研究課題/領域番号 |
22H00449
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分49:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
本庶 佑 京都大学, 医学研究科, 特任教授 (80090504)
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研究分担者 |
小林 牧 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (20400690)
Begum NasimAra 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (80362507)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,250千円 (直接経費: 32,500千円、間接経費: 9,750千円)
2024年度: 13,650千円 (直接経費: 10,500千円、間接経費: 3,150千円)
2023年度: 13,520千円 (直接経費: 10,400千円、間接経費: 3,120千円)
2022年度: 15,080千円 (直接経費: 11,600千円、間接経費: 3,480千円)
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キーワード | 遺伝子組換え / 抗体遺伝子組換え / エンハンサー由来RNA / 液ー液相分離 / 液一液相分離 / hnRNP K / hnRNP U / R-ループ |
研究開始時の研究の概要 |
AIDに依存する抗体遺伝子組換えは、特異的かつ高効率高頻度である点、他に類をみない。AID相互作用分子と抗体遺伝子クロマチン構造変換に着目した予備実験から、抗体遺伝子座に転写依存性組換えを支えるAIDを中心とし、各種RNA結合タンパク質やnoncoding RNAを含む「転写依存的高次クロマチン組換え複合体」が構成されると仮説を立てた。本研究では転写、DNA切断と修復の両者がDNAシナプス形成の連続的相変換として進行すると考え、その複合体構成因子群を同定することを目標とする。これらの成果は抗体免疫の根幹メカニズムを解明するとともに、感染症の予防ワクチンや抗体医薬開発にも資する知見をもたらす。
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研究実績の概要 |
2023年度には、抗体遺伝子組換え部位からの転写産物が、抗体遺伝子周囲にRNAクラウドを生成していることの確証を追加した。また、フィブリラーリンとMed19が含まれるDNAシナプス形成にはたらく複合体の構成要素を免疫沈降実験により確認した。フィブリラーリンについてはメチル化酵素活性がクラススイッチのサポートには必要であること、同様にRNA結合モチーフ変異体も必要であること、シナプス形成複合体のタンパク質要素のメチル化修飾は有意なものがなかったため、RNA修飾の可能性を考え、同定を進めている。Med19については、リジン連結モチーフの重要性を、クラススイッチサポート能、DNAシナプス形成能について確認した他、細胞内局在に与える貢献度についても評価することができ、さらに液ー液相分離の観点から解析を進めている。 またAIDとRNAを介さず直接タンパク質同士で結合する因子が、DNA切断のレベルで抗体遺伝子組換えに関わることを新たに発見した。この因子は、上記のRNAクラウドへも結合するもののAIDの遺伝子座への呼び込みには影響しないことから、核内局在よりも詳細なレベルでAIDの機能調節を行なっていると考えられ、さらに解像度の高い分子作用モデルを構築するべく解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のように、期待されていた分子の各々について、成果を上げており、特にフィブリラーリンとMed19については、DNAシナプスの形成について一定の新知見が集積したため、論文化を進めている。また、RNAクラウドの解析を進めるうちに、AID依存的なDNA切断に関わる新たな因子を発見することができ、IgH遺伝子組換えの詳細な分子機構に迫る段階に来ている。
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今後の研究の推進方策 |
フィブリラーリンとMed19については、DNAシナプス複合体形成への関与が明解になったものの、RNA修飾ターゲットや、液ー液相分離の試験管内での実証実験などの課題が残っており、これを最終年度に解決する。 また、新たに見つかったDNA切断に関わる因子は、hnRNP Kとも関連が深い。AIDとの結合については、DNA切断のメカニズムに迫るより詳細な方向性であるが、IgH遺伝子RNAクラウドの形成を外側から支えている可能性もあり、hnRNP Kとの関連を通じて、多角的な検討を加えていく。
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