研究課題/領域番号 |
22H00429
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
稲垣 史生 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 研究プラットフォーム運用部門, 上席研究員 (50360748)
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研究分担者 |
竹山 春子 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (60262234)
星野 辰彦 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 主任研究員 (30386619)
田中 周平 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (00378811)
西川 洋平 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (90867277)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
42,640千円 (直接経費: 32,800千円、間接経費: 9,840千円)
2024年度: 12,480千円 (直接経費: 9,600千円、間接経費: 2,880千円)
2023年度: 13,650千円 (直接経費: 10,500千円、間接経費: 3,150千円)
2022年度: 16,510千円 (直接経費: 12,700千円、間接経費: 3,810千円)
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キーワード | 超深海微生物生態系 / 海底下微生物生態系 / 微生物群集構造 / 炭素循環 / 乱泥流 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、日本海溝の海溝軸に沿って広域に採取した水深7,000m以深の底層水と地震性タービダイト層を含む深さ37.7 mまでの堆積物コア試料を対象に、バルクの微生物群集構造解析及びデジタルPCR法による遺伝子定量解析、底層水と表層堆積物のシングルセルゲノム解析及び劣化プラスチック粒子の定量・定性解析、代表的なイベント堆積物等を対象としたメタゲノム解析を実施する。それらのデータを集約化し、各試料採取地点の地質学的・海洋学的・地球化学的特性に係るメタデータとの比較相関分析を行うことにより、日本海溝における乱泥流物質供給システムと超深海・海底下微生物生態系との広域時空相関を明らかにする。
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研究実績の概要 |
国際深海科学掘削計画(IODP)第386次研究航海により日本海溝の複数の地点より採取された超深海底層水及び海底下の堆積物コアサンプルを用いて、当該環境に生息する微生物群集のシングルセルゲノミクス・メタゲノミクス・デジタルPCR・ナノプラスチック粒子の定量・定性データと地球化学・堆積学的特性との統合的な比較相関分析を進めている。底層水及び堆積物表層から深さ1mより浅い堆積物試料については、マイクロ流体デバイスを用いたシングルセルゲノム解析システム「SAG-gel」を適用し、合計2,785個のシングルセルゲノムの取得に成功した。279のシーケンスはAtribacterota門のJS1に分類され、従属栄養型の超深海微生物生態系に寄与するいくつかの特異的な機能遺伝子を保持していた。また、代表的な掘削地点から採取された堆積物サンプルを用いて、微小プラスチック粒子の定量と同定を実施した。それにより、超深海環境における劣化プラスチックの存在分布に関する予察結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超深海底層水及び海底下の堆積物コアサンプルからの遺伝子抽出・精製・シーケンス作業はおおむね完了し、現在、シングルセルゲノミクスとメタゲノミクスの比較分析や、環境パラメータを含む統計学的なデータ解析を進めている。微小プラスチック粒子の解析についても、分析条件の設定を完了し、代表的な掘削調査地点の鉛直プロファイルおよび広範囲のデータ取得に係る分析作業を進めている。各分担研究の進捗や関連する研究動向等の情報を共有・議論するため、1-2ヶ月に1度の頻度でオンラインによる打ち合わせを行っている。一部の成果については国際会議や国内学会にて発表した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、超深海底層水と表層堆積物サンプルを用いたシングルセルゲノム解析をさらに深掘りし、特に当該環境に優占的に存在するJS1アトリバクテロータ門細菌や未培養アーキア系統に着目し、種レベルの代謝機能推定及び比較ゲノム解析を行う(竹山、西川)。シングルセル由来のゲノム塩基配列にウイルス由来の遺伝子等が検出された場合にはその詳細解析を行い、生態学的およびゲノム進化学的な評価と考察を試みる。また、地震性地滑りイベントを含む堆積物に生息する微生物群集構造の深度プロファイルを作成し、サイトや深度による群集構造の違いを統計数理学的手法により評価する(稲垣、星野)。同時に、全てのサンプルにおいてマイクロ流体デバイスとデジタルPCR法によるバクテリア・アーキアの遺伝子定量を行う(星野)。さらに、堆積物に含まれる微小プラスチック粒子の定量と同定分析を進め、日本海溝における当該粒子の移流と沈降、地理的空間分布、および劣化プロセスに係る考察を進める(田中)。これらのデータをIODP第386次研究航海により得られた地質学・地球化学的なデータと照合し、日本海溝における乱泥流物質供給システムと超深海・海底下微生物生態系との広域時空相関解析に着手する(全員)。
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