研究課題/領域番号 |
22H00384
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
緒方 博之 京都大学, 化学研究所, 教授 (70291432)
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研究分担者 |
岡崎 友輔 京都大学, 化学研究所, 助教 (40823745)
吉田 天士 京都大学, 農学研究科, 教授 (80305490)
遠藤 寿 京都大学, 化学研究所, 准教授 (80795055)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,770千円 (直接経費: 32,900千円、間接経費: 9,870千円)
2024年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2023年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
2022年度: 17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
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キーワード | 巨大ウイルス / 無光層 / 生態 / 進化 / 深海 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、有光層から深海にわたり採取したインド洋広域試料と、大容量採水可能な深層水時系列試料を高品質環境オミクス解析に供し、①無光層GVの感染活性と遺伝子組成を特徴づけ、②無光層GVと真核微生物の相互作用を精査し、③主要宿主を同定し、GVとの相互作用を実験的に検証する。以上により、水圏生態系におけるGVと真核微生物の進化・生態の理解を飛躍的に深化させる。
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研究実績の概要 |
ウイルスは微生物群集動態、物質循環、進化に影響を及ぼす重要な生態系構成要素である。研究代表者らは、巨大ウイルス(Giant Virus; GV)が水圏に高頻度で存在し、高い系統多様性を示すことを世界に先駆け発見し、彼らが多様な真核微生物宿主と相互作用する様相、海洋炭素循環に影響を及ぼす可能性を提示してきた。しかし、これまでの研究は生産性が高く観測が比較的容易な有光層に集中し、水圏の大部分を占める無光層に存在するGVの生態学的理解は限られていた。本研究では、有光層から深海にわたり採取したインド洋広域試料と、大容量採水可能な深層水時系列試料を高品質環境オミクス解析に供し、①無光層GVの感染活性と遺伝子組成を特徴づけ、②無光層GVと真核微生物の相互作用を精査し、③主要宿主を同定し、GVとの相互作用を実験的に検証することを目的としている。 2023年度は、主として高知県室戸深層水研究所を利用した観測、公共メタゲノムデータを利用した解析を行った。インド洋由来のデータに関しては巨大ウイルスのゲノム検出に止まった。また、2023年に研究代用者らのグループがメタゲノム中に発見した新規巨大ウイルス門からのウイルスの分離に関する研究を、本研究の③の目的の予備的な研究と位置づけて開始した。 室戸深層水研究所(中深層水、320m深度及び表層)から採取された試料をマルチオミクス解析に供し、真核微生物の組成の解析、巨大ウイルスのゲノム再構築を行なった。その結果、深層水固有の巨大ウイルスの存在と活性を示唆するデータを得た。また公共メタゲノムデータからも、湖沼の無光層に固有の巨大ウイルス群を見出した。ウイルス分離に関しては成功に至っていないが、宇治川に新規ウイルス門に属するウイルスの存在を確認した。上記の結果は、現在2報の論文(室戸深層水及び湖沼メタゲノム)としてまとめているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究計画の遂行により、試行錯誤の後、深層水を十分量濾過するシステムを確立できたので、2023年度の研究計画では、資料からのデータの産出及びデータのバイオインフォマティクス解析に専心できた。一方、インド洋データと高知県深層水データの規模が大きく、両データの解析を並行して進めることは、割けるエフォートを考慮すると困難であった。その為、高知県深層水データに重点をおいた解析となった。得られた結果は興味深いものであり、今後論文として出版するに値すると考えている。また、海洋由来の公海データを利用した解析を並行して進めており、上記の室戸深層水データを合わせて発表する予定である。湖沼由来のメタゲノムデータの解析に関しても、論文化が進んでおり、2024年度当初に国際誌に投稿予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、室戸深層水研究所における試料を一度行う予定である。その後、データの産出と解析を終了し、論文の執筆に注力する。余力があればインド洋データの解析をさらに進める。巨大ウイルス分離の研究は継続する。公開メタゲノムを利用した湖沼由来の巨大ウイルスの解析に関しては論文として発表することを目指す。
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