研究課題/領域番号 |
22H00439
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分47:薬学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加藤 敬行 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (90567760)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,380千円 (直接経費: 32,600千円、間接経費: 9,780千円)
2024年度: 14,690千円 (直接経費: 11,300千円、間接経費: 3,390千円)
2023年度: 13,130千円 (直接経費: 10,100千円、間接経費: 3,030千円)
2022年度: 14,560千円 (直接経費: 11,200千円、間接経費: 3,360千円)
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キーワード | ペプチド医薬 / β-アミノ酸 / フォルダマー / 翻訳 / tRNA |
研究開始時の研究の概要 |
環状β-アミノ酸は主鎖に環状骨格を持ち剛直な構造となるため、ペプチドのターン構造やヘリックス構造を強く誘起する。環状β-アミノ酸を導入したβシート型およびヘリックス型ペプチドはその折り畳み構造の剛直さ故に標的分子への結合力、細胞膜透過性、血中安定性の向上を実現できるため、新規ペプチド医薬の開発基盤として理想的である。本研究では、βシート型およびヘリックス型のランダムペプチドライブラリをRaPIDディスプレイ法に適用することで、標的タンパク質に特異的に結合し阻害するペプチド群をスクリーニングし、新規ペプチド医薬品へと展開する。
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研究実績の概要 |
本研究では、環状β-アミノ酸を含有する逆平行βシート型ペプチドライブラリおよび10/11/11ヘリックス型ペプチドライブラリを構築し、RaPIDディスプレイ法を用いたスクリーニングによって新規医薬品を開発することを目指す。これらのペプチドは安定かつ剛直な折りたたみ構造を有するため、①標的分子への結合力の向上、②膜透過性の向上、③ペプチダーゼ耐性の向上が期待され、従来のペプチド医薬の弱点を克服できるため、新規ペプチド医薬の開発基盤として理想的である。本研究の特徴は、これらのペプチドライブラリをリボソーム翻訳によって合成する点にあり、10の13乗を超える多様性をもつペプチドライブラリを迅速かつ容易に構築できる。環状β-アミノ酸は遺伝暗号リプログラミング法によってペプチド鎖中に導入することができる。通常、β-アミノ酸の翻訳効率は天然のL-α-アミノ酸と比べて著しく低いが、研究代表者らが開発したPro1E2と呼ばれる新型人工tRNAを用いることによって、β-アミノ酸を含むペプチドライブラリを効率よく翻訳合成することに成功した。これまでに、ペプチドライブラリ中央部に1つないし2つの環状β-アミノ酸を配置した逆平行βシート型ペプチドライブラリの調製と、環状β-アミノ酸を3アミノ酸残基おきに配置した10/11/11ヘリックス型ペプチドライブラリの調製に成功しており、現在様々な標的タンパク質に対する阻害剤ペプチドのスクリーニングを進めている。並行して、環状β-アミノ酸以外のturn/helix inducerの導入の検討も進めており、ライブラリが構築でき次第ペプチドのセレクションを実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに環状β-アミノ酸を含む逆平行βシート型ペプチドライブラリおよび10/11/11ヘリックス型ペプチドライブラリともにリボソーム翻訳による翻訳合成の条件検討が完了しており、問題なくライブラリが調製できることを確認済みである。さらにこれらのライブラリを用いて複数の創薬標的に対するRaPIDセレクションに着手済みである。並行して環状β-アミノ酸以外のturn/helix inducerの導入の検討も順調に進んでいる。この結果は1年目終了時点までの計画に照らして予定通りであり、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後も継続して環状β-アミノ酸含有逆平行βシート型ペプチドライブラリおよび10/11/11ヘリックス型ペプチドライブラリを用いたペプチドのRaPIDセレクションを進める。環状β-アミノ酸以外のturn/helix inducerを含むフォルダマーペプチドライブラリについても順次RaPIDセレクションを進める。セレクションの結果有望なペプチド配列が得られれば、それらのペプチドをパラレルペプチド合成機で有機化学的に大スケール合成し、結合活性・阻害活性・ペプチダーゼ耐性・膜透過性・結晶構造解析等の評価を実施する。標的とするタンパク質としては新型コロナウィルス感染症の標的となるスパイクタンパク質やメインプロテアーゼを中心に、自己免疫疾患治療薬の標的となるインターフェロンγ受容体、血栓症治療薬の標的となるFXIIaやCLEC-2、肺がん治療薬の標的となるEGFRなどを使用する。
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