研究課題/領域番号 |
22H00432
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分46:神経科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
尾藤 晴彦 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (00291964)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,510千円 (直接経費: 32,700千円、間接経費: 9,810千円)
2024年度: 13,390千円 (直接経費: 10,300千円、間接経費: 3,090千円)
2023年度: 13,780千円 (直接経費: 10,600千円、間接経費: 3,180千円)
2022年度: 15,340千円 (直接経費: 11,800千円、間接経費: 3,540千円)
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キーワード | 脳・神経 / 長期記憶 / 分子 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、in vivo多重イメージング法により1)逆シナプスタグ化機構解明を糸口にし、長期記憶のシナプス情報表現を解明し、2)連合記憶長期貯蔵を規定する皮質-視床回路による制御機構を明らかにする。さらに、遠隔記憶貯蔵メカニズムの操作による正常老化・認知症病態への新規介入戦略を実証していく。これにより、シナプス可塑性が脳情報長期貯蔵を規定している機構の最終解明を実現する。
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研究実績の概要 |
本年度の研究では、以下の3点に焦点を絞り、研究を推進した。すなわち、 1) 逆シナプスタグ化機構解明を糸口にした、長期貯蔵される連合記憶シナプス情報表現の解読のための各種細胞内情報伝達シグナル計測について、基盤的検討を実施した。 2)連合記憶長期貯蔵を規定する皮質-皮質下回路を新たに解明するための条件整備を進めた。 3)遠隔記憶貯蔵メカニズム操作による長期記憶表現型修飾を実現するための条件検討を開始した。 初年度である令和4年度においては、特に、シナプスレベルでの逆シナプスタグ生成・維持に寄与するカルシウム・CaMKII シグナルの可視化実験手法等を構築していった。その間に作出したプローブ構造の検証を目的として、CaMKII-alpha分子の知的障害変異体の点変異活性相関を検討し、その変異の多くがgain-of-funtion 変異である可能性を明らかにした(Fujii et al. Front. Mol. Neurosci., 2022)。加えて、広範囲で2光子顕微鏡イメージングを実現する簡便なプラスチック膜による脳表観察窓作成方法の開発にも関与した(Manita et al. JoVE, 2022)。さらに、遠隔記憶形成時における大脳皮質とその他の部位の間の新たなconnectivity制御の可能性を見出した。また、E-SARE 陽性細胞のin vivo同定と、神経活動同時計測により、オペラント学習過程における柔軟な脳活動動態の遷移に関する予備的検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
作出した各種プローブについて、検証実験が順調に進み、論文化にも着実に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に作出し条件検討した各種分子プローブを用い、昨年度に引き続き、長期記憶における細胞体およびにシナプスレベルの情報表現を明らかにしていく。特に、恐怖記憶の形成・長期貯蔵の過程における活動動態を、細胞体ならびに樹状突起レベルで記録することを試みていく。さらにグルタミン酸受容体蛍光プローブの蛍光シグナルを併せて記録していく可能性も検討していく。これにより記憶長期化における活動動態変化とその基盤となる受容体ダイナミクスにもアプローチしていく予定である。一方、記憶長期化には、遠隔記憶の記憶痕跡を担うのに必要十分な細胞群の捕捉が必要である。そのための戦略を考案し、マウス前頭野とその制御領野の間の結合性とその動態について解明を試みる。
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