研究課題/領域番号 |
22H00397
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分42:獣医学、畜産学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大蔵 聡 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (20263163)
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研究分担者 |
若林 嘉浩 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 上級研究員 (00510695)
松山 秀一 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (50455317)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
43,160千円 (直接経費: 33,200千円、間接経費: 9,960千円)
2024年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2023年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2022年度: 20,930千円 (直接経費: 16,100千円、間接経費: 4,830千円)
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キーワード | 卵胞発育中枢 / ニューロキニンB / ダイノルフィンA / ターゲットトキシン / オプトジェネティクス / 応用動物 / 畜産学 / ヤギ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、家畜の繁殖機能制御の最上位中枢である卵胞発育制御中枢「性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)パルスジェネレーター」に着目し、GnRHパルスジェネレーターがパルス状GnRH分泌を制御する神経メカニズムを解明する。ターゲットトキシンの弓状核内局所投与と投与部位近傍の神経活動の同時解析法や、オプトジェネティクス技術により、GnRHパルスジェネレーター本体のメカニズムを解明するとともに、ニューロキニンBおよびダイノルフィンAがGnRHパルスジェネレーターを調節するメカニズムを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、ターゲットトキシン(NKB-SAP)のヤギ視床下部弓状核内局所投与と投与部位近傍の神経活動の同時解析法、オプトジェネティクス技術および組織形態学的手法を駆使し、家畜の卵胞発育を制御する神経機構「性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)パルスジェネレーター」の同定と、その神経機構に関わるニューロキニンB(NKB)およびダイノルフィンA(Dyn)の作用機作の解明を目的とする。 ヤギ弓状核の「KNDyニューロン(KNDy)」近傍に局所投与カニューラ/多ニューロン発火活動(MUA)記録電極を留置し、NKB-SAPを局所投与することでNKB受容体を発現するKNDyの限定的な排除を試みた結果、NKB-SAP投与によりKNDy数が減少するとMUAの一過性上昇(MUAボレー)の消失やその振幅が減少し、卵胞発育中枢の活動を反映するMUAボレーがKNDyに由来することが示唆された。 また、オプトジェネティクス技術によるGnRHパルスジェネレーター活動起源の同定については、シバヤギKNDy不死化細胞において、アデノ随伴ウイルスベクターを用いてNKB遺伝子(Tac3)プロモーター下でCreリコンビナーゼを発現させ、KNDy特異的に光感受性イオンチャネル(チャネルロドプシン)遺伝子を発現させる手法を確立した。 さらに、Dynの作用部位を特定するため、Dyn受容体(KOR)抗体を用いた免疫組織化学染色および多重ラベルin situ hybridizationを行ったところ、ヤギ弓状核においてKORがKNDyに発現することが確認された。一方、弓状核近傍の神経核においても多数のKOR発現細胞が検出された。以上より、DynはKNDyに直接作用してその神経活動を抑制するだけでなく、近傍に存在するKOR発現ニューロンの軸索がKNDyに投射し、KNDyの神経活動を間接的に抑制する可能性も考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、卵巣除去ヤギを用いてターゲットトキシン(NKB-SAP)局所投与用カニューラ/MUA記録用電極をヤギKNDyニューロン(KNDy)近傍に留置する手法を確立し、投与部位近傍のMUAを経時的に解析することが可能となった。その結果、NKB-SAP投与によりKNDy数が減少するとMUAの一過性上昇(MUAボレー)の消失やその振幅が減少することが確認でき、NKB-SAPを活用したGnRHパルスジェネレーター活動起源の同定が進んだ。 また、オプトジェネティクス技術によるGnRHパルスジェネレーター活動起源の同定のために、KNDy特異的にチャネルロドプシンを発現させる手法の開発を進めてきた。チャネルロドプシンを十分量発現させるため、Creリコンビナーゼ(Cre)存在下で目的遺伝子の発現が誘導されるDouble-floxed inverted orientation(DIO)システムを適用した。アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いて、NKB遺伝子(Tac3)プロモーター下でKNDy特異的にCreを発現させることで、KNDyにチャネルロドプシンを発現させることにシバヤギKNDy不死化細胞株を用いたin vitro実験で成功した。今後は、ヤギ弓状核に直接AAVベクターを投与し、in vivoでKNDyニューロン特異的なチャネルロドプシンの発現を試みる。 さらに、KNDyニューロン神経活動の同調機構におけるDyn作用の解明については、免疫組織化学染色および多重ラベルin situ hybridizationによりヤギ視床下部におけるKOR発現細胞の特定が進んだ。今後は、Dynにサポリン毒素が結合したターゲットトキシン(Dyn-SAP)をヤギ弓状核KNDyニューロン近傍に投与してKOR発現細胞選択的に細胞死を誘導し、KOR発現細胞を組織学的に同定することを試みる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、家畜の繁殖機能制御の最上位中枢である卵胞発育制御中枢「GnRHパルスジェネレーター」に着目し、GnRHパルスジェネレーターを構成するKNDyニューロンがパルス状GnRH分泌を制御する神経メカニズムを解明することをめざしている。ターゲットトキシンの弓状核内局所投与と投与部位近傍の神経活動の同時解析法や、オプトジェネティクス技術のためのKNDyニューロン特異的な光感受性イオンチャネル(チャネルロドプシン)を発現させる手法を確立できたため、今後の研究の推進に全力をあげる。また、KNDyニューロン神経活動の同調機構におけるDyn作用の解明については、ヤギ弓状核におけるKOR発現細胞の組織形態学的同定が完了したため、NKBおよびDynを介したシグナリング経路による反芻家畜の繁殖制御機序に関する基盤的知見の集積を加速化させる。
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