研究課題/領域番号 |
22H00391
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分41:社会経済農学、農業工学およびその関連分野
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
中塚 雅也 神戸大学, 農学研究科, 教授 (40432562)
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研究分担者 |
中島 正裕 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (80436675)
柴田 祐 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (90444562)
平井 太郎 弘前大学, 大学院地域社会研究科, 教授 (70573559)
八木 洋憲 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (80360387)
井上 果子 宮崎大学, 地域資源創成学部, 准教授 (70733129)
一ノ瀬 友博 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 教授 (90316042)
原科 幸爾 岩手大学, 連合農学研究科, 教授 (40396411)
山下 良平 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (40515871)
柴崎 浩平 兵庫県立大学, 環境人間学部, 助教 (60822046)
小川 景司 神戸大学, 農学研究科, 助教 (80964006)
清水 夏樹 神戸大学, 農学研究科, 非常勤講師 (40442793)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
30,290千円 (直接経費: 23,300千円、間接経費: 6,990千円)
2024年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
2023年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 農村計画 / 心理的資本 / 価値創造 / 農村イノベーション / アクションリサーチ / 農山漁村イノベーション / 中山間地域 / 災害 / 人口減少 / 地域資源管理 / 地域連携 |
研究開始時の研究の概要 |
急激な人口減少下における,自然災害や感染症のリスク拡大,急速な技術革新など,不確実な環境にさらされる農村の持続的発展のため,農村に関わる多様な人々の能力開発と価値創造を促す新たな農村計画のモデルと理論を構築する。 これは従前の規範型・問題解決型の農村計画から能力開発型・価値創造型の農村計画へのパラダイム転換をも含む挑戦的なアプローチである。また,能力開発の中核に心理的資本を据え,多様な価値観を持つ人々の心理的資本の相乗的な向上を通じ,創発的な価値創造が生じるフレームワークと,そうした価値創造を具現化する促進システムを実証的に解明する。
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研究実績の概要 |
基盤となる諸理論の整理と仮説フレームの構築,事例分析を進めるとともに,青森県弘前市・鰺ヶ沢町を中心として合同フィールド調査を行った。具体的には,次の3つのアプローチから研究を進めた。 A)心理的資本・能力開発については,心理的資本をはじめ社会関係資本,地域愛着など関連する諸概念,先行研究を整理し,農村版の心理的資本の測定尺度を開発した。実際に,中国地方の山間部集落において,集落組織への参加が心理的資本に与える影響についてアンケート調査を実施した。また,農村版心理的資本の活用に向けて,住民の懸念点を明らかにした。 B)価値創造については,滋賀県甲良町の集落を事例に,心理的資本と動機づけが集落行事の継承意欲に及ぼす影響の解明を行った。また,青森,岩手,兵庫,高知,熊本県下の集落や資源管理組織(森林管理,ため池管理など)において,価値創造にむけた構造的問題やその条件を分析した。集落点検,研修ワークショップなどを介入手法としてとりあげ,その有効性の検証を行った。 C)農村イノベーション促進では,震災復興を課題として設定し,熊本県や石川県の被災地を対象とした参与観察や調査設計を進めた。また,条件不利な山間集落や漁村の持続性にも注目し,その「創造性」を住民視点から解明した。成果の一部は,農村計画学会誌の特集「世界の創造的小集落」として広く公開した。更に,イノベーション促進のアクターとしての研究者・学会の役割について,農村計画研究の研究体制の検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
A)心理的資本・能力の開発については,昨年度に作成したプロトタイプをもとに農村版心理的資本尺度を開発した。心理的資本の効果に関する実証研究や,地域づくり活動の現場での導入も進めるなか,他の関連概念との整理を行いながら,利便性と科学的妥当性の両立のための改善も進めている。 B)価値創造については,具体的な地域づくり活動や資源管理活動において,心理的資本の概念を導入した分析を進めた。また,地域の課題に応じた多様な介入手法を設定(事例的設定,実験的設定)することができ,その効果の検証を進めている。それらの体系化や実証結果の公表が課題であるが,現場での実践も継続されており,概ね順調である。 C)農村イノベーション促進については,山間集落や漁村を中心としたフィールドワークを行い,その成果を学会誌特集にて公開した。また,震災復興を課題として取り上げ,調査アプローチ方法の検討を進めた。イノベーション促進における研究者・学会の役割についても議論を重ねるなど順調に進めることが出来ている。 以上,これまでの農村計画手法に関する体系的整理の強化は課題ではあるが,農村版心理的資本尺度を開発した上で,価値創造,イノベーション促進のための理論整理と実証研究も遂行している。研究全体としてはおよそ当初の計画通りに進んでおり,おおむね順調である。 C)農村イノベーション促進では,震災復興を課題として設定し,熊本県や石川県の被災地を対象とした参与観察や調査設計を進めた。また,条件不利な山間集落や漁村の持続性にも注目し,その「創造性」を住民視点から解明した。成果の一部は,農村計画学会誌の特集「世界の創造的小集落」として広く公開した。更に,イノベーション促進のアクターとしての研究者・学会の役割について,農村計画研究の研究体制の検討を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に沿って着実に研究を進めるが,本年度は,開発した心理的資本測定尺度をベースに,2年間で蓄積された諸理論の整理と仮説フレームに基づく事例分析や介入実験的な研究を進める。心理的資本尺度については,地域特性に応じた拡張も目指す。 全体研究会をオンラインと対面にて開催するとともに,引き続きフィールドでの共同調査を実施して,議論や成果を共有する。具体的な調査研究は,引き続き3つの領域に沿って行うが,超人口減少(山間離島),多様な主体(都市近郊),地域レジリエンス(災害)を横串のテーマとして設定して進める。システマティックレビューの遂行など学際的・国際的な研究動向も把握し,理論と実践の整合・統合を引き続き目指す。 また,研究分担者を中心にしつつも,農村計画学会において,これまでの研究成果の共有を進め,研究者の相互作用,次世代研究者の育成機会を創出し,本研究活動自体を,オープンなイノベーション創出の取り組みとする。
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