒラタケをモデルとして、より安全性の高いゲノム編集技術の開発や胞子形成関連遺伝子の同定も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
食用担子菌類の中でも、シイタケは生産量が多く市場価値も高い。一方で、遺伝学的な解析を行う際には、他のモデルとなる種とは異なり、菌糸成長の遅さや、プロトプラスト化の難しさ、遺伝子導入効率の低さなど実用菌ならではの困難が多い。そのような状況の中で、今回世界で初めてゲノム編集とそれに続く相同組換えに成功したことは、今後の研究の基盤として意義が大きいと考えられるため。また併せて、ヒラタケをモデルとした安全性の高いゲノム編集技術の開発も進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度達成したシイタケ菌株におけるCRISPR/Cas9によるゲノム編集系を、シイタケの他の菌株にも導入することを試みる。また、他の担子菌で明らかになってきた胞子形成に重要な働きをする遺伝子のホモログをシイタケでクローン化し、遺伝子破壊することを試みる予定である。
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