研究課題/領域番号 |
22H00447
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分49:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高岡 晃教 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (30323611)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,640千円 (直接経費: 32,800千円、間接経費: 9,840千円)
2024年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2023年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 16,250千円 (直接経費: 12,500千円、間接経費: 3,750千円)
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キーワード | intrinsic immunity / 自然免疫 / ウイルス感染 / 感染防御 / Intrinsic immunity / RIG-I / 抗ウイルス応答 |
研究開始時の研究の概要 |
“intrinsic immunity”と呼ばれる抗ウイルス防御の機構は、その直接的かつ迅速な作用が期待されるため、ウイルス侵入局所の前線においてバリアを形成している上皮細胞において固有の防御機構として重要である。本研究では上皮細胞などのウイルス侵入の前線における、“intrinsic immunity”に関わる分子についてVIR-CLISP、CRISPRライブラリーによる網羅的探索を行い、ウイルス侵入局所の前線においてバリアを形成している上皮細胞が備えている新たなウイルス防御機構の分子メカニズムの解明や新しい感染防御パラダイムの発見を目指す。
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研究実績の概要 |
近年、新型コロナウイルス感染症など、新興あるいは再興ウイルスの流行が大きな問題となっている。我々はこれまでウイルスの自然免疫センサーの同定及び下流のシグナル経路の制御機構の解明に関する研究を推進してきた。その過程の中で、最近、従来自然免疫応答を誘導する細胞質RNAセンサー分子として知られているRIG-I(retinoic acid-inducible gene-I)が、肺胞や気管支の上皮細胞でSARS-CoV-2感染時において、これまでとは異なった仕組みで抗ウイルス作用を誘導することを明らかにした。その機構は既知のRIG-Iの機能と異なり、下流のシグナルを活性化せずに直接的にSARS-CoV-2の複製阻害という抗ウイルス作用を発揮できることを見出した。このような、 “intrinsic immunity”と呼ばれる抗ウイルス防御のメカニズムは、その直接的かつ迅速な作用が期待されるため、ウイルス侵入局所の前線においてバリアを形成している上皮細胞において固有の防御機構として重要であると推察される。一方で、数多くの自然免疫系センサー分子がこれまでに同定され、報告されてきたのに対し、この“intrinsic immunity”に関わる分子は、限られたものである。このような背景のもと、代表者らのこれまでの研究を生かし、本研究では、上皮細胞などのウイルス侵入の前線における、いわゆる“intrinsic immunity”に関わる分子について、網羅的な探索を行い、従来の自然免疫センサーを介する自然免疫応答の仕組みとは異なる局面から、まだ明らかにされていない感染初期の抗ウイルス防御の分子メカニズムの解明や新しい感染防御パラダイムの発見を目指している。現在Intrinsic antiviral factorsの候補分子の網羅的検索を行うことを進めており、いくつかの候補分子を同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
いくつかの“intrinsic immunity”に関わる候補分子は同定できているので順調である一方で、感染直後に細胞内に遊離されたウイルスゲノムRNAに特異的に結合するタンパク質を捉える手法として、viral cross-linking and solid-phase purification(VIR-CLASP)法を駆使して上皮系のバリア細胞における“intrinsic immunity”に関わる候補分子を網羅的に同定することについては、現状、遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
intrinsic antiviral factorsの網羅的探索ならびに、同定したantiviral factorの機能解析を進める。 ウイルス複製への影響を指標としたintrinsic antiviral factorsの網羅的探索:ウイルスRNAと感染早期に結合する因子を網羅的に探索するのに対し、ここでは細胞固有のウイルス複製に直接的に影響を与えるintrinsic antiviral factorsを網羅的に探索する。そのため、可能な限りウイルス複製を直接的に抑制する因子に絞れるよう、主要な自然免疫RNAセンサーのシグナルを排除させたTRIFおよびMAVS/IPS-1の二重欠損A549細胞を作製する。プール化されたGenome-wide CRISPRCas9 ライブラリーでは非細胞傷害性のウイルスでは評価しがたいため、本研究では、1ウェルに1遺伝子のsgRNAをアレイ化し Genome-wide Arrayed CRISPR-Cas9ライブラリーを用いた遺伝子網羅的なスクリーニングを計画している。また、評価は、RSウイルス、デングウイルス、インフルエンザウイルスのレポーターウイルスを使用し、蛍光強度で判定する。実際には、各ウェルで網羅的に遺伝子をノックアウトさせたTRIFおよびMAVS/IPS-1二重欠損A549細胞に対し、レポーターウイルスをそれぞれ感染させ、ノックアウトによってウイルス複製が増強する因子を探索する。 新規intrinsic antiviral factorの機能解明:これまでの先行研究により新規抗ウイルスタンパク質として同定したXタンパク質の機能を解明する。具体的には、作用するウイルスの種類を同定、受容体の同定、活性化される抗ウイルス応答シグナル伝達経路を同定する。
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