研究課題/領域番号 |
22H00388
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分41:社会経済農学、農業工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
酒井 憲司 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 特任教授 (40192083)
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研究分担者 |
渡辺 将央 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00975360)
帖佐 直 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10355597)
手島 司 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業機械研究部門, グループ長 (10391509)
松井 正実 宇都宮大学, 農学部, 教授 (10603425)
田村 孝浩 宇都宮大学, 農学部, 教授 (20341729)
青柳 悠也 琉球大学, 農学部, 助教 (20882195)
滝元 弘樹 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業機械研究部門, 研究員 (30646948)
風間 恵介 日本大学, 生産工学部, 助教 (30813422)
井上 秀彦 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業機械研究部門, 主任研究員 (40414685)
山下 恵 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (70523596)
中島 正裕 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (80436675)
原田 一郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業機械研究部門, 研究員 (90527110)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,900千円 (直接経費: 33,000千円、間接経費: 9,900千円)
2024年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2023年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2022年度: 18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
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キーワード | トラクタ事故 / 共振ジャンプ / ドライビングシミュレータ / カオス / 非線形動力学 / トラクタ / 農作業事故 / 非線形現象 / 仮想テストドライブ / ドライブシミュレータ / ジャックナイフ現象 / パワーホップ / アクティブ安全 |
研究開始時の研究の概要 |
わが国の水田地帯等における農道の急傾斜・狭い幅員・法面高低差により,小型トラクタの数m落下事故も頻発し,安全フレームの効果は減殺される.そのため,トラクタ転倒・転落時の対策ではなく,それ転倒・転落自体の防止を目指すアクティブ安全へのパラダイム転換の必要性が明らかになった.本研究ではこれまでに構築したトラクタ非線形動力学理論に基づいて、アクティブ安全対策を行うための技術基盤を体系的に整備する。
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研究実績の概要 |
①トラクタートレーラ系の等価3輪モデルの平面運動解析からジャックナイフ現象の発生メカニズムを明らかにした.前輪転舵角とトレーラ連結角における極─零点配置図と周波数応答から連結車両の安定性解析を行った.②共振ジャンプの制御下実験を実施した.モーションキャプチャシステムによる6軸方向の変位・角度計測によりタイヤ路面離脱―再衝突過程を観察し共振ジャンプ理論を高精度で実証した.再衝突時における接地荷重急増による推進力に起因した瞬間的な進行方向加速度の発生を確認し,トラクタ非線形動力学に新たな知見を付加した.③前輪ピポットによって発生する3輪旋回メカニズムについて実機実験・仮想テストによって確認した.以上の結果は道路運送車両法保安基準等を満たすトラクタパラメータ条件下でも路面形状によるトラクタ転倒転落インシデント発生の蓋然性を示唆するものである.④DF制御をトラクタ非線形動力学モデルに適用し,共振ジャンプの抑制効果が確認できた.⑤農用トラクタ-トレーラ系において,クローズドループ制御系による安定性解析によって,オープンループ系では不安定化するのに対しクローズドループ制御系では安定化できることを確認した.⑥研究開発用の6DOFトラクタDSを試作した.IMUを搭載し,駆動入力に対しての応答を評価した.⑦6DOFトラクタDSのコックピットでは,ハンドルーペダルシステムとして普及しているLogitecG290を採用した.ハンドルフィードバック力(トルク),ブレーキ力(シリンダ圧力,ペダル踏圧)は,PCにフィードバックされた信号より読み取った.⑧トラクタの非線形挙動に関する913件の仮想テスト動画をアーカイブとして構成し公開した.⑨現地検討会を開催し,現場のニーズ調査,携帯型トラクタDSのモニター試乗を行うとともに,長波長凹凸路面における共振ジャンプ現象が新たに課題抽出された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ジャックナイフ現象に関する動力学的解析,凹路面の共振ジャンプ,長距離波長の共振ジャンプおよび3輪旋回状態の仮想テストなど,トラクタ非線形動力学の高精度化と適用範囲の拡張を図ることができた.また,制御下実機実験により凸路面における共振ジャンプの検証ができ,高精度化も行えた.共振ジャンプなどの非線形挙動をDF制御により抑制可能性を理論的に示すことができた.900件以上のトラクタ仮想テスト動画をアーカイブとして公開した.これらの成果をScientifc ReportおよびBiosystem Engineeringなど国際誌に公表した.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの仮想テストによって明らかになった凹路面における衝撃発生の実在を検証する.現地調査及び仮想テストからホイールベースの2倍以上の長波長路面においても共振ジャンプ発生がから見込まれるため,その発生メカニズムを解明する.DF制御アルゴリズムの共振ジャンプおよびパワーホップに対する適用に関してモデルベース開発手法を援用する.具体的にはCarSimによって構成した車両モデルをS-Functionで構成しDF制御アルゴリズムをSimlinkによって実装する.サスペンションの効果についてパッシブ,アクティブおよびセミアクティブについての効果をモデルベースアプローチによって検証する.6DOFトラクタDSを用いて危険挙動の再現システムを構築する.左右独立ブレーキ,トルクフィードバック機能などをコックピットに実装する.これまでアーカイブとして構築してきた事故シナリオについて6DOFトラクタDSの入出力応答評価を行う.ドラレコによるモニター調査を拡張して実施するとともに,得られたトラクタ挙動データから6DOFトラクタDSにおける挙動の再構築と官能試験法の可否を明らかにする.高齢者における事故率増加の要因について探索的研究を試みる.試作した携帯型トラクタDSによるモニター調査を継続する.アウトリーチとして仮想テストによる事故シナリヲの動画アーカーブをYoutubeなどで逐次公開する.トラクタ非線形動力学に関する大学院レベルのWeb講義コンテンツを試作する.各技術課題と関連法規制・ガイドライン等との整合性について系統的整理を行う.以上,アクティブ安全の基盤として機体-道路設計および人間工学―運転支援に資する包括的な課題遂行が今後の方針である.
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