研究課題/領域番号 |
22H00402
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分43:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村田 茂穂 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 教授 (20344070)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
41,600千円 (直接経費: 32,000千円、間接経費: 9,600千円)
2024年度: 17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2023年度: 17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2022年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
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キーワード | 神経変性疾患 / タウ / ESCRT-I / ユビキチン / アミロイド / 凝集性タンパク質 / ESCRT / ゲノムワイドスクリーニング / プロテアソーム / リソソーム / 神経変性 |
研究開始時の研究の概要 |
脳の細胞内外に凝集性タンパク質が蓄積し、神経細胞死を引き起こすことが神経変性疾患に共通する発症要因である。多くの発症リスク因子が同定されているが、凝集性タンパク質の分子種が未同定の神経変性疾患も知られ、加齢性に凝集性を獲得するタンパク質が神経変性に関与している可能性や加齢に伴う脳機能低下にこれら加齢性凝集性タンパク質が関与することが推測されるが、実態は不明である。本研究では、申請者が新たに見いだしたこれら新規因子の作用機構の細胞・個体レベルの解析を通じて、凝集性タンパク質の動態の新規制御機構を明らかにするとともに、新たに同定した加齢依存性不溶化タンパク質の病態的意義を明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
脳の細胞内や細胞外に凝集性タンパク質が蓄積し、神経細胞死を引き起こすことが神経変性疾患に共通する発症要因である。ゲノムワイド関連 解析が盛んに行われ、多くの発症リスク因子が同定されているが、なぜ神経変性疾患において凝集性タンパク質が蓄積するのか、依然として 未 解明である。これらの問いに答えるため、アルツハイマー病のみならず様々な神経変性疾患で容易に蓄積して神経細胞傷害を引き起こすtau を モデル基質として、その蓄積と細胞内動態を指標としたゲノムワイドノックアウト/ノックダウンスクリーニングを行った結果、凝集性タンパ ク質の量と細胞内局在を制御する新しい分子を複数同定した。特に、ESCRT-I複合体がユビキチン化tauをリソソーム分解のみならず、プロテアソーム分解へ導くことを明らかにすることが出来た。これまでESCRT経路は従来、ユビキチン化タンパク質をリソソーム分解へと導く経路であることが知られていたが、本発見は、ESCRT経路はリソソーム分解とプロテアソーム分解の細胞内二大タンパク質分解系に寄与することを示した初めての研究である。さらに、ESCRT-IのサブユニットであるUBAP1には遺伝性痙性対麻痺の原因となる変異が知られ、このヘニを細胞に導入することによりユビキチン化タウが蓄積することを示し、遺伝性痙性対麻痺の原因として、ユビキチン化タンパク質の分解異常が関与する可能性を示唆することとなり、これら疾患の病態解明にも大きな手がかりを提供する成果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ESCRT経路が従来知られていたリソソーム分解のみならず、ESCRT-Iを介してユビキチン化タンパク質のプロテアソーム分解へちという全く新しい概念を提唱することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
リソソーム分解/プ ロテアソーム分解の振り分け機構の解明およびtau以外のESCRT-I-プロテアソーム経路による分解基質を網羅的に探索し、この経路の生理的意 義を明らかにする。ESCRT-IはTSG101、UBAP1、VPS28、VPS37より構成されるが、UBAP1は遺伝性痙性対麻痺の原因遺伝子であり、その変異がユ ビキチンの認識、p97との会合、tauのプロテアソーム分解、リソソーム分解の 振り分けにどのように影響するかを観察するともに、UBAP1変異 ノックインマウスを作製し、個体におけるtau蓄積解析のモデルマウスを樹立し、リソソーム分解/プロテアソーム分解の適切な振り分け機構の 病態生理的意義を明らかにする。
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