研究課題/領域番号 |
22H00381
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
河本 晴雄 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (80224864)
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研究分担者 |
南 英治 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (00649204)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
43,420千円 (直接経費: 33,400千円、間接経費: 10,020千円)
2024年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2023年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2022年度: 23,140千円 (直接経費: 17,800千円、間接経費: 5,340千円)
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キーワード | 木材 / 細胞壁 / 超分子構造 / 熱分解 / 反応性 / セルロース / ヘミセルロース / リグニン |
研究開始時の研究の概要 |
木材の細胞壁はナノサイズの結晶性セルロースミクロフィブリルの周囲をマトリックス(ヘミセルロースとリグニン)が取り巻く超分子構造を有する。本研究では、分子運動性に関連する木材中の構成成分の熱分解反応性を明らかにするとともに、超分子構造の解明を目指す。これらが明らかになることで、素材としての木材の効率的な利用と、熱分解・ガス化などの木質バイオマスの変換技術の高度化が可能になることが期待される。
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研究実績の概要 |
木材の細胞壁はナノサイズの結晶性セルロースミクロフィブリルの周囲をマトリックス(ヘミセルロースとリグニン)が取り巻く超分子構造を有するが、その詳細については不明な点が多い。一方、木材中のセルロースおよびヘミセルロースの熱分解反応性が単離成分と異なり、反応性に対する影響が樹種(針葉樹と広葉樹)で異なることがスギ(針葉樹)とブナ(広葉樹)を用いた検討により示唆されている。本研究課題では、熱分解反応性と細胞壁におけるナノ集積構造の双方を包括的に解明することを研究目的とする。令和4年度の研究では、針葉樹、広葉樹それぞれ5種の計10種を選定し、スギとブナで認められた特徴を針葉樹、広葉樹に一般化できることを確認した。また、従来は木粉を用いていたが、木材をスライスした突板を、色差測定の可能なCCDカメラ付きの熱重量分析装置を用いて分析することで、重量減少挙動とともに熱分解における色の変化と収縮挙動を同時に評価できる実験方法を確立した。これらの成果により、針葉樹と広葉樹における細胞壁のナノ集積構造の違いと熱分解反応性を調べるための研究基盤が整った。本研究目的が達成されることにより、素材としての木材の効率的な利用や、熱分解・ガス化などの木質バイオマスの変換技術の高度化が可能になることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題を実施する上での第一段階として、スギとブナでこれまでに認められた熱分解特性(セルロースとヘミセルロースの反応性)の違いが、針葉樹と広葉樹に一般化できることを、それぞれ5樹種ずつ用いた熱重量減少挙動および各熱分解温度における残渣中の構成糖分析の結果から確認した。また、木粉ではなく突板を用いることで、熱分解における色差の変化や収縮挙動を定量的に評価し、熱重量減少挙動と比較して議論するための方法論を確立した。これにより、木材構成成分の熱分解による重量化を、細胞壁を構成する成分の熱分解や細胞壁の収縮挙動と関連付けて評価できるようになった。この点は、今後の研究を遂行する上で非常に有用である。例えば、令和4年度の研究により、昇温過程において熱分解により重量減少がほぼ完了した時点で木材の収縮が起こることがわかり、繊維方向と半径方向に異方性が認められることが判明したが、本結果は、細胞壁中での構成成分の熱分解挙動を議論する上で重要な示唆を与える。また、ナノ材料の評価において実績を有する博士研究員を雇用するとともに、赤外線顕微鏡のオーバーホールを終え、細胞壁のナノ構造の研究実施体制を強化した。このような理由で、“概ね順調に進展している”と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度の研究により針葉樹と広葉樹で一般化できる細胞壁のナノ集積構造の違いが存在していることが強く示唆された。この成果を受け、令和5年度には、脱リグニン処理などによりリグニンの影響を除いた際のセルロースとヘミセルロースの熱分解反応性、カルボキシ基がアルカリ(Na, K)およびアルカリ土類(Mg, Ca)金属塩や遊離のカルボキシ基である場合の熱分解反応性への影響などを調べることで、細胞壁のナノ集積構造について詳しく検討を進める。また、細胞壁中でのリグニンの存在状態や熱分解反応性について情報も得られるようにリグニンに着目した検討も進める予定である。
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